9月12日に中山競馬場で行われた第66回GⅢ京成杯オータムハンデ(芝1600m・3歳以上・ハンデ・曇り・良馬場)は単勝7番人気のカテドラルがゴール寸前で差し切って優勝。騎乗した戸崎圭太騎手は2013年エクセラントカーヴ以来となる当レース2勝目。管理する栗東・池添学調教師は京成杯オータムハンデ初勝利となった。カテドラルは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 逃げたい馬がずらりと揃ったメンバー構成。ハナ候補と見ていたマイスタイル、そしてバスラットレオンはスタートが今ひとつ。それでも、コントラチェックが主導権を握るとは考えていませんでした。序盤から速いラップが続き、半マイル(4ハロン)通過は45秒6とハイペースになりました。

 

▲パドックを歩くカテドラル(撮影:yu~kun)。闘志を内に秘めて周回できていた。

 

器用に立ち回って重賞初制覇

【レース分析】 ①着のカテドラル(単勝7番人気)、ホライゾネットをパドックまで着用。決してテンションは上がっておらず、滑らかな身のこなし。歩様に勢いもあり、気配の良さが目につきました。スタートは相変わらずゆっくりですが、ハイペースの中、いいポジションで脚を溜められました。2番ゲートを生かし、3コーナーでは内目を回りました。4コーナーから直線に向いてからは外のスマートリアンを先に行かせてから馬場の真ん中へ。コース取りが勝因と言って良く、これは戸崎騎手の手腕ですね。同じ位置にいたグレナディアガーとは、進路取りの差が出ました。

 

▲14度目の挑戦でついに重賞獲りが叶ったカテドラル

 

「乗りやすいと聞いていましたが、今週の中山は内を通る前の馬がいいレースをしていたので、後ろからではどうかと思っていました。出遅れましたが、慌てずにこの馬のリズムでいきましたし、本命馬を見ながらバランス良く走れました。手応えが十分だったので内を捌いていこうと思いましたが、やはり進路を探すのは大変でした。それでも、手応えがありましたからね。うまく捌くことができました。乗りやすくて力のある馬なので、今後も楽しみです」とレース後に戸崎騎手はコメント。今年に入ってから重賞で②着が3回。悔しいレースが続いていましたが、鞍上の好プレーも奏功し、ついにタイトルに手が届きました

 

カテドラルの4代血統表

 

粘り腰が光ったコントラチェック

 コントラチェック(12番人気)は落ち着きがあって、仕上がりは良かったですね。6ハロン戦を中心に使ってきたことで、マイルのこのメンバーに入るとテンのダッシュが速く、ハナを奪うことができました。ペース自体は速かったわけですが、道中では被せられることなく、気分良く運ぶことができたのに加え、開幕週の馬場も味方しましたね。直線は粘りに粘って惜敗の②着。これで中山コースでは8戦6連対。逃げが叶った際は連対率100%と崩れていません。

 

▲坂を上がってから同じ勝負服による叩き合い。僅かに外のカテドラルが交わしてゴール板を駆け抜けた。

 

 グレナディアガーズ(1番人気)はテンションが上がっていなかったように気性の成長が窺えました。また動きには柔らかみがあって上々の仕上がり。あまり行く気はなくて、中団のやや後方を追走。人気を背負っていましたから4コーナーでは外を回って追い上げましたが、カラテが外に張り出したこともあってコースロスが大きかったですね。3歳ながら56キロのハンデを背負い、差すレースが出来た点は収穫。ただ、この後はアメリカ遠征も視野に入っている馬。厳しいレースだったとはいえ、③着は若干物足りなさが残りました。

 スマートリアン(9番人気)は最後の坂で伸びが鈍り④着止まりでしたが、重賞でも健闘し、地力強化をアピール。⑤着カラテ(3番人気)は外を回った分と57キロというハンデを考えると勝ち馬から0秒2差なら及第点。完全復調したと見て良く、菅原明良騎手は「まだまだ良くなると思います」とコメント。次走も目が離せません。

 

 

                          

text by 京増 真臣

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・勝ち馬は条件をクリア。ただし、②着馬は前走GⅢ⑧着から鮮やかに一変した。来年以降は、GⅢ組に関しては着順による取捨は避けた方が賢明か。

〇馬齢・・・今年は当レースと相性のいい5歳馬がワンツー。今後も5歳優勢の傾向は続きそうだ。

〇牝馬・・・今年は5頭出走して②④⑧⑩⑬着。コラムで推したアカノニジュウイチは2桁着順に沈んだが、これで4年連続で連対。牝馬の激走には注意を払いたい。

 

 

 

 

《京成杯オータムハンデ 2016-20》

 

~血統で読み解く中山開幕週~

▲紫苑Sを勝ったファインルージュの血統表

▲紫苑S③着ミスフィガロの血統表

▲京成杯AH②着コントラチェックの血統表

 4回中山開幕週は土日合わせて芝のレースは計12R行われた。そのうちディープインパクト産駒、またはディープインパクトを父に持つ種牡馬の産駒が10頭馬券圏内入り。更に土曜中山5Rの②③着馬、日曜中山5Rの①②③着馬はいずれも母父にディープインパクトを持つ血統だった。

 では重賞はどうだったか。紫苑Sでは①着ファインルージュ(父キズナ)、③着ミスフィガロ(父ディープインパクト)。京成杯AHでは②着コントラチェック(父ディープインパクト)と、土日の両メインでも父ディープインパクト系の馬が台頭した。特にミスフィガロコントラチェックはどちらも12番人気と低評価を覆して激走。加えて、馬券圏内には一歩及ばなかったものの④着がシャーレイポピー(16番人気・父ミッキーアイル)、スマートリアン(9番人気・父キズナ)とどちらも人気薄のディープインパクト系種牡馬の産駒だったのも見逃せない。

 開幕週の綺麗な馬場に加え、タイムも高速傾向とディープインパクトの血筋を持つ馬にとっては持ち味を発揮しやすいコンディションだったことが活躍の要因と言えそう。このままの馬場状態が継続するなら、2週目以降も芝のレースではディープインパクトの血を持つ馬から目が離せない。

                 

              村上 拓音

 

 

 


 
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