7月27日(日曜)に新潟競馬場で行われた第60回GⅢ関屋記念(芝1600m・3歳以上・ハンデ・晴れ・良馬場)は1番人気に支持されたカナテープが優勝。管理する美浦・堀宣行調教師、騎乗したR.キング騎手とも当レースは初勝利となった。カナテープは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主はC.フィプケさん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】 大方の予想通りシンフォーエバーがハナに立ちましたが、序盤はハクサンバードが差なく続いたこともあって前半3ハロン通過は33秒9。その後は少し流れが落ち着きましたが、3コーナー手前からシンフォーエバーが後続を引き離す形で再びペースアップ。1000m通過56秒9はペースが落ち着きやすい新潟の外回りとしてはかなりタイトな流れで、開幕週の速い時計に対応可能な切れ味、瞬発力は勿論、それを持続できるだけの地力、マイルよりも少し長い距離にも適性のある持久力が求められる展開になったと考えています。


【レース分析】 勝ったカナテープ(1番人気)は過去最高体重だった前走から体重2キロ減と、更に上積みが見込める仕上がり。互角のスタートからスッと下げて、大きな集団の最後方に位置。直線を向くと馬群の一番、外でも、縁のところに持ち出したのでロスはまったくなく、鞍上が本格的に追い出したのはちょうど、内回りとの合流点あたり。そこからの加速もスムーズで、最後まで脚勢が乱れることはなく、長く脚を使って前を呑み込んだところがゴールでした。
「ペースが速かったので、この馬にとってはいい形になりました。リズムと手応えが良かったですし、いい瞬発力があることも分かっていました。この馬の特徴は2つあって、距離を含めてフレキシブル(柔軟)なレースができることと、タフで一生懸命なところです。今日はすべてを出してくれました。以前に乗って勝った馬で、重賞勝ちができて、とても嬉しいです」とR.キング騎手はレース後にコメント。前走、府中牝馬S②着が地味な時計で、昨年までのマーメイドS②着と考えた方がいいと思い、自分は△でしたが、今回は牡馬相手に一枚上と思える決め手を発揮したのですから内容的には文句なし。東京コースの1800mで4勝のキャラクターにもぴったりと嵌まる展開でした。開幕週の芝コースでレコード決着は流れ的にも必然で、時計自体の実際の価値は水準クラスと考えていますが、6歳牝馬でも充実期を迎えていることは間違いないでしょう。

▲カナテープの4代血統表
②着はオフトレイル(10番人気)とボンドガール(2番人気)が同着。前者は最内枠から軽く促す感じで位置を取りに行き、道中は馬群のちょうど中団。そのまま最内を通って直線でも逃げた馬の内を突き、一旦は先頭に立つシーンを作りました。最後に詰めを欠いたのはレース後に鞍上が「本質は1400mがいい馬で、その分、甘くなりました」と語った通りでしょうが、立ち回りとしては完璧。もう少し緩い流れで同じ競馬ができていれば、結果も違ったような気がしています。一方、ボンドガールは前走と違い、互角のスタートを切りましたが、折り合いに専念。オフトレイルと前後する位置から、こちらは馬群の中に進路を取りましたが、巧みに前を捌きながら最後まで鋭い伸び。やはり中距離のGⅠで②着などの実績は伊達ではありませんでしたし、56キロのハンデからも負けて強しと言えるレースぶりでした。
④着トランキリテ(11番人気)は前走が好タイムの1800m(勝ち馬は次走、府中牝馬Sも連勝)で③着でしたから、マイルでもタフな流れになれば納得の善戦。ただ、インでロスなく立ち回って、上位馬と少し差がありましたから、重賞だともうワンパンチと言うのが今回の正直な印象でした。⑤着シヴァース(4番人気)もテン乗りの鞍上が上手に折り合って、好位を進んでいましたが、正攻法の位置で脚をためるようだと、それほど切れない感じも。これは自分が◎にしていた⑦着のレガーロデルシエロ(6番人気)も似たような印象で、シヴァースは少し厳しくても自分が一旦は先頭に立つ形、レガーロも追い出しを我慢して鋭さ比べより、早めスパート長く脚を使った方が良さそうなイメージが残りました。
text by 五十嵐 友二

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