9月15日(日曜)に中山競馬場で行われた第79回GⅡセントライト記念(芝2200m・3歳・馬齢重量・曇り・良馬場)は1番人気に支持されたミュージアムマイルが優勝。管理する栗東・高柳大輔調教師、騎乗した戸崎圭太騎手ともに当レースは初勝利となった。この結果、ミュージアムマイルヤマニンブークリエレッドバンデはGⅠ菊花賞の優先出走権を獲得した。ミュージアムマイルは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 最内枠からジーティーアダマンがハナを主張。もう1頭の逃げ候補と思われたサクラファレルが併せる形での競りを避けるように馬体を離し、2番手に控えたので1コーナーに入る時にはペースダウン。1000m通過60秒3は高速馬場の重賞としてはスローですが、後半の1000mは11秒台のラップが最後まで続き、流れに乗れる機動力+末脚の持続力も求められる展開になりました。

 

 

【レース分析】 勝ったミュージアムマイル(1番人気)はパドックで2人引きでも落ち着いた雰囲気。ただ、返し馬では出掛けに脚捌きの硬さが目につき、秋緒戦で完調手前かな、と思わせる動き。それでもレースではゲートで外枠発走になる馬が出る事象にも動じることもなく、互角のスタートから中団の後ろをマイペースで追走。道中の折り合いも非常にスムーズで、3コーナーで鞍上がゴーサインを出した時の反応も良く、馬群の大外を回っても最後まで脚勢は乱れず、鮮やかに差し切り勝ちを決めました

 

 

「皐月賞馬としての責任を感じていました。馬もしっかりと反応して、勝てて良かったです。ポジションは(ゲートを)出てから考える形で、そんなに出脚が良くなかったので後ろからになりましたが、道中はいいリズムで走れました。手応えも十分にあったので、外を回っても力を出せると見て、ギアを上げていきました。周りに影響されず、どっしりとしていたので、レースは乗りやすかったです。どんな展開にも対応できる強さがあります」とレース後に戸崎圭太騎手はコメント。確かにスタート前のアクシデントが影響してか、力を出し切れなかった馬も少なくない中で、GⅠ馬が貫禄を示したというのが、自分も感じたレース後の第一印象。次を見据えた仕上げでも成長面の成長を窺わせて、春に大舞台を経験していた経験は大きいということでしょう。次走は天皇賞・秋というローテーションが伝わっていますが、年長馬との対戦が非常に楽しみですし、もし、菊花賞に向かったとしても、極端な消耗戦でなければ、今回の走りなら3000mにも対応可能では、というイメージも持てました。

 

ミュージアムマイルの4代血統表

 

②着ヤマニンブークリエ(8番人気)はスタート直後から馬群の最内に進路を取り、インにこだわる横山典弘騎手らしい立ち回り。前走も同様の競馬で勝っていたので、馬の対応もスムーズでした。操縦性の高さを生かし、一瞬は勝つかの場面がありましたし、この機動力は更に大きな舞台になっても、魅力になると感じました。③着レッドバンデ(2番人気)は②着馬の一歩前、好位のインで、こちらも理想的なレース運び。②着馬とのクビ差は直線を向いたところで先行馬を交わしに行った時の進路取りの差ですが、スタートも含めて、レース運びが上手になっている様子。ただ、以前の方がいい意味の荒々しさ、爆発力があったような気もするので、今後に向けてはまだ伸びしろがあるのか、見極めていきたいと考えています。

 

 

そして④着が自分が紙面◎にしていたピックデムッシュ(5番人気)。まだ少し馬が若いですが、仕上がりはいいな、と見ていましたが、ゲート内でスタートを待たされているうちに前掻きを始め、嫌な予感がしたら案の定、出遅れ。勝ち馬をマークする形になって、勝負どころでは反応の差も出ましたが、最後は脚を伸ばしてきました。残念ながら菊花賞の優先出走権は逃しましたが、長く脚を使えたのは戦前の見立て通り。長距離向きなのも確かなので、出走は微妙でも菊花賞に登録して、使えれば印はつけたいと思っています。⑤着サクラファレル(6番人気)は返し馬の時に若さが気になった1頭ですが、2番手に控える形でも折り合いはスムーズ。ただ、脚をためていた割に直線では伸びず、④着馬には少し水を開けられました。現状はスピードを生かす戦法がベターなようですし、待機策を試みるならメリハリのつけやすい距離が合う印象。4番人気で⑪着のジーティーアダマン、シンガリ負けのファイアンクランツも若さが前面に出てしまったようなので、次走が真価を問う場。特にパドックでは落ち着いていても、返し馬で高ぶっていたジーティーは、地元の関西圏の競馬で見直したいところです。

 

 

 

text by 五十嵐 友二

 

 

  

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

 
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