2017年10月15日(日) 4回京都5日

11R 第22回 秋華賞(GI)

 図は過去4年の秋華賞のラップです。まずスタートして2ハロン目が11秒を切るのは当たり前。これは過去10年でも変わりません。前に行きたい馬、そこそこの位置を取りたいと思っている馬は、枠順も重要ですが、これまでテンに緩い競馬しかしていないようだと苦しいでしょう。また、昨年こそ中盤に12秒台後半のラップが2つもあり、その分だけ上がりが速く(過去10年で2番目に速い)なりましたが、基本的にはテンがグッと速くなり、その後も極端には緩まず、3角の坂の下りで再びペースが上がるといった流れ。瞬発力勝負にはなりにくく、過去4年の上がり最速馬は⑤⑤②①着。ただ、息の入りにくい流れで脚質的には差し>先行>追込>逃げとなっています。

 まとめると、テンが速くなっても好位~中団につけられるスピードがあり、道中はジッとして最後に上がり34秒台前半の脚を使えれば十分。あと、コーナー4つの競馬で勝っている馬が理想です。

 次に以下の図をごらんください。過去4年の平均ラップと主な前哨戦のラップです。ローズSとクイーンSは1800mですが、便宜上5ハロン目のラップの後に同じラップを足して比較しやすくしたつもりです。

 やはりと言いますか、過去に実績のあるローズSが一番本番に近い形。坂の登りにあたる6ハロン目はもう少し落ちるかもしれませんから、まさにピッタリ。一方、昨年は重賞に格上げされていきなり本番に直結した紫苑Sですが、見てほしいのは以下のラップ。

1.59.7(12.0-10.9-11.9-12.1-12.7-12.3-12.1-11.7-12.0-12.0)

 これは昨年の紫苑Sのラップです。2ハロン目が11秒を切り、その後も11秒9、12秒1と極端に緩んでいません。5ハロン目(ここは皐月賞でも緩む箇所です)を除くと秋華賞の平均に近い形だったと言えるでしょう(本番では上がり勝負になりましたが……)。対して今年は序盤がスローからの上がり勝負。昨年の秋華賞を例外とするならば今年は本番に直結するかは怪しいかも。少し注意が必要ですね。

 クイーンSは中盤が締まった流れから、上がりもしっかり加速してレベルは上々。気になるとすればテンの入りが少し遅い点ですが、スタートしてすぐコーナーに入るので目くじらを立てるほどではありません。

①アエロリット…【▲】前述の通り今年のクイーンSはレベルが高く、ここでも有力。スピードがあり、内で包まれて苦しくなる心配もない。ただ、逃げ馬には厳しいレース。前走で馬の気に任せて逃げたことでレースが少し難しくなった。理想は前に馬を置いて好位のイン。今回も横山典弘Jの手腕に注目。

②ラビットラン…今年のローズSはラップ的に見ると本番に直結する可能性が高い。突き抜ける可能性もある馬だが、内回り2000mで、馬群を捌くのが難しい内枠を引いた今回はマイナス評価。

③ブラックオニキス…決定力に欠けるが、内回り向きの器用さがある。連下に置いてもいいが、関西までの輸送は心配。

④モズカッチャン…【◎】伸びかかって失速したローズSはいかにも休み明け。調整も馬なりばかりだった前走時より充実。ローズSの内容ならスピード負けしないはずだし、好枠を引けたのでレース運びの巧さが生きそう。

⑤ブラックスビーチ…ローズSが負け過ぎ。ここまで2勝が阪神外回りと東京コース。舞台適性も微妙。

⑥メイショウオワラ…ローズSで掲示板圏内は立派だが、あれ以上のパフォーマンスとなると?

⑦リスグラシュー…【△】ローズS3着もそうだが、ハイペースで雨馬場だった桜花賞3着。ラップ的には適性が高く、安定感も上位。コーナー4つの競馬に対する経験値は低く、反応の悪さは気なるが、勝ち切れないのは一瞬しか脚を使えないからと考えると内回りが向く可能性もある。

⑧カワキタエンカ…【✖】過去10年のローズSで、テン2ハロン目11秒を切った流れを先行して馬券になったのは、2009年3着のクーデグレイスだけ。同馬は本番でも0秒3差の4着だった。スピードの持続力は上位。立ち回りは難しいが、残り目に注意したい。

⑨ハローユニコーン…適性は秘めていそうだが、ローズSが負け過ぎ。力差懸念。

⑩タガノヴェローナ…過去10年でダートから馬券になったのは2008年のプロヴィナージュ(3着)だけ。同馬はラジオNIKKEI賞で芝を経験していたし、シリウスS(G3)からの挑戦。初芝では厳しい。

⑪ミリッサ…距離だけではなく、ワンターンの競馬しか経験していないのは不安。速い流れを追走して外から差し切った有松特別は優秀だが、多頭数の内回り2000mだとローズSのように届かない恐れがある。パワー型ではないだけに馬場が悪くなると決め手を殺される心配も。

⑫レーヌミノル…【✖】雨馬場+ハイペースで押し切った桜花賞の内容は当然評価の対象。追い込み決着に割って入ったフィリーズレビューにも適性を感じる。課題は距離に尽きるが、桜花賞のローテーションを考えると叩き良化タイプ。

⑬リカビトス…レース上がり33秒4を差し切ったデビュー戦からも素質は一級品。2戦目に内回り2000mでも勝っているが、「最初は少し忙しかった」とはレース後のルメール騎手。テンから流れが緩まなければ戸惑う可能性があり、大箱向きのイメージ。

⑭ディアドラ…【○】紫苑Sは立ち回りを考えると着差以上の強さ。ラップ的価値はさて置き、これでコーナー4つの2000mを連勝。桜花賞は終いに賭ける競馬をして届かなかったが、上がりは最速。少し枠が外になったが、距離が延びたことによって流れに乗れると考えれば当然圏内に入ってくる。

⑮ヴゼットジョリー…ポートアイランドSはラストも止まっていたわけではなく、休み明けを考えればあんなものか。距離も折り合いひとつで克服できると思われるが、さすがに2000mG1では一枚落ちる。

⑯ファンディーナ…【✖】皐月賞、ローズSと緩みのない流れで負けているのは気になる。とはいえ、皐月賞は牡馬相手で内容も悪くないし、ローズSは休み明けで正直デキが今ひとつだった。今回はコース追いで意欲的な調整。正直、順調であれば調整方法を変える必要はないわけで、プラスにもマイナスにも出る可能性はあるが、ひと叩きした上積みを考えるとローズSの差は詰まる。

⑰ポールヴァンドル…3歳未勝利のダート1800mがなかなか優秀な時計。ただ、強いとまでは? かもめ島特別はスロー先行。紫苑Sで脚質に幅が出たのは好材料だが、底力を試されるレースになると厳しそう。

⑱カリビアンゴールド…展開も向いたかなといった紫苑S。かもめ島特別でポールヴァンドルを抜けなかった点も不満。大外枠がプラスになるとは思えず、初めての関西遠征も含めるとマイナス要素が大きいか。

text by 小林 

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