第62回 有馬記念(G1)

 キタサンブラックが参戦した過去2年、それに過去10年の平均ラップからも一瞬の切れが要求されるような瞬発力勝負ではなく、残り5ハロンからペースが上がるロングスパート戦が濃厚。武豊騎手も脚を溜めてという競馬ではなく、悔いのないようにキタサンの競馬に徹するはず。例年同様、中盤の3ハロンこそペースは落ち着くが、前半もそこそこ速くなり、地力が問われるレースになりそう。こういった流れを後ろから差すのは難しい。後ろからならペースが緩む区間で差を詰めたいところ。勿論、一定の切れは必要だが、前提として「ある程度の位置で流れに乗れる、または道中で小脚を使えて、且つ高い持久力を兼ね備えている馬」にチャンスが生まれる。

クイーンズリング……昨年のエリザベス女王杯の内容が優秀。逆に今年のエリザベス女王杯のようなスローの瞬発力勝負は苦手。有馬記念への適性は「ある」と言える。

スワーヴリチャード……アルゼンチン共和国杯は残り5ハロンから11秒台のラップが並び、有馬記念への適性を感じさせる。淀みのない流れを楽な手応えで追走して、直線突き抜けた内容も優秀。余力を残すローテーションも好感。一昨年の覇者ゴールドアクターと同じステップ。細かいことを言えば、コースは東京の方がいい。枠も前走の方がいい。14番枠だとポジショニングが難しくなりそうで、鞍上の手腕が問われるが、M・デムーロ騎手ですからね。

キタサンブラック……持久力と操縦性の高さを兼ね備えた現役最強馬。自分の得意なフィールドに持ち込んで、相手の良さを殺す能力は高く評価できる。一昨年3着、昨年2着と適性は高い。やはり、問題はローテーションですか。過去にもG1の3連戦で活躍した馬はいるが、当時は有力馬が同じようなローテーションの中での戦いであり、近年のようにG1をピンポイントで獲りにくる馬には分が悪くなる。とは言ってもですよね。最高の枠を引き当てたわけだし、馬券からは外せない。

サクラアンプルール……ロングスパート戦は得意。極悪馬場だった天皇賞を考えるとJCスキップもプラスに出そう。中山コースは(3110)と相性抜群。最近は大舞台で影が薄い鞍上ですが、大仕事を期待しています。

サトノクラウン……秋のG1を3戦目だが、JCがまったく走っていない分、好走している馬よりも疲労は少ないか。追い切ったコースは違うが、ラスト14秒を要した前走と比べて、今回の方が動きはいい。香港ヴァーズでハイランドリールを負かしているように底力を問われるレースにも強い。ただし、スピードが要求される展開だとまだ不安も。

サトノクロニクル……残り6ハロンから11秒台のラップが並ぶチャレンジカップは適性の高さを示唆するもの。瞬発力勝負になったセントライト記念の敗戦はある意味必然で、3着は逆に潜在能力の高さの現われではないか。枠も悪くない。中2週のローテーションが気になります。

シャケトラ……今春の日経賞を見れば通用する下地は備えている。外枠で左回りだった天皇賞秋、JCよりは間違いなく舞台設定はいいでしょう。

シュヴァルグラン……昨年は完敗。しかし、今年はJCでG1初制覇を果たし、1年を経て確実にパワーアップしている。以前と比べると、レース運びも随分と上手になった。今なら中山コースでも力を発揮できるはず。

ブレスジャーニー……サトノクロニクルの項でも述べたが、今年のチャレンジカップで勝ち負けした馬は、有馬記念のラップ適性とマッチする。長いブランクとまだ9戦のキャリア、そして内を回った勝ち馬に対して、こちらは外を回ってクビ、クビ差。あとはクロニクルと一緒で中2週がどうかと、こちらの方が脚質面で難しそう。

ミッキークイーン……どんな展開になっても対応できる総合力の高さが光る。逆に言うと、ここぞというところで勝ち切れないイメージもある。脚質と外枠も含めて連下までの評価。

スワーヴリチャード

キタサンブラック

シュヴァルグラン

サクラアンプルール

×サトノクロニクル

×シャケトラ

×ミッキークイーン

text by 小林