4回中山5日目11Rに行われた第72回GⅡセントライト記念は4番人気のジェネラーレウーノが2番手から抜け出す競馬をして後続を完封。日本ダービー⑯着の大敗を教訓にパドックで周回時の馬具を工夫するなど、陣営のイレ込みへの対策、努力が実を結ぶ形で、秋緒戦を快勝しました。騎乗した田辺裕信騎手は今年のJRA・GⅡは初勝利で、管理する矢野英一調教師は1月の同馬による京成杯に続いて今年のJRA重賞2勝目。ジェネラーレウーノは北海道日高町・新生ファームの生産馬で、馬主はGリビエール・レーシング。通算成績は7戦4勝。この結果、②着レイエンダ、③着グレイルまでが菊花賞の優先出走権を獲得。

それではレースを振り返ってみましょう。

 

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【展開・ペース】

 スタート直後、ジェネラーレウーノも先手を取る構えを見せましたが、タニノフランケルが何が何でもといった姿勢で先制。タニノフランケルが少し後続を離していたので1000m通過は60秒9でも、2番手以降はスローペースの範疇。ただ、そこから前が大逃げの形になり、7~9ハロン目は11秒台。ラスト2ハロンを要したので全体時計は水準レベルですが、後半のペースアップに対応できる地力が必要な展開に思えました。

 

パドックを歩くジェネラーレウーノ。ホライゾネットに更に虫除けネットを重ねて視界を遮り、テンションが高まるのを抑制。陣営の創意工夫が勝利を呼び込んだ。(撮影:yu~kun)

 

 

【レース分析】

 勝ったジェネラーレウーノは8キロ増の馬体が逞しく映り、同じ2番手からレースを運ぶ形でもスローで折り合いを欠いた日本ダービーとは違い、マイペースを守れたことで走りはスムーズでした。もともと3頭雁行で先行する厳しい流れの皐月賞③着が本来の能力ですが、自ら早目にスパートして前を捉え、後続に差されそうな場面もなかった今回の内容には精神面の成長も窺えました。

「主張する馬がいなければ逃げるつもりでしたが、2番手で落ち着きました。3角過ぎに逃げ馬がペースを上げて、こっちは渋くなりそうだったので早目に追い出しましたが、脚は残っていましたし、割と楽に差してくれました。ダービーは2番手でも掛かって、この馬らしくなかったので、秋はどうしようかと思っていましたが、気分を損ねずに乗れたことが、いい方に出ましたね」田辺裕信騎手はコメント。陣営は次走を明言しておらず、菊花賞に向かった場合は長距離輸送など課題はありますが、気分良く先行できた際にはスタミナも保ちそうですから、軽くは扱えないでしょう。

 

ジェネラーレウーノの4代血統表

 

 ②着が断然の1番人気となったレイエンダ。ダービー馬の全弟が3戦3勝、前走時計も優秀となれば高い支持を受けるのは当然ですし、レースでも大外枠をまったく苦にせず、中団の外で末脚を温存。直線での伸び脚も力強く、勝ち馬とは経験値、機動力や脚質の差が出ただけで、能力の高さは確認できました。騎乗したC.ルメール騎手も「リラックスして走れて、凄くいい競馬ができました。勝ち馬とは枠順と経験の差だと思います。前回よりパワーアップして、精神的にも大人になっていましたし、これからが楽しみです」とコメント。次走がどこでも大いに注目されますね。

 

パドックを周回するレイエンダ(撮影:yu~kun)

 

 ③着グレイル(6番人気)はゲートの出が今ひとつで後方に待機。それでも終始、馬群の内を通ったことでスタートのロスはリカバリーできたように見えましたが、直線を向くと、そのまま内を突くと前が詰まる危険性があると鞍上が判断したようで、斜めに持ち出して最後は②着馬の外へ。結果的には皐月賞⑥着時と似たような競馬になりましたが、ゴール前は目立つ末脚で馬券圏内へ浮上。右回りで直線の長い京都外回り、少し上がりを要す流れなら、次の菊花賞でも躍進があって驚けない内容でした。

 ④着ブレステイキング(2番人気)も10キロの体重増は成長分で太目感はなく、②着馬の前の位置で流れに乗ってレース運びもスムーズでしたが、最後に伸び切れなかったのは完成度の差、そして本質的には広い東京がベストなのでは、という印象も受けました。⑤着オウケンムーン(10番人気)は外枠で出遅れて流れに乗れず、機動力を生かせない形でも馬群の大外を回って③着馬と並ぶ上がり最速タイ。春のGⅠでは大敗が続きましたが、夏季休養の効果は大きく、共同通信杯Vが伊達でないことを示しました。ダービー③着のコズミックフォース(5番人気)は好仕上がりが目につきましたが、ロスのない立ち回りでも伸びが今ひとつ。中山でもGⅢ②着の実績がありますが、東京コースがベストなのでしょうか。

 

 

 次走以降に向けて、個人的に注目したいのが⑭着のダフルフラット(8番人気)。当日気配は良さそうに映りましたが、前回は酷暑の新潟で、休み明けを使われて中1週での出走。中間には首の筋肉痛で順調さを欠いた影響もあったようで、鞍上も最後は無理をしていないように映りました。前2走の時計は優秀ですから、立て直して自己条件に出走してくれば、大きく変わる予感がしています。

text by 五十嵐

 

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