5月19日に東京競馬場行われた第80回GⅠ優駿牝馬(オークス)は1番人気に支持されたラヴズオンリーユーがゴール前でキッチリと差し切って優勝。2006年のカワカミプリンセス以来、13年ぶりとなる無敗のオークス馬が誕生しました。2分22秒8という勝ち時計はオークスレコード(従来のレコードは2012年にジェンティルドンナがマークした2分23秒6)。手綱を取ったM.デムーロ騎手はこの勝利で史上10人目となるクラシック完全制覇を達成。管理するのは矢作芳人調教師。ラヴズオンリーユーは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主はDMMドリームクラブ㈱。
それではレースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 大方の予想通りに最内枠からジョディーが先手を主張し、コントラチェックが2番手に続く形。今の高速馬場を考えれば1000m通過59秒1は決してハイペースとは言えませんが、そこからも流れが緩むようなことはなく、結局は最初の2ハロン目以降に12秒台後半のラップは1度も出現せず、2012年にジェンティルドンナが記録したレースレコードが0秒8更新されました。
【レース分析】 ラヴズオンリーユーは金曜日に輸送した効果もあってか、体重は前走時と変わらずに気配も上々。レースでもジックリと構えて折り合いがつき、直線入り口あたりからスパートを開始。鞍上のアクションに応えて最後まで力強く伸び切り、先に抜け出した②着馬を捉えました。
騎乗したM.デムーロ騎手は「うまくスタートを出てくれてゴチャつかず、いい位置で運べました。向正面で少しポジションが下がってしまって今日は前残りの馬場だったので届くかどうか不安でしたが、直線で外に出すと素晴らしい瞬発力を発揮してくれました。自分としてはオークスを勝ったことがなかったですし、1番人気のプレッシャーも感じていましたが、馬が本当に強かったです」とコメント。確かにキャリア4戦目で、タフな流れを乗り切ってGⅠを勝つのですから能力の高さは疑う余地がなく、更なる成長も見込めるとなれば、年長馬や男馬との対戦も楽しみになってきますね。
惜しかったのは②着のカレンブーケドール(12番人気)で、流れに乗って早目にスパートする形は戦前からのレースプランの通り。一旦は完全に抜け出して、ゴール前は差し返すような脚も使っていましたから、人気薄での大健闘でも内容的には優秀です。スイートピーS勝ちから距離延長で上積みがあったのでしょうが、今回の走りは勝ち馬と同等に評価すべきでしょう。
③着のクロノジェネシス(2番人気)は好枠を生かして、これまでよりも積極的な立ち回り。鞍上が勝負に出たようなレース運びで、最後まで渋太く脚を使っていました。今日の流れで、この戦法だと若干、距離が長かったのかもしれませんが、それはあくまでも結果論。果敢なレースぶりには拍手を送りたいと思います。
スタートでロスがありながら直線での末脚が目を引いた④着ウィクトーリア(6番人気)、距離不安を囁かれながら最後までしっかりと伸びていた⑤着ダノンファンタジー(4番人気)、更には②着馬の後ろから一瞬はグッと伸びかけた⑥着シャドウディーヴァ(7番人気)も健闘といえる走りを見せくれました。
一方で少し納得がいかないのが、自分が本命に推したエールヴォアの負け方。スタートを決めて3番手追走は、こちらが期待していた通りのレース運び。4コーナーでも②着馬より手応えは良く映りましたが、そこからの伸びが案外。明確に敗因は掴めませんが、過去の重賞での走りを考えると力負けとは思えないので、どこかで馬券を取り返したいと考えています。
text by 五十嵐友二
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