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第163回天皇賞(春) 回顧

 

 

2021年5月2日(日) 2回阪神12日

2021年は阪神競馬場

 今年は舞台を阪神に移しての開催。当日は11時30分頃から1時間ほど小雨が降りましたが、良馬場のまま。時計も平均して標準より0秒6速く、大きな影響はなかった感じ。レースラップを四分割すると、47秒7─47秒9─49秒8─49秒3。3分11秒7は、ディアスティマが松籟Sでマークした3分11秒9の基準タイムを上回り、阪神3200mのレコードタイムとなりました。レースはディアスティマが押してハナへ。外からジャコマルも仕掛けて、これが2番手を確保。人気の一角カレンブーケドールとディープボンドが3番手集団を形成。最もペースが落ち着いたのが1コーナーから向正面にかけての区間。そこから徐々にペースが上がって、内回りらしいロングスパート線。前半のペースが速かった分、最後はスタミナを問われるレースになりました。

 勝ったワールドプレミアは序盤は内でジッとして、向正面で外へ。勝負どころで外を回るロスは小さくありませんでしたが、先に仕掛けた②③着と比べて、こちらはギリギリまで我慢した分、最後の伸びにつながった感じ。福永騎手によると、「向正面でウインマリリンが外から来ましたが、ここで動かなくてはいけないなと判断し、少し早く外に出しましたが、そこから長くいい脚を使っています」とのことですが、瞬時に切れるタイプではないので、これで正解だったのでしょうし、展開も向きました。勿論、馬の地力があってこそです。福永騎手は春の天皇賞は初制覇。友道調教師は2008年アドマイヤジュピタ以来の2勝目。

 ディープボンドは手応え以上に渋太かったです。一旦はカレンブーケドールに離されながらも直線で再び差を詰めます。これを交わせると思ったところで、外から勝ち馬が襲来。馬体を併せにいきましたが、相手の勢いの方が上でした。カレンブーケドールは完璧な立ち回り。道中は3番手集団のイン。逃げたディアスティマを目標に抜け出しを図りますが、惜しむらくは一頭になるのが少し早くなってしまったかなと。牝馬には厳しいレースと言われる春の天皇賞で見せ場たっぷりの③着。アリストテレスはディープボンドを見る位置で折り合いに専念。いい位置にいると思いましたが、勝負どころで少し置かれ気味。直線で脚を伸ばしながらも前を捉まえるまでには至らず、逆に外から勝ち馬に差されてしまいました。ルメール騎手は、「現状は2400mくらいがベストと思う」と。

 ウインマリリンは外枠が痛かったです。ポジションを取れず、終始外を回るロスの大きな競馬。それでも、福永騎手がコメントしたように、横山武史騎手による強気な競馬で掲示板を確保。ナイスファイトでした。十分に強い競馬をしています。ディアスティマは松籟Sと同じようにハナを切り、最初の4ハロンは今回の方が0秒7遅かったのですが、中盤にペースを緩められなかった分、苦しくなりました。ユーキャンスマイルは縦長の隊列の後方。インで運んで、向正面で外に進路を取りかけましたが、前との差を考慮してでしょうか、最後は内を選択しました。そのままコーナーワークで前との差を詰めます。上手い立ち回りでしたが、4角で前が壁になって少し待たされる場面も。このあたりはリスクを取って内を回った為に仕方がありません。直線ジリジリ差を詰めてきましたが、勝負に加わるまでには至らず。結果的に上位勢とはポジショニングの差が大きかったです。

text by 小林  

 

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