9月19日(月曜)に中山競馬場で行われた菊花賞トライアル第76回GⅡセントライト記念(芝・外回り2200m・3歳・馬齢重量・曇り・稍重馬場)はガイアフォースが②着馬との競り合いを制して優勝。騎乗した松山弘平騎手、管理する栗東・杉山晴紀調教師ともセントライト記念は初勝利。この結果、ガイアフォース、アスクビクターモア、ローシャムパークの3頭が菊花賞の優先出走権を獲得した。ガイアフォースは北海道安平町追分ファームの生産馬。馬主はKRジャパン。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 好スタートを切ったセイウンハーデスが一旦は前に出ましたが、大方の予想通りショウナンマグマが先手を主張すると後続も隊列が決まり、前半5ハロン通過は60秒3。これは3歳GⅡだとスローの部類。但し、最もラップが遅かった地点でも12秒5ですから、稍重の馬場コンディションも加味すると緩みのない流れと考えたほうが良さそうで、実際にラストの1ハロンは12秒2を要し、地力が問われる展開になりました。
【レース分析】 勝ったガイアフォース(単勝3番人気)は8キロ増の馬体に太め感はなく、互角のスタートから自然体で流れに乗ると終始、②着馬をマークするような位置取り。勝負どころでの手応えは前にいた相手の方が優勢に見えましたが、鞍上に追われると最後まで渋太く脚を伸ばし、ゴール前でアタマ差だけ、競り合いを制しました。
「今日はポジションもいいところにつけられましたし、手応えも良かったです。相手を倒しに自分から動いて、ラストまでよく頑張って、凌いでくれました。枠順も良く、他馬を見ながらしっかりと脚がたまって、最後も追ってから、いい反応を見せてくれて、強い競馬をしてくれたと思います。けがもあった馬ですが、陣営が一生懸命に立て直し、素晴らしい状態で戻ってきたので、ここまでくることができました。まだまだやれる馬ですし、これからも一緒に歩んでいきたいと思います」とレース後に松山騎手はコメント。レースセンスが良く、スピードの持続力も並でないことは前走、小倉戦でのレコード勝ちで示していましたし、フットワークの大きな馬なので、戦前は当日の馬場状態が懸念されましたが、予報よりも好天となり、稍重まで回復したことも大きな勝因でしょう。今年の菊花賞も阪神の内回りが舞台。この馬には適していると思われるコース形態ですし、最後にグイッと前に出た勝負強さから、良馬場で行われれば3000mに距離が延びることも苦にすることはない気がしています。
②着アスクビクターモア(1番人気)も気配は良く映り、先行馬を行かせて3番手の位置で折り合いもスムーズ。直線入り口での手応えも十分で、早め先頭から一旦は後ろを引き離しそうな場面もありましたが、最後に競り負けたのは目標にされた分と、秋緒戦に向けての仕上げの差でしょうか。次走については未定のようですが、高水準の日本ダービー③着馬らしいレースはできましたから、どの条件でも上位候補であることは変わりないでしょう。③着が当日版の紙面で◎にしていたローシャムパーク(2番人気)。返し馬の時から、それほど行きたがる感じもなく成長が窺えました。レースでも鞍上になだめられながら折り合い、勝ち馬の後ろの位置で道中は上位人気馬が縦に並ぶような形。追い上げていく時の脚いろも悪くなかったのですが、最後に勢いが鈍ったのは現時点の完成度の差でしょうか。それでも、一線級と対戦した経験は次走以降に生きるはずですから、菊花賞に出てきてもシルシはつけようと考えています。
他で印象に残ったのは④着セイウンハーデス(7番人気)の頑張り。有力勢が早めに動いて4コーナーでは脚勢が鈍り、大きく失速しても仕方ないような展開に映りましたが、最後は盛り返し気味に掲示板を確保。鞍上の幸騎手は「他馬を気にして手応えが悪くなってしまいました」とコメントしていますから、バテたり勢いに怯んでいたわけではなく、次走が自己条件の3勝クラスで、馬具なども工夫してくれば注目したいですね。4番人気で⑦着のオニャンコポンは直線で伸びを欠いて、最後は息切れしたようなレースぶり。久々のせいか、本質的に2000mを超えると距離が長いのかは、今後の動向を見て判断したいところです。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。