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第78回 セントライト記念 回顧

 

 

 9月16日(月曜)に中山競馬場で行われた菊花賞トライアル第78回GⅡセントライト記念(芝2200m・3歳・馬齢重量・曇り・良馬場)は2番人気に支持されたアーバンシックが優勝。管理する美浦・武井亮調教師、騎乗したC.ルメール騎手はともにセントライト記念は初勝利。この結果、アーバンシックコスモキュランダエコロヴァルツがGⅠ菊花賞の優先出走権を獲得した。アーバンシックは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング

 

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

 

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【展開・ペース】 内枠のタガノデュードは出脚が今ひとつだったこともあり、好位に控える形を選択。二の脚が速く、一旦は先頭に立ったエコロヴァルツもハナは切りたくなかったようで、向正面に入る時には掛かることを嫌うようにヤマニンアドホックが前へ。2ハロン目以降に12秒後半のラップはなくても見た目の通り、ゆったりとした流れで推移していましたが、その割には馬群は縦長。残り3ハロンの手前あたりからペースアップしたものの、必然的にレース上がりは34秒6と速くなり、最後は瞬発力の優劣が明暗を分ける結果になりました

 

 

 

 

【レース分析】 勝ったアーバンシック(2番人気)はダービー以来の出走でも体重は2キロ減で、すっきりとした体つき。それでも、筋肉の張りは目立ち、春よりも完成度が上がったような雰囲気でした。返し馬でも落ち着いていた割にスタートは今ひとつでしたが、馬群の内でも折り合いに苦労するようなシーンはなく、無理なくポジションを上げると、勝負どころでは他馬が仕掛けても内で我慢して手応えは抜群。直線を向いてから②着馬の外に持ち出すと弾けるように伸びて、一気に前を捉えました。

 

 

 

 

 「春はダービーを使っていたほどの実力馬ですし、今日は自信を持って臨みました。大人っぽくなっていましたし、きっといい競馬をするだろうと思っていました。直線で外に持ち出してギアアップしましたが、そこからとてもいい脚を使ってくれました。まだ馬は良くなりそうですし、距離もこなせそうです。菊花賞でもチャンスがありそうですね」とレース後にC.ルメール騎手はコメント。初騎乗でスタート以外は完璧と言えるレース運びを見せた鞍上はさすがですが、それに応えた馬も随所に成長が窺える内容。父に似た追い出してから頭が高めのフォームは春と変わりませんでしたが、上手に脚をためて、そこから身上である決め手を発揮できたことが最大の収穫。次走が距離が延びる菊花賞でも、近年の同レースにありがちな鋭さ比べになれば、勝ち負けが期待できそうです。

 

 

アーバンシックの4代血統表

 

 

 ②着コスモキュランダ(1番人気)も馬体に太め感はなく、ダービーの時に感じた返し馬での歩様の硬さは変わりませんでしたが、テンションも上がることなく好仕上がり。こちらもゲートを出て一歩目は速くなくても特に影響もなく、道中の追走はスムーズ。緩いペースを馬群の外から早めスパートも、こちらが戦前に予想していた通りの立ち回りで、一旦は完全に抜け出しましたが、最後は勝ち馬の鋭さに屈しました。それでも、秋緒戦としては申し分ないレースでしたし、もともと叩き良化型、叩き上げタイプの印象があった馬。本番が持久力勝負になればチャンスは十分あるでしょう。③着エコロヴァルツ(3番人気)はレース後に鞍上が「折り合いがついて、やりたいと思っていたレースはできました」とコメントした通りの内容。積極的な運びから1頭、前に置く形は岩田康誠騎手が最近、重賞でよく見せるパターンでしたし、馬券圏内を確保して、次への手応えも掴めた様子。ベテラン騎手が長丁場の本番でどんな勝負に出るのかも含めて、楽しみになってきました。

 

 

 

 

 ④着ヤマニンアドホック(4番人気)は折り合い面を考えれば、他馬が行かなければ逃げる形を選択したのも納得。最後に甘くなっても力は出し切った印象ですが、現状は気性的に中距離向きの感も。コースも中山なら外回りより、内回りがベターでしょう。⑤着スティンガーグラス(5番人気)は出遅れは想定内。直線でも少し窮屈になりましたが、自身も内にモタれ気味で、上位馬に迫るほどの脚は使えませんでした。現段階で中山で重賞だと、パワー不足の印象。切れ味を発揮するには東京か、新潟コースが良さそうですが、まだ、成長途上と考えることもできそうです。自分が当日版で◎にしていたアスクカムオンモア(6番人気)は⑥着。スパッと切れる脚を使えるタイプではないので、序盤でこちらが考えていたよりも位置が後ろになったのは誤算でしたし、こうなると前走で速い時計をマークできたスピードの持続力は生かせませんでした。それでも大きくは崩れていませんし、自己条件は2勝クラスですから、次走以降の巻き返しに期待したいところです。

 

 

 

text by 五十嵐 友二

 

 

  

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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