2月15日(土曜)に東京競馬場で行われた第60回GⅢクイーンC(芝1600m・3歳牝馬・馬齢重量・晴れ・良馬場)は3番人気に支持されたエンブロイダリーが優勝。管理する美浦・森一誠調教師は当レースは初勝利。騎乗したC.ルメール騎手は4勝目となった。エンブロイダリーは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 ロートホルンが気合をつけてハナに立ちましたが、好スタートを決めたエンブロイダリーなどが差なく続き、2~3ハロン目が10秒8→11秒1。その後も11秒台のラップが続き、3歳牝馬のGⅢとしてタフな流れ。切れ味よりもスピードの持続力、速いペースのレース経験などが必要な展開になりました。
【レース分析】 勝ったエンブロイダリー(3番人気)は放牧明けで8キロ増の体重でも太め感はなく、好スタートから緩みのない流れの2番手を楽に追走。直線を向いてからも追い出しを待つ余裕があり、残り2ハロンを切ってから先頭に立つと手応え通りに伸びて、追いすがる②着以下を難なく振り切る危なげのないレースぶりでした。
「凄くいいスタートを切れて、すぐに2番手につけることができました。いいペースで走ることができましたし、あの位置が取れて良かったです。切れ味はあまりないですが、長くいいペースを維持できますし、加速してからのスピードもゴールまでキープできますね。それがこの馬のいいところです。休み明けでパンプアップしていましたし、スタートも上手になっていましたから、この上のレベルでも戦えそうです」とレース後にC.ルメール騎手はコメント。勝ちタイムは2016年のメジャーエンブレムを上回るレースレコードで、前週の東京新聞杯も0秒4凌ぐ優秀な数字。前走で1400mを使われていたことが速い流れに対応できた要因のひとつでしょうし、初勝利も1800mですが、逃げてレコードで後続に7馬身差ですから、卓越したスピード能力の裏付けもありました。同じ走りができれば桜花賞でも首位候補になることは間違いありません。

▲エンブロイダリーの4代血統表
②着のマピュース(8番人気)は勝ち馬と遜色ないくらいのスタートを切りましたが、折り合いを優先する形で好位の後ろに下げて、3コーナーを回るあたりから進出を開始。再び勝ち馬の直後まで追い上げると手応えは相手より劣勢でしたが、渋太く脚を伸ばして連対を確保しました。レース前に陣営から「短期間にこちらが思った以上にパワーアップしていて、重賞でも楽しみは大きい」と強気(◎)のコメントが出ていて、これは印を回さなくては、と思いましたが、持ち時計を大幅に詰めて、厩舎取材班のヒットとも言える好内容。こちらは桜花賞へ直行だと初めての右回りなど、課題もありますが、レースでの立ち回りは上手な馬ですし、大きな舞台でも侮れない存在になりそうです。エストゥペンダ(6番人気)は前走のフェアリーSに続いて、好タイム決着のGⅢで③着。外枠から後方待機で折り合いに専念し、自分の形に徹して、しっかりと脚を伸ばしました。①②着馬がメンバー中2頭の2勝馬で、③着は高速決着のGⅢ③着馬だったことが、経験値の高さを求められるレースになったことを示しているとも言えるでしょう。
④着コートアリシアン(4番人気)もGⅢ②着、GⅠ⑥着の実績がありましたが、課題のスタートを決めた割に、最後は脚勢が鈍って③着馬に交わされる形。現状は鋭い脚が長くは使えないようで、スローからの瞬発力勝負の方が得意な印象を受けました。1番人気で⑥着のマディソンガールも同様ですが、こちらはキャリアの浅さもあったでしょう。体重も初戦から6キロ減でしたし、今は成長を待つ段階なのでしょうか。2番人気で⑨着のショウナンザナドゥは直線での伸びが案外でしたが、2度目の東京遠征でも今回はイレ込み気味。鞍上もそれを敗因に挙げていました。関西圏のレースで馬体も増えていれば、見直しが必要でしょう。自分が◎に期待したロートホルン(⑦着)は勝ち馬に目標にされる厳しい展開に。それでも、⑨着までは1分33秒台の前半のタイムですから、いずれもハイレベルの一戦を経験しての次走以降は、巻き返しがあっていいと考えています。
text by 五十嵐 友二
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