6月29日(日曜)に函館競馬場で行われた第61回GⅢ函館記念(芝2000m・3歳以上・ハンデ・晴れ・良馬場)は10番人気だったヴェローチェエラが優勝。管理する栗東・須貝尚介調教師は当レースは2勝目。騎乗した佐々木大輔騎手は初勝利となった。ヴェローチェエラは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(同)TO RACING。
函館記念 研究ニュース本紙予想
馬単14,680円 ◎→○本線的中
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 大方の予想通り内からアウスヴァールがハナに立ち、外からトップナイフあたりが前に出てきた2ハロン目はラップが速くなりましたが、隊列が決まった1コーナーからは平均的な流れに。ただ、その後もペースが緩んだ区間はなく、残り3ハロンは徐々に加速していくようなラップになりましたから、長く脚を使える持久力、地力が求められる展開となりました。
【レース分析】 勝ったヴェローチェエラ(10番人気)は互角のスタートから気合をつけられることもなく、自然体で中団の位置をキープ。いつでも動ける馬群の外めにつけて、鞍上が促し始めたのは6ハロン通過あたりから。3コーナーで一気にスパート態勢に入ると、直線を向く手前で早くも先行勢に並びかけました。その勢いのまま先頭に立つと最後まで脚勢は鈍らず、後続の追い上げも封じて勝利を収めました。
「先週、今週と(自身は)あまり結果を出せていなかったので、勝ててホッとしています。先生とも向正面で動いていければと話していたので、イメージ通りに乗れました。道中、リラックスして走れていたことで、ゴーサインを出してからもしっかり動けましたし、(途中まで)力を抜いて走れたことが良かったんじゃないかと思います。手応えも良かったので、自信を持って乗りました。まだ、緩さが残る中で迎えた函館記念だったので、更に上のクラスでも期待できると思います。一昨年、昨年と函館で乗って、流れのいい競馬場だと思っていましたし、重賞を勝てて嬉しいです」とレース後に佐々木大輔騎手はコメント。戦前のプラン通りのレース運びだったようですが、スパートのタイミングをバッチリと決めた鞍上の手腕は称えられて当然ですし、終盤を加速ラップで走り切った馬の潜在能力の高さも確か。ここ数戦の内容から重賞で2400mを超える距離だと少し長く、デビュー戦で②着以来の2000mは起爆剤になるのでは、と見て本紙で◎に推した、こちらの期待通りの勝ちっぷりを見せてくれました。私見になりますが、最後まで脚を使い切れた今回の内容からも、やはり距離は2000~2200mがベスト。軽い馬場なら2400mでも、と考えているので、是非とも秋には東京のGⅠで姿を見たいものです。

▲ヴェローチェエラの4代血統表
②着ハヤテノフクノスケ(6番人気)も全体にレベルが高く、層も厚いと見ていた4歳世代。序盤は勝ち馬と並ぶ位置のインにいて、そこから流れに乗せて道中は好位を追走。勝負どころでは先に外から動いた勝ち馬を追いかけるような形になり、こちらも最後まで渋太く伸びていました。ただ、フットワークの大きな馬ですから、今回に関しては仕掛けてからの反応の差が結果に出た感じですし、どちらかといえば舞台も広いコースの方が向く印象。勝ち馬との勝負づけも済んだとはいえないでしょう。③着には最低人気のマイネルメモリーが突っ込みましたが、この馬はレベルが高いと見ていた日経新春杯で、当時④着のヴェローチェエラと0秒6差の⑦着でしたから、能力さえ出し切れば、最後方を追走から上がり最速での健闘も驚けません。今回は展開が向いた面もありますが、洋芝で結果を出せたことも収穫です。
④着ディマイザキッド(1番人気)は同枠の勝ち馬から1馬身程度の出負けは想定の範囲内。後方待機から勝ち馬と同様の進路取りで追い込んできましたが、最後は脚が上がって③着馬に交わされました。どうやら、こちらは持久力勝負より、決め手の鋭さが求められる展開が合う様子。②着馬とタイプは違いますが、広いコースがベターという点は同じでしょうか。⑤着ランスオブクイーン(8番人気)は馬群の最内を伸びた前走と違い、今回は枠なりに外を回る形。こうなると54キロのハンデでも、昇級戦が好メンバーの重賞では少し厳しかったようですが、相手関係を考えれば最後まで脚を使って、掲示板に載れば上等という見方も。もともと、オークスでも⑤着になった馬ですし、牝馬同士のGⅢなら上位候補でしょう。9番人気で⑥着のアルシナームもトップハンデの59キロを背負い、直線は外に持ち出せないシーンがありましたから、②着と0秒3差なら地力は示したといえます。サマー2000シリーズに続戦してくれば、次走の狙い目はこの馬かもしれませんね。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。