第60回札幌２歳Ｓ回顧

9月6日（土曜）に札幌競馬場で行われた第60回ＧⅢ札幌2歳（芝1800ｍ・2歳・馬齢重量・曇り・良馬場）は1番人気に支持されたショウナンガルフが優勝。管理する栗東・須貝尚介調教師は当レースは昨年から連覇で通算5勝目。騎乗した池添謙一騎手は初勝利となった。ショウナンガルフは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は国本哲秀さん。

それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】　最内枠で好スタートを決めたジーネキングが自然体で前に出ると、並んでいた5枠両馬は競りを避ける形に。1コーナーで3番手以降がゴチャつくシーンがあったこともあり、スローでもヒシアムルーズと2頭で少し後ろを離して道中も淡々とした流れ。3コーナー手前から多少、ピッチは上がりましたが、全体的には明らかに先行有利な展開でした。

【レース分析】　勝ったショウナンガルフ（1番人気）はデビュー戦から2カ月の間隔がありましたが、体重は2キロ減ときっちり仕上がり、しかも初戦よりも落ち着いた雰囲気。レースでは若干、アオり気味のスタートでも鞍上は慌てることもなく、後方で折り合いに専念。2番手から抜け出した初戦とは違う形になりましたが、馬も戸惑ったり、行きたがったりする様子はなく、追撃態勢に入ったのは1000ｍ標識を過ぎて、3コーナーに入るあたりから。馬群の大外を回る大味な競馬になりましたが、最後まで脚勢が衰えることはなく、逃げ粘る②着馬を捉えたところがゴールでした。

「スタート後にポジションを決めるつもりでしたし、そこまで（ゲートの出が）速くなかったので、リズムを取ってあの位置からに。かなり外を回すことになりましたが、素晴らしく長く脚を使ってくれましたし、しっかりとしたポテンシャルの持ち主ですね」とレース後に池添謙一騎手はコメント。本紙で◎にしていたこちらとしては、この展開であの位置から届くのかなと少し気を揉みましたが、鞍上は④着馬が先に動いた時にも仕掛けず、馬の能力、手応えに自信満々といった立ち回り。ペースが遅かったので、全体の時計は目立ちませんし、のちのGⅠ好走馬が①②着だった昨年と比べるとメンバーのレベルも微妙ですが、不向きな展開を豪快に差し切った、この馬の資質の高さに関して疑問を挟む余地はないでしょう。母の2勝は東京と新潟の外回りでしたし、今日のレースぶりからも広いコースになれば、更にパフォーマンスが上がる可能性まで考えられます。

▲ショウナンガルフの4代血統表

②着ジーネキング（10番人気）は今回がデビュー4戦目、中2週続きで新潟から転戦の形でしたが、使う毎に走りが良くなっており、タフなイメージと先の利を見込んで△をつけておきました。まさに、こちらの思惑通りの走りを見せてくれましたが、今回は相手が悪かった印象。それでも③着以下には交わされそうな感じがありませんでしたし、こちらもコース形態などに注文はつかないので、人気薄での好走を展開利だけで片付けない方がいいでしょう。③着スマートプリエール（4番人気）が○にしていた馬で、現時点での完成度は一番かもと見ていました。外枠からスムーズに中団で流れに乗り、1コーナーで前がゴチャつく事象も上手に避けていましたが、直線での弾け方は勝ち馬と比べるともうひとつ。鞍上は「ボコボコした馬場を少し気にしていました」とコメントしていますし、タフな馬場状態だと1800ｍは少し長い印象も受けました。ただ、母は1600ｍ前後に良績を残しながら、7歳時には2400ｍで牡馬を相手にGⅡを勝っていますから、早めに適性を決めつけるのは危険かも知れませんね。

④着アーレムアレス（2番人気）はスタートで3馬身程度の出遅れがあって、勝負どころでは勝ち馬より先に仕掛ける形に。上がり34秒5を記録した初戦ほどの脚を使えなくても仕方ないですし、むしろ大崩れしなかった点を評価すべきでしょう。半姉がダート8勝馬なので洋芝向きなのかも知れませんが、個人的には軽い芝の方が末脚が切れる可能性も感じるので、このあたりは次走以降を楽しみにしたいと思っています。⑤着ロスパレドス（3番人気）は皐月賞馬で、当レースも制したジオクリフの全弟ですが、兄が東京で新馬を好時計勝ちだったのに対し、こちらは福島でタイム面も平凡でしたから、2歳夏の時点での完成度がどうか、というのが戦前の見立て。それでも反応が鈍いなりに馬群の中から脚を伸ばして、掲示板に載れば内容は決して悪くまりません。今後の成長に期待したいところです。以下では▲にしていたポペットが5番人気で⑨着。出遅れて折り合いを欠き、1500ｍの初戦で見せた決め手を発揮できませんでした。本質的な距離適性について判断できる内容ではありませんでしたが、マイル以下の方がレースがしやすいことは確かでしょう

text by 五十嵐友二