第62回 大阪杯を制したのはスワーヴリチャード。昨年は日本ダービーで2着に泣きましたが、年を越えて念願のG1制覇を果たしました。管理する庄野靖志師にとっても嬉しいG1初勝利。北海道安平町ノーザンファームの生産馬で、馬主は(株)NICKSさん。それではレースラップへ。

平均はG2時代の良馬場

1:58.2(12.8 – 11.3 – 12.4 – 12.4 – 12.2 – 11.8 – 11.2 – 11.1 – 11.4 – 11.6)

前半1.01.1 : 後半57秒1

 前半は1分1秒1のスロー。レースは1000m過ぎに動いて、後半57秒1は過去10年で最速。スワーヴリチャードは自ら動いて地力勝負に持ち込みました。馬の力を信じて乗ったM.デムーロ騎手の好騎乗、それに応えた馬は立派です。この上がりを後ろから差すのは至難の業。外を回らされた馬も厳しかったでしょう。

 M.デムーロ騎手は「有馬記念の時はペースが遅くて、ずっと外々を回らされた。今回も外枠だったので、そうなるのだけは嫌だった。それで、スタートがゆっくりだった時点で遅ければ行こうと思っていた。思い通りの競馬ができたし、直線向いた時も凄い手応え。これで負けないと思ったね。有馬記念の時と違って今回は手前をちゃんと替えてくれた」とコメント。

 スタートがひと息なのは想定内。ならばと、あくまでペースが遅かった場合のプランとしてですが、早めに動く形は最初から頭にあったようです。結局、動いたのは向正面と最後の直線部分で、最初と最後のコーナーでは動いていないんですよね。最後の直線もラチ沿いを走れましたし、本人は右回りは問題ないと言ってましたが、モタれる面を気にしての騎乗ではなかったのかなと想像。結論としては……、上手く乗りました(笑)

 血統的には、さすがハーツクライ産駒といった成長曲線。今回4歳馬が上位6頭のうち5頭まで占拠しました。もともと昨年の皐月賞はハイレベルで、当時の1、2着は今回も上位へ。ただ、6着だったこの馬が、鞍上の好騎乗を差し引いても成長力という点で一番だったということでしょうか。

スワーヴリチャード血統表

 ペルシアンナイトもスタートはひと息でしたが、道中は中団の内から2列目、アルアインの直後。直線もスッと外に出せて絶好の展開でした。ラスト1ハロンでグイグイ伸びてきましたが、勝ち馬を3/4馬身まで追い詰めたところでゴール。上がりはレース最速タイの33秒7。距離は問題ありませんでした。掲示板に載った馬の中でテン乗りは福永騎手だけ。今回は勝ち馬が強かったと思いますし、十分に仕事は果たしたのではないでしょうか。

 私の本命・皐月賞馬アルアインは3着。休み明けをひと叩きされて、馬は良くなっていました。レースでは、スタートからある程度のポジションは確保するという意思は感じましたし、向正面ではダンビュライトの後ろへ。勝負どころでは内に進路を取り、前を行くスワーヴリチャードを追いかける格好。結局、捉えるには至りませんでしたが、4着以下は引き離して上位3頭の争いに持ち込んでおり、力は出し切ったと思います。

 ヤマカツエースの上がりはペルシアンナイトと同じ33秒7。道中は枠なりで中団後方のイン。レースが動いた向正面、3コーナーでもジッと動かず、直線は内めをよく伸びてきましたが、上位3頭を脅かすまでには至らず。逆にミッキースワローは最内枠でしたが、勝負どころで外々を回る形。ワンテンポ仕掛けを遅らせてジワジワ動きましたが、ちょうど11秒2、11秒1とラップが最も速かった箇所。外を回ったことを考えると強い競馬をしています。デビューしてから菊花賞6着を除くと掲示板を外しておらず、これまでも相手なりに走れるタイプでしたが、今後が楽しみになる内容。3番人気に支持されたサトノダイヤモンドは7着。道中はスマートレイアーの後ろ、中団のイン。レースが動いた時は内で身動きができず、4コーナーでようやく外へ。ただ、前とはかなり差がありましたし、自身の伸びも思ったほど弾けず。同じテン乗りでもペルシアンナイトとは明暗が分かれた結果になりましたね。

text by 小林  

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。