競馬 研究ニュース

2019秋華賞への道

 

2018年12月9日(日) 阪神ジュベナイルF

 前半47秒0、後半47秒1の平均ペース。L3(ラスト3ハロン目)で11秒0と一気にペースアップし、その分ラスト2ハロンは11秒8、12秒2と少しかかりました。直線に入って前の脚が止まったところで後方勢が台頭してきた格好。

 ダノンファンタジーは行く気もなく後方から。道中は手綱を抑えて我慢し、直線は大外へ。4角で2着馬のブロックをかいくぐり、そのまま激しい叩き合いを制しました。クロノジェネシスはスタートでタニノミッションに前に入られたこともありますが、出足もつかず後方から。4角では逆手前でコーナーワークがぎごちない部分がありましたし、直線も少し追いにくそうでした。2頭の差は現時点での完成度の差と言えるかも。着差を考えると勝負付けが済んだとはとても言えません。

 3着ビーチサンバは上位陣で一番うまく立ち回れたのではないでしょうか。切れ負けしましたが、よく食い下がっています。シェーングランツは内枠が仇になった感じ。武豊騎手は外に出したかったのですが、まだまだ緩くて瞬時に反応できませんし、外のサヴォワールエメが壁になって出せません。直線は外へ外へ進路を探しながら伸びてきたようにちょっと勿体ないレースになりました。

 

 

2019年4月7日(日) 桜花賞

 昨年の2歳女王ダノンファンタジー(2.8倍)が1番人気。グランアレグリア(3.4倍)、クロノジェネシス(5.7倍)、ビーチサンバ(10.7倍)と続いて、2歳GⅠ上位馬がそのまま上位人気に支持されました。新勢力ではエルフィンSを勝ち上がったアクアミラビリス(12.4倍5番人気)が注目を浴びました。週中から降雨がなく、当日も快晴。同じ舞台で行われた7R 4歳500万下で1分34秒2でしたから、桜花賞も好時計が予想されましたが……。

 レースはメイショウケイメイ、ジュランビルがスタートを決めて先行しますが、外からプールヴィルが来ると無理せず控えました。前半47秒7─後半45秒0。4R 3歳未勝利(芝1800m)で、800m通過47秒6ですから遅いです。前後半で2秒7もの差があるスローペース。レース上がり33秒3は過去10年と比べて最速。それでいて、時計は昨年アーモンドアイがマークした1.33.1を上回る1.32.7の桜花賞レコードでした。この時計ですから力がないと上位には来られませんが、やはりある程度の位置で運んだ馬が有利な競馬です。

 シゲルピンクダイヤは繋靱帯炎明けで満足に追えず、それでいて体を減らしていたチューリップ賞からプラス6㎏。上積みを見込める状況でしたが、それにしてもレース最速の上がり32秒7を使って②着は立派。このペースでスタートの出遅れを考えると、非常に中身の濃い競馬をしています。直線は一瞬だけ前が詰まった以外はうまい具合にスペースがあり、ロスを最小限に止める乗り方をした和田騎手も見事でした。

 クロノジェネシスは馬込みで少し頭を上げる場面がありましたが、何とかなだめて中団を追走。痛かったのは直線に向いて外のノーワンにフタをされて追い出しが遅れたこと。その後の伸びは目立っていただけにスムーズならもっと差は詰まっていたはず。それでも勝ち馬には及ばなかったでしょうが。

 1番人気のダノンファンタジーは行きたがっていましたね。ペースが遅く、外枠で前に馬を置けなかったのが響きました。ちょうど勝ち馬をマークする位置取りでしたが、相手に先に動かれて突き放されたように内容的には完敗。力は示していますが、これ以上距離が延びると厳しそうです。 ビーチサンバは全体にうまく乗られていました。現状の力は発揮できたと思います。

 

 

2019年5月19日(日) 優駿牝馬

 大方の予想通りに最内枠からジョディーが先手を主張し、コントラチェックが2番手に続く形。今の高速馬場を考えれば1000m通過59秒1は決してハイペースとは言えませんが、そこからも流れが緩むようなことはなく、結局は最初の2ハロン目以降に12秒台後半のラップは1度も出現せず、2012年にジェンティルドンナが記録したレースレコードが0秒8更新されました。

 惜しかったのは②着のカレンブーケドール(12番人気)で、流れに乗って早目にスパートする形は戦前からのレースプランの通り。一旦は完全に抜け出して、ゴール前は差し返すような脚も使っていましたから、人気薄での大健闘でも内容的には優秀です。スイートピーS勝ちから距離延長で上積みがあったのでしょうが、今回の走りは勝ち馬と同等に評価すべきでしょう。

 ③着のクロノジェネシス(2番人気)は好枠を生かして、これまでよりも積極的な立ち回り。鞍上が勝負に出たようなレース運びで、最後まで渋太く脚を使っていました。今日の流れで、この戦法だと若干、距離が長かったのかもしれませんが、それはあくまでも結果論。果敢なレースぶりには拍手を送りたいと思います。

 距離不安を囁かれながら最後までしっかりと伸びていた⑤着ダノンファンタジー(4番人気)、更には②着馬の後ろから一瞬はグッと伸びかけた⑥着シャドウディーヴァ(7番人気)も健闘といえる走りを見せくれました。

 

 

2019年9月7日(土) 紫苑S

 メイクハッピーがハナを叩き、前半1000m通過は60秒5のスローペース。道中で後続勢に目立った動きはなく、こうなると展開は前有利。

 パッシングスルーは前走時と比較して8キロの馬体増。体が逞しくなってきた印象が強く、ひと夏を越しての成長は確か。1周目のホームストレッチでカレンブーケドールが上昇するのに合わせて3番手につけた。そこからは前を走るカレンブーケードールをピッタリとマーク。直線で追い比べに持ち込めた。ゴール前はフェアリーポルカの脚いろが優勢に映ったが、ゴールの瞬間だけ僅かに前に出て接戦をモノにした。この秋の中山芝コースは例年以上に高速化しており走破タイムは鵜呑みにはできないか。

 「大外枠がどうかと思っていましたが、スタートが良かったですし、二の脚がついてスムーズに3番手が取れました。道中の手応えも良かったので、あとは仕掛けどころを間違えなければと思っていました。乗りやすい馬で、牝馬の割にパワーがあります。GⅠの舞台でも期待できると思います」と1勝クラス、重賞と連勝に導いた戸崎圭太騎手はパートナーの走りを称えるコメント。この後は一旦、ノーザンファーム天栄へ放牧。成長を促しつつ、秋華賞、エリザベス女王杯などGⅠレースを目指す予定のようだ。

 フェアリーポルカはオークス以来の出走で馬体が増えてプラス16キロ。ただ、太目感はなく、これは成長分だろう。逃げ馬の直後を追走し、ポケットに収まる。直線はカレンブーケドールの後を追うようにしてスムーズな立ち回り。完璧な騎乗ではあったが、首の上げ下げでハナ差の惜敗。レース運びがうまさがあり、器用さも要求される秋華賞でもマークしたい1頭だ。

 本命に推したカレンブーケドールは太目感なく馬体は仕上がっていたが、普段、調教に使う南ウッドチップコースが閉鎖されていた影響もあって坂路オンリーでの調整。それに目標は次でもあり、点数で言うと85点くらいの仕上がりだったか。2番手をキープし、絶好の展開に映ったが、押し切れなかったあたりは、トライアルへのモチベーションの差と見ることもできる。

 

 

2019年9月15日(日) ローズS

 1.44.4は2013年にカレンミロティックがマークした1.44.5を0秒1上回るコースレコード。阪神はセントウルSに続き、2週連続のレコード決着となった。ただ、前半3ハロン35秒4は重馬場だった2016年と同じでユッタリとした入り。逆に後半45.1‐33.4は過去10年で最も速く、スローの上がり勝負。前にいた馬に有利な競馬だった。

 レースはダノンファンタジーの出足が良かったが、それを内からメイショウショウブ、外から掛かり気味のシャドウディーヴァシゲルピンクダイヤが交わして前へ。更にその外からスイープセレリタスが先頭に躍り出る。ビーチサンバ、ウィクトーリアも外から続く。結果的に前記7頭からシャドウディーヴァを除く6頭で上位を占めることとなった。

 ダノンファンタジーはポンと飛び出したが、抑えて中団から。直線は外に持ち出して、この速い上がりをよく差し切った。末脚に磨きをかけて最後の一冠へ。その本番も折り合いがポイント。出足がいいので、外枠だと不安もある。序盤は馬の後ろで折り合いに専念したビーチサンバだが、3コーナー手前で先団に取り付くと、4角では先頭に並びかける。長く脚を使っているし、ウィクトーリアとの②着争いは制したが、勝ち馬の決め手に屈する。シゲルピンクダイヤは外枠もあって序盤は力んでいたが、前に馬を置いてからは折り合いがついた。ただ、序盤の分だけ最後は伸び切れなかった感じ。結局、オークスからの直行組が上位を独占。

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。