1回札幌6日目11Rに行われた第23回エルムS(GⅢ)は2番人気のハイランドピークが早目の仕掛けから抜け出して、重賞初勝利を手にしました。騎乗した横山和生騎手はデビュー8年目で、嬉しいJRA重賞初勝利(2013年にエーデルワイスSで交流重賞はV)。管理する土田稔調教師は1998年タイキシャーロックに次いで2度目のエルムS優勝。ハイランドピークは北海道日高町・㈲エスティファームの生産馬で、馬主は冠名トーセンでお馴染みの島川隆哉氏。通算成績は14戦6勝。
それではレースを振り返ってみましょう。
【展開・ペース】
戦前の予想では先行争いが激しくなるのでは、という見方もありましたが、内枠のドリームキラリが絶好のスタートを決めたことにより競り合いは見られず、各馬の1角までの入りもスムーズになりました。5ハロン通過59秒6も最終レースの1000万と同タイムですから、この日の軽い馬場状態を考えれば重賞としては、それほど速くはない流れ。ただ、そこから前がペースを緩めなかったので後続もなかなか追い上げられず、結局は先行タイプがスピードの持続力を生かし切る形となりました。
【レース分析】
勝ったハイランドピークは懸案になっているスタートの不安定さを見せませんでしたが、②着馬のスタートが良かったので無理に競ることはせず、外の馬(⑦着)が掛かり気味に前へ行った時も気にする様子はなく、自分のペースで3番手を走れていました。道中も常に逃げ馬を射程圏に入れて、勝負どころでは後続のスパートを待たず、早目に進出を開始。一度も外から被されることもなく、スムーズなレース運びで最後は直線の追い比べを制して抜け出しました。
「体調の良し悪しでゲート内の仕草などが左右されたりしますが、今日は上手にスタートを決めることができましたし、他馬との兼ね合いよりもハイランドピークのリズムを大事にして乗りました。人間はダサい乗り方をしてしまいましたが、馬が本当によく頑張ってくれました」と横山和生騎手はコメント。今後は揉まれる形になった際の対応が課題でしょうが、まだ伸びしろも十分に見込める4歳馬ですから、精神的にも成長が期待できそうですね。
②着に粘ったドリームキラリ(3番人気)は調教VTRでチェックした段階から気配の良さが目につき、レース当日の体重が12キロ増も前回、減っていた数字が回復したもの。好スタートを決めてハナに立ち、道中も無理のないペースで逃げて持ち味を出し切った印象を受けました。前々走では先手を取れない形でも大崩れせずに、地力強化を示していましたから、今後も要注目ですね。
そして③着が1番人気に支持されていたミツバ。ただ、この馬は器用に立ち回れるタイプではなく、小回りコースで時計の速い馬場、内枠だと楽観視できる状況ではありませんでした。案の定、レースでは後手に回り、直線を向いた時も絶望的な位置取りでしたが、唯一、35秒台の上がりで馬券圏内を確保した内容は高く評価すべきでしょう。
④着ロンドンタウン(5番人気)は昨年の勝ち馬で、脚抜きのいい馬場状態も得意なだけに、直線で伸び切れなかった点は少し物足りません。まだ良化途上なのでしょうか。⑤着の7番人気アンジュデジールは牡馬を相手にソツのない立ち回りで善戦。放牧明けで今回の内容なら右回りも問題なく、次走が牝馬限定戦なら当然、有力候補になるでしょう。
text by 五十嵐
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。