10月11日(土曜)に東京競馬場で行われた第11回GⅢサウジアラビアロイヤルカップ(芝1600m・2歳・馬齢重量・小雨・良馬場)はエコロアルバ(2番人気)が優勝。管理する美浦・田村康仁調教師、騎乗した坂井瑠星騎手ともにサウジアラビアロイヤルカップは初勝利。エコロアルバは北海道新ひだか町藤原牧場の生産馬。馬主は原村正紀さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。

▲レース動画はコチラをクリック
【展開・ペース】 内からマーゴッドブローが気合をつけてハナに立つと、並んでいたガリレア、ユウファラオは競りを避けて、すぐに隊列が決まる形。前半3ハロンが35秒7に対し、上がりは34秒0ですから、少頭数の2歳戦らしくペースはかなりのスロー。展開的には先行有利で、差しタイプには末脚の切れ味、瞬発力が求められるレースとなりました。


【レース分析】 勝ったエコロアルバ(2番人気)は出遅れても鞍上は慌てる様子もなく、折り合いに専念して道中は最後方。軽く促しながらの追走でしたが、本格的に追い上げ態勢に入ったのは直線を向いてから。残り400mでも一番後ろの位置でしたが、そこから一気に加速して前の集団を呑み込み、ゴールでは②着馬に1馬身半の差をつけていました。
「脚が速かったです。(レースの進め方は)ゲートを出たなりでと考えていましたが、思ったよりも出なかったです。ただ、前がやりあっていたので、気にせずに運びました。(道中は)進んで行かないくらいで、逆に不安になりましたが、直線を向いて動き出してからは反応が凄くて、エンジンがかかったら“これはもう勝つな”という感じでした。東京のマイルをこなせたように距離はまったく問題ありません。性格が良くて、操縦性もいいですし、今後が楽しみになる内容でした」と坂井瑠星騎手はレース後にコメント。スタートで後手を踏んだうえにスローでも馬は行きたがる感じがなく、反応が鈍いくらいでも最後に弾けた走りを見ると、むしろ距離はもう少し延びた方ががいいのでは、と思えるほど。逆に初戦で新潟の内回り1400mに対応したのは能力が高いからと考えた方がいいでしょう。まだ、スタートや未経験の右回りなど、課題は少なくありませんが、鞍上のコメント通り、先が楽しみな素材であることは間違いありませんね。

▲エコロアルバの4代血統表
②着ガリレア(7番人気)は前走が地味な時計での逃げ切りだったので人気はありませんでしたが、今回は最内枠を生かした上手な立ち回り。直線で少し追い出しを待たされるシーンがありましたが、逆にためも利いたようで、進路ができるとしっかりと伸びてきました。展開や内有利の馬場傾向を考えれば普通は勝ちパターン。勝ち馬の決め手を称えるしかない内容でしたし、センスのいい競馬ができた点は大きな収穫でしょう。③着ゾロアストロ(1番人気)は出負け気味でも勝ち馬の前、集団の後ろに位置していましたが、こちらは少し行きたがる感じ。途中で折り合いはつきましたが、直線を向いてからも勝ち馬ほど切れる脚は使えませんでした。ジリジリと伸びていましたが、脚を使い切った印象はなく、少し発汗が見られたように完成度の差が出た印象も。本質的にはマイルより中距離向きのイメージも持ちました。いずれにしても、まだ、成長途上の段階と考えた方が良さそうです。
④着マーゴットブロー(8番人気)は前回と同様、好枠を生かしての積極策が奏功し、展開利も大きかったので、次走が1勝クラスだとしても評価は微妙なところ。それでもデビュー戦は凡退していた東京コースで健闘できましたから、自身の戦法は定まってきたといえるでしょう。⑤着チュウワカーネギー(3番人気)は18キロ増の馬体が少し余裕残しに映りましたし、初戦とは一転した待機策で鋭い脚が使えなかった感じも。現状はスピードの持続力を生かす戦法が合いそうですが、まだキャリア2戦目。体つきの良さから素質を秘めていることは確かですから、これから経験を積んでどう変わっていくか、見守りたいところですね。
text by 五十嵐 友二

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。










