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ラップから考える菊花賞

2017年10月22日(日) 4回京都7日

 昨年はサトノダイヤモンドが優勝し、ディープインパクト産駒が3000mの壁を破った。ラップを見るとラスト3ハロン34秒7は過去10年で最速。速い上がりを求められたことが分かり、これがサトノダイヤモンドが台頭した理由の1つだと考えられる。ただ、2015年はコーナーでしっかり減速していたが、向正面に入って11秒8と急加速。テンの入りも速かっただけに楽な流れではなかった。2014年は最初の1ハロンを除くと道中に12秒台後半のラップが1つもない締まった流れでレコード決着。2013年も不良馬場を考えるとタフな流れだったように、切れ味勝負にはなりにくいレースといえる。

 ぐずついた天気が続く今年は2013年に近いイメージか。この年は先行馬が上位。差し馬は②着サトノノブレスや⑤着ケイアイチョウサンのようにインにこだわった競馬でロスを最小限に抑えていた。まとめると、切れ味よりも一定のスピード持続力、ある程度の位置を取れる機動力、馬込みを気にしない気性、道悪適性を求めたい。

 これまでのレースでいえば、上がりの速い勝負になった日本ダービーやセントライト記念よりも中盤が流れた皐月賞や神戸新聞杯を適性上位とみたい。

①ブレスジャーニー…2歳時にダンビュライト、スワーヴリチャードを撃破。素質は認めるが、さすがにブランクが長過ぎる。過去10年休み明けで菊花賞を勝ち負けした馬はいない。

②ウインガナドル…【✖】父ステイゴールド、母父メジロマックイーンの組み合わせは、2011年オルフェーヴル、2012年ゴールドシップと2頭の菊花賞馬を出している。ここ2戦は自分でレースを作り、ラップ的価値も悪くない。新潟記念は軽ハンデとはいえ古馬強豪相手に0秒1差だし、確実に力をつけている。津村騎手と積極的な競馬をしてきて、この枠なら行く一手か。道悪で2013年③着バンデの再現を期待。

③スティッフェリオ…1/6の抽選をクリアして出走。セントライト記念は大外枠から先行したが、今回は内枠を引いたので恐らく脚を溜める競馬を考えているはず。怖さはあるが、道悪はマイナス。

④クリンチャー…【▲】すみれS勝ち、皐月賞健闘から適性は高い。逆に日本ダービー、セントライト記念は適性に合わないレースだった。内枠を引けたのは好材料だし、恐らく雨馬場も大丈夫だろう。ただ、前走はポジションを取るのにもひと苦労で、4角で既に手応えが怪しかった。休み明けにしても少し物足りない。前走内容が良ければ◎も考えた馬。調教内容は前走よりも良く、どこまで変わってくるか。

⑤トリコロールブルー…前走の走りに成長が窺える。テンションの高いタイプで、春は意欲的に東征して結果は今ひとつだったが、今回は輸送の短い京都。当週にビッシリ追ってきて勝負をかけてきた感もあり。それでも一歩足りないか。

⑥マイネルヴンシュ…【✖】位置を取りに行っても折り合いがスムーズだし、血統的にも距離は問題ないはず。前走のラストが11.7-11.5-11.5-11.8-12.4。手応え以上に渋太いタイプで、京都外回りのロングスパート戦にも十分対応できる。関東馬は不振だが、この馬は栗東で調整。

⑦アダムバローズ…今回も攻めは動いたが、皐月賞、神戸新聞杯が負け過ぎ。

⑧サトノアーサー…適性面を考えると微妙。折り合いに不安があって、あまり出してはいけないが、他の人気馬より内枠を引いたことと、行く馬が内に入ったことで中団あたりにつけられる可能性がある。そうなると神戸新聞杯ぐらいは走っていいと思う。

⑨クリノヤマトノオー…清滝特別の1分45秒6は今年の京都1800mで最速。完全に勝ちパターンだったブランドベルグを差し切った末脚は素晴らしかった。中1週で上がり目という点は期待できないが、ポテンシャルの高さは魅力だし、例年通り序盤が流れてくれれば折り合いもつきそう。白百合Sの内容はサトノクロニクルよりも上とみている。

⑩ベストアプローチ…【✖】道悪はプラスか。1勝馬だが、青葉賞の走りから力は通用していいし、このレースへの適性も感じる。

⑪サトノクロニクル…京都外回りコースでは①②①着。セントライト記念は勝負どころがスムーズだったら②着争いは際どかったが、ラップ的に本番に直結するかどうかは微妙。

⑫ミッキースワロー…ラップ的にみてセントライト記念は本番に直結しにくい。上がりの競馬になった今年も同様で、今回は関西までの輸送を考えると妙味は少ない。

⑬キセキ…【△】毎日杯で0秒2差③着。春の時点で大きな力差はなかった。夏場に連勝して神戸新聞杯②着で臨む上り馬。距離、道悪がいいとは思えないが、能力はメンバー上位。

⑭ポポカテペトル…阿賀野川特別は毎年時計が出るレースだが、それを差し引いても2分11秒7は優秀。先行ペースで渋太さを生かすにはちょっと枠が外になり過ぎたが、青葉賞で差のない競馬をしたベストアプローチと比較すると妙味はこちらかも。

⑮ダンビュライト…【◎】1勝馬とはいえ春2冠が③⑥着。皐月賞、神戸新聞杯の走りを考えると適性は高い。ちょっと外に入ってしまったが、機動力があるし、道悪で決め手不足を補えればチャンスはあると思う。

⑯アルアイン…【○】今年は日本ダービー①②③着馬が不在。同じ状況だった2012年の勝ち馬ゴールドシップは、皐月賞①着。日本ダービー⑤着、神戸新聞杯①着。アルアインも同じような軌跡を辿っており、終わってみれば皐月賞馬だったという可能性は十分にある。立ち回りは巧いが、ディープの割にそう切れるタイプではないので、上がりの速かった日本ダービーは大健闘。セントライト記念も叩き台としては上々。もう少し内めの枠が欲しかったが、折り合いさえつけば距離はこなせるはず。この相手なら……。

⑰プラチナヴォイス…力不足。ロングスパート戦にもあまり向かないのでは。

⑱マイスタイル…日本ダービー最先着馬。ただ、掲示板に載った弥生賞、日本ダービーは鞍上の手腕、展開によるところも大きかった。大外枠、乗り替わりはマイナス。

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。