旅うまチャレンジスタンプラリー(水沢編)

 

 

 今回、この旅一番の寒さを迎えました。訪れたのは岩手県の水沢競馬場です。本来であれば11月12日(月)に訪れる予定で航空券も押さえていたのですが、報道でもご存知の通り禁止薬物の検出で、結果的に11月10~12日、17~19日の計6日間の開催中止。飛行機代は無駄となり、どうしようかと思っていました。

 開催再開の報とともに飛び込んできたのは開催中止で宙に浮いていた「ダービーグランプリ」を12月10日(月)に開催しますとの知らせ。個人的に2018年は「行けるダービーはすべて行く」という目標を掲げ、石川ダービー、東海ダービー、東京ダービー、ジャパンダートダービー、西日本ダービーと遠征してきました。これは行かないわけにはいかない、と慌てて帰りの航空券を予約し、行きの夜行バスも押さえてほぼ日帰り突撃することにしました。しかし、週中からの寒波で雪が残り、ところどころ道路は凍結。昼間でも気温は1℃前後とただただ寒い一日となりました。

 

 水沢競馬場は岩手県奥州市に位置し、北上川を望み、山々を眺望できる昔ながらの雰囲気を残した競馬場です。

 JR水沢駅と東北新幹線水沢江刺駅のほぼ中間で、JR水沢駅からは無料送迎バスが出ていますが、行き帰りとも1本のみで、帰りは最終レース発走15分後です(確定後ではありませんのでご注意を)。路線バス(岩手県交通水沢江刺駅線・美山病院線、Zバス羽田・黒石線)もありますが、なかなか本数が少ないので時刻は事前にチェックされることをオススメします。水沢駅から徒歩ですと30分前後です。「競馬場入り口」で下車すると右手奥に競馬場が見えます。入場門までの道すがら、禁止薬物の発生を受けて警備員や監視カメラが設置されている様子が窺えました。

 

 コースは右回り1周1200mの小回り平坦コースで、直線は230m。同じ岩手競馬の盛岡競馬場とは正反対とも言えるコース形態ですので、コース替わりでの馬券作戦は当然必要となってくるでしょう。

 水沢競馬場と言えば有名なのが向正面奥に広がる桜並木。4月下旬になると満開の桜をバックに競走馬が駆け抜けていきます。例年一般公開も行われていますので春に訪れるのもいいかもしれません。

 冬場はホッカイドウ競馬閉幕後、日本で最北端の平地競馬となり、厳しい寒さのため騎手はフェイスマスクを着用して騎乗します。1月上旬で一旦シーズン終了となりますが、この季節は雪との戦いにもなります。

 

 

 場内に入るとすぐ左手にパドックがあります。こちらの出走表は手書き。今となってはなかなかレアです。

 右手には、岩手所属ながらJRAのフェブラリーSを制するなど大活躍した名馬メイセイオペラを称えて2017年に設置された記念碑があり、その隣には宝(トレジャー)神社があります。これは奥州市内にある陸中一宮駒形神社の正式な分社だそうです。水沢を訪れる際はこちらで是非祈願をしてみてはいかがでしょうか。

 

 外は寒いのでお客さんの数もまばらと人がいないのかと思いましたが、やはり暖かいところは賑わっていました。スタンド裏手にある二大食堂「水沢食堂」と「丸大食堂」です。中はとても暖かく、おばちゃんたちが元気良く、所せましと動き回っています。水沢と言えば「ホルモン」なのですが、私は内臓系がNGのため丸大食堂にて普通に野菜ラーメンと、盛岡編でもご紹介した焼き鳥で済ませました。ホルモン好きの方は是非ご賞味下さい。

 

 腹ごしらえを終えて馬券勝負開始です。メインスタンド内にもモニターはありますが、4コーナー側のテレトラックには大型モニターも設置されており、コースにもすぐ出られるので冬の寒い時季には重宝するエリアとなっています。

 

 せっかくですのでダービーグランプリについて少々。延期となって行われたダービーグランプリは南関東の大将格ヤマノファイトが直前で回避し9頭立てとやや寂しい頭数となったものの、兵庫ダービー、西日本ダービー馬コーナスフロリダ、石川ダービー馬アルファーティハ、兵庫ダービー2着のクリノヒビキと3頭が遠征してきました。それを岩手ダービー馬チャイヤプーンが迎え撃つといった様相で、なかでもチャイヤプーン、コーナスフロリダ、クリノヒビキの3頭に人気が集中。それまでひとつも当たっていなかった私はパドックを見てチャイヤプーン文句なしと見て3連単勝負に出たのです。

 ところがスタートで1番人気チャイヤプーンがまさかの出遅れ。すぐさま好位へと挽回しましたが、先手を取ったクリノヒビキは赤岡騎手の巧みなペース配分でマイペースの逃げ。コーナスフロリダはインで虎視眈々といった展開。

チャイヤプーン

 向正面から赤岡騎手はジワリとペースを上げていき、ついていた地元勢が苦しくなるなか、チャイヤプーンは外々を回りながらも楽々とついていきます。軽く仕掛けただけで反応良く加速し、クリノヒビキに並びかけたため、抜け出してしまわないように鞍上の村上忍騎手は軽く抑えるくらいで、後ろのコーナスフロリダを振り返って確認するほどの余裕を見せていました。コーナスフロリダはズブさを見せて置かれ加減ながらも4コーナーではチャイヤプーンの外へと迫り人気3頭横並びとなりましたが手応えの違いは歴然。

 直線に入り満を持して村上騎手が追い出すとチャイヤプーンはアッサリ抜け出し、ゴール前では内へササる気性の難しさを見せながらも快勝でした。2着に粘ったクリノヒビキ、3着にコーナスフロリダと、人気3頭の決着で3連単は650円。直前になって地元の馬も買い足してしまった私はそれまでの負債を取り返すまではいきませんでしたが、極寒のなか熱いレースを見られたと思います。

村上忍騎手

 

 チャイヤプーンはこのあと大晦日の大一番「桐花賞」(岩手版有馬記念とでも言いましょうか)に向かう予定です。そこで岩手の中長距離王者エンパイアペガサスと対決することになるでしょう。まだまだ若さを見せるチャイヤプーンですが、それはまだ余裕があることの裏返しとも言えます。大一番で古馬相手にどんな戦いを挑むのか、有馬記念、そして東京大賞典が終わっても大晦日の大一番に是非ご注目下さい。

 

 仕切り直しのダービーグランプリは無事開催されましたが、開催中止期間中には岩手競馬廃止の話も聞こえてくるなど、真相は不透明ながら今年何度も禁止薬物が検出されているだけに、次もし出た時に存続できる保証はありません。来年は遠征馬のローテーションが狂わないよう、そしてここまで寒くない時季に予定通りダービーグランプリが開催されることを望みますし、二度と廃止論が噴出しないことを切に願います。一度廃止が決まってしまえば復活はまずありません。

 

前回の旅うまチャレンジスタンプラリー帯広編はこちら

 

競馬ブック M.M

 競馬があるところにはどこへでも足を運び、JRA、地方競馬場を踏破。2016年には香港にも遠征。JRAは勿論だが、地方競馬が大好物。ただ、馬券はド下手という致命的な弱点を持つ。どうしても競馬に関わる仕事がしたいと一念発起して、2017年競馬ブックに転職。業務で校正など、日々「日本語」と格闘中。