6月2日に阪神競馬場で行われた鳴尾記念を勝ったのは単勝4番人気でM・デムーロ騎手が騎乗したストロングタイタン。中団追走から最内を突いて抜け出し、1分57秒2のコースレコードで重賞初制覇。管理する栗東・池江泰寿調教師はこのレース4連覇を達成、通算では5勝目となった。ストロングタイタンは牡5歳、父Regal Ransom、母Titan Queenという血統の外国産馬。生産はNorthern Racing。馬主は有限会社シルクレーシング。
【展開・ペース】
マルターズアポジーがスンナリ先手を奪い、例によって平均的に緩みのないラップを刻んで、3馬身ほどのリードを保って逃げる。前半1000m通過は58秒2。その後も11秒後半のラップが続く中、トリオンフが中団から早目に押し上げて持久力勝負に持ち込み、最後は底力が問われることになった。
【レース分析】
ストロングタイタンは休み明けをひと叩きして、中間は坂路で自己ベストの時計をマーク。馬体もスッキリして好気配。再びチークピーシズを着用。外目の枠だったが、スタートしてすぐに内に潜り込み、中団馬群の中を行きっぷり良く追走。直線では逃げたマルターズアポジーの更に内を突き、狭いラチ沿いから抜け出した。これまでは外から被せられるとレースをやめてしまう面があったが、今回は馬込みを克服して、徹底的にインコースにこだわった形での勝利。1度使われて体調が上向いていたのに加えて、再びチークピーシズを着けた効果で集中力も格段に高まっていた。これで自身2度目のレコード勝ち。トビが綺麗なので、開幕週の高速馬場もピッタリだった。
トリオンフは少し頭の高い走法。その分、手応えほど切れる脚を使えない面があり、前走の新潟大賞典のようなスローの瞬発力勝負は不向き。今回はマルターズアポジーが引っ張る緩みのない流れの中を中団から早目に動き、持ち味である持久力を生かし切る、ほぼ完璧なレース運び。内をスクッたストロングタイタンとは多少コース取りの差があったにせよ、この内容で負けたのなら仕方ない。
トリコロールブルーは気性が勝ったタイプで久々は苦にしない。馬体もキッチリ仕上がっていた。終始トリオンフをマークする形で運んだが、直線で差を詰められず完敗の③着。とはいえ、ステイゴールド産駒のこの馬には時計が速過ぎたせいもあるだろう。成長力のある血統で、まだ良くなってきそう。
マルターズアポジーは輸送減り対策として今回は栗東に滞在。当日はプラス2キロで落ち着きも十分。開幕週の絶好の馬場でスンナリ先手を奪い、平均的に緩みのないラップを刻んで自分の競馬はできている。それで踏ん張り切れないところを見ると、本質的に2000mは少し長いのかも。
サトノノブレスは一昨年のこのレースの勝ち馬。自身が持っていたコースレコードとは0秒3差で駆けており、8歳という年齢を考えればよく頑張っている。
タツゴウゲキは脚部不安による長期休養明けで坂路主体の調整。スタートでアオるロスもあったが、さすがに息が保たなかった。
text by 菊池
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