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第37回 中山牝馬S 回顧

 第37回GⅢ中山牝馬Sは5番人気のフロンテアクイーンが直線半ばで抜け出して優勝。初めて騎乗した三浦皇成騎手に導かれ、通算15度目の挑戦で嬉しい重賞初制覇となった。殊勲の三浦皇成騎手にとってはこれが区切りのJRA通算700勝目。管理するのは国枝栄調教師フロンテアクイーンは北海道浦河町・林孝輝さんの生産馬。馬主は三協ファーム(株)。

 

それではレースを振り返りましょう。

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【展開・ペース】

 先行タイプが揃い、戦前は激しいハナ争いが繰り広げられるのではと予想したが、蓋を開けてみれば連覇を狙うカワキタエンカが内から楽に主導権を握ることに成功。ランドネミッキーチャームが続き、1、2角を過ぎたあたりで12秒台のラップが出現する。しかし、ここでワンブレスアウェイが果敢に動いたことで再びペースUP。前半1000m通過タイムは昨年よりも1秒5速い59秒8。差しタイプに展開が向いた。

パドックでの三浦皇成騎手(撮影:yu~kun)フロンテアクイーンには初めての騎乗ながら勝利に導いた。

【レース分析】

 フロンテアクイーンは昨年の中山牝馬Sで②着。その後、芝1800mの重賞競走には2度出走し、②③着に好走しており、先着を許したのはディアドラリスグラシュー。ご存知の通り、暮れの香港国際競走で強豪牡馬に混じって連対を果たした2頭である。特に昨秋の府中牝馬Sで前記した2頭との着差は僅かコンマ1秒。フロンテアクイーン自身も着実に地力を強化していた。

「先行馬が多くてペースが速くなると予想していました」三浦騎手。2番手を進んだ前走のターコイズSとは違い、好位の後ろで我慢させる作戦を選択し、これがピタリと嵌まる。終始、手応え良く追走し、前を走るフローレスマジックが3角を過ぎて果敢に進出した際もこれを深追いはせず。いつもは伸びが鈍くなるゴール前でひと踏ん張りが利き、ウラヌスチャームの追い上げをハナ差凌ぎ切った。三浦騎手は「追い出しを待つ余裕がありましたし、そこで我慢したことが最後の伸びにつながりました」と振り返る。フロンテアクイーンのポテンシャルの高さを考えれば、重賞制覇は遅過ぎたぐらいではあるが、間違いなく、ジョッキーの正確なペース判断と冷静沈着に仕掛けを我慢したことが勝利につながった

フロンテアクイーンの4代血統表

 ウラヌスチャームはスタート直後に他馬と接触して後方から。序盤はリズムを守って追走していた。残り600m付近からスルスルとポジションを上げてあっという間に勝ち馬の直後に取り付く。直線に向いて前方に進路が開くと、やや頭の高い走法ながらグイグイと伸びて僅差②着。これで重賞で2戦続けての好走となった。1800~2600mまで幅広い距離をこなした母アメジストリングと同様に守備範囲が広い点が長所。今後も重賞戦線では目が離せない存在だ。

 アッフィラートは追っ付け気味にフロンテアクイーンと並び、3~4角で進出。展開利と軽ハンデの恩恵はあったが、しっかりと脚を使って③着を確保した。5歳以降、掲示板を外したのは僅か1回と末脚不発というケースがとにかく少ない。この手のタイプは混戦に強く、たとえ格上挑戦でも軽く見てはいけないと痛感させられる結果に。

 ④着デンコウアンジュは3カ月ぶりでも馬体はキッチリ仕上がって上々の気配。休み明けである点を考慮すれば及第点以上の走り。1番人気ノームコアは内をロスなく運べたが、3、4角は馬群が密集し、インで動くに動けず。直線に向いても馬込みを捌くのに手間取って力を出し切れなかった。参考外と見ていいだろう。2番人気に支持されたミッキーチャームは⑭着。ここまでの3勝はいずれも滞在で臨んだ函館、札幌で挙げたもの。休み明けに加え、関東圏へ輸送した今回はパドックからうるさい面が目立ち、レースでも頭を上げるなどエキサイト。次走以降、平常心でレースに臨むことさえできれば鮮やかに一変して不思議ない。

 

                                 text by 藤原

 

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