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第14回 ヴィクトリアマイル 回顧

 

 5月12日に行われた第14回GⅠヴィクトリアマイルは5番人気だったノームコアが激しい叩き合いの末にクビ差抜け出して優勝。1分30秒5という勝ちタイムはJRAレコード。昨年のエリザベス女王杯に続く、2度目の挑戦でGⅠタイトルを獲得した。騎乗したD・レーン騎手は先月27日に短期免許でJRAでの騎乗をスタート。前日の11日にはGⅡ京王杯スプリングCをタワーオブロンドンで制し、勢いに乗ってGⅠの頂に立って見せた。これでD・レーン騎手は僅か3週間の間にGⅠ、GⅡ、GⅢ(新潟大賞典)を勝ったことになる。管理するのは萩原清調教師ノームコアは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は池谷誠一さん。

 

 

それでは京増TMにレースを振り返ってもらいましょう。

 

 

【展開・ペース】 好スタートを決めたアマルフィコーストが内からリードを取って先頭。先手候補を目されていたアエロリットは出脚が今ひとつだったものの、すぐに発馬ロスを挽回すると押してポジションを上げ、ハナを奪う。しかし、アエロリットはテンに勢いをつけたことで4ハロン通過は44秒8、1000m通過は56秒1とかなりのハイラップ。日本レコードを誘発するペースとなった。

 

 

【レース分析】 ノームコアは馬体にボリューム感があって、動きも滑らか。仕上がりはとても良かった。スタートはあまり良くなかったものの、すぐに中団へ。ハイペースとはいえ、時計の速い今の東京ではポジションが後ろ過ぎては届かない。3コーナーで10番手だったプリモシーンあたりまでが勝負圏内だった。うまく発馬のロスをリカバリーしたD・レーン騎手は冷静であり、勝負勘も冴えていた。直線はラッキーライラックの後ろにつけると、ラッキーライラックがスパートして前にスペースが開くとすかさず追い上げてスムーズに外へ。最後はプリモシーンの追い上げを振り切ってGⅠ初勝利。1分30秒5という日本レコードは馬場+ハイペースによるところが多いから鵜呑みにできない面も。それでも、2歳秋以来のマイル起用ながらキッチリ結果を出した点は評価できる。

騎乗したD・レーン騎手は「終始手応えが良く、進路さえ開けば勝てるだろうと自信がありました。うまくスペースも開いて期待通りの伸びを見せてくれましたね。今日は1600mでしたが、この馬にぴったりのペースになってくれたことも良かったのだと思います。日本に来れたことが本当に嬉しいですし、来日するチャンスをいただけたことに感謝しています」とコメント。鞍上の好騎乗に加え、昨秋のGⅢ紫苑Sはレコードにコンマ2秒差という優秀な時計で楽勝したように高速決着に対する適性の高さも結果につながったか。ただ、残念なのはレース中に左第一指骨剥離骨折を発症していたこと。一日も早い復帰を願うばかりだ。

 

ノームコアの4代血統表

 

 ②着のプリモシーンはまさにGⅠ仕様でキッチリと仕上げてきた分、テンションの高さが気になった。しかし、ゲート内ではうるさくならず、しっかりスタートを出ると、メンバー中、最速の上がりをマークしてクビ差まで追い上げた。負けて尚強しを印象づけるレースぶりだった。

 クロコスミアは連対時の最高馬体重が436キロ。前走時は448キロだから今回は意識的に絞り込んでマイナス8キロ。その分、脚取り、動きも軽やかに映った。レースでは好位でソツのない立ち回り。厳しい流れになったことで中距離戦線で培ってきたスタミナが生きた面もあった。

 アエロリットは海外遠征後の休み明け。本調子とまでは言えない中で残り100mまで上位争いに踏みとどまって驚異的な粘りを見せた。確かにこれだけ走ると反動も心配になるが、次走が楽しみになった。

 本命に推したミッキーチャームは、パドックで落ち着きがあったし、課題だった輸送はクリア。しかし、ハイペースを追いかけた分、終いが甘くなってしまった。何とかアエロリットは交わしてもらいたかったが・・・。今回はノームコアに印を回すことも出来ず、能力比較が甘かった。反省しかありません。

                                 text by 京増真臣

 

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