11月3日に東京競馬場で行われた第57回GⅡアルゼンチン共和国杯(芝2500m・3歳以上・ハンデ)は単勝2番人気に支持されたムイトオブリガードが内から抜け出して優勝。②着に敗れた昨年の雪辱を果たした。鞍上は横山典弘騎手。管理するのは栗東・角田晃一調教師。ムイトオブリガードは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は市川義美ホールディングス㈱。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 先手を取るかと思われたパリンジェネシスが出負け気味だったこともあり、隣の枠からオジュウチョウサンがすんなりと先制。ただ、松岡騎手が「ハナに立つ競馬が初めてだったので馬がフワフワしていて、途中から前に進んで行きませんでした」とコメントしたように同馬が望むようなスタミナ勝負には持ち込めず、道中で12秒台後半のラップが4ハロン続く落ち着いた流れ。結果的に馬場の外を回った馬にはロスの大きい展開になりました。
【レース分析】 勝ったムイトオブリガード(2番人気)は自分の当日版の◎だったこともあり、返し馬から注視していましたが、若干、テンションが高めでも許容範囲内。レースでは鞍上が緩い流れになることを事前から察知していたように気合をつけて前めのポジションを取り、道中も好位の内で折り合いはスムーズ。直線を向くと開いた内から難なく抜け出して後続の追い上げを抑えました。
「思い描いていた通りの競馬ができました。1頭になるとフワフワする面がありますが、今日は余力十分だったので、一生懸命に走ってくれました。乗ったのは大阪杯以来で、我の強いところがあって厩務員さんを手こずらせたり、乗り手の指示にも頑固だったりしたんですが、上手になだめてくれたみたいで、大分、成長したようですね。今日は乗っていても楽でした。このまま順調にいってほしいです」と横山典弘騎手もレース後にコメント。鞍上の好騎乗が最大の勝因であることは誰の目にも明らかですが、当日版のコラムで書いたように、この馬は久々を苦にせず、しかも、今回は中間の攻め内容も非常に意欲的でした。陣営の仕上げも噛み合ったようですね。
タイセイトレイル(5番人気)は近走と比べると道中の位置取りが少し後ろでしたが、こちらも鞍上が好枠を生かす形で、終始、内々での立ち回り。ロスなく運んだことが最後に②着争いを制した要因だと感じました。③着が1番人気に支持されていたアフリカンゴールド。中団から馬群の狭いところを割って伸びて、一瞬は勝ち馬に迫る脚勢でしたが、最後に詰めを欠いたのは前走から100mでも距離が延びた影響でしょうか(東京芝2500mは最初が登り坂なので)。C.ルメール騎手は「最初に少し掛かってしまいました。もっとリラックスできていれば、この距離の重賞を勝てる馬です」とコメントしていますし、今回の経験が次走以降につながると見るべきでしょう。更に今後へ向けて注目したいのが④着だったルックトゥワイス(3番人気)で、今回は馬群の外を回ったので上位馬とコース取りの差が大きく、それでも、ゴール前の伸びは目立っていました。展開ひとつで勝ち負けになっていた、と記憶しておきたいところです。
text by 五十嵐 友二
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