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ドバイミーティング回顧

日本で馬券が発売される「ドバイワールドカップG1」、「ドバイシーマクラシックG1」、「ドバイターフG1」の3レースの結果とレース回顧をお届けします。

7R ドバイターフ(G1)

メイダン競馬場 芝1800m 天候:雨 馬場状態:稍重 現地時間  19時30分発走

 

ドバイターフ(G1)結果

着順 馬番   馬名 性齢 騎手 勝ち時計 単勝人気
1着 ヴィブロス(日本) 牝4 J.モレイラ 1.50.20 5番人気
2着 エシェム(仏国) 牡4 G.ブノワ  1/2 7番人気
3着 リブチェスター(英国) 牡4 W.ビュイック  1/2 2番人気
4着 ザラック(仏国) 牡4 C.スミヨン  1 3/4 1番人気

 

【レース回顧】 

 降り続いた雨の影響により馬場コンディションは稍重。日本では良馬場の経験しかないヴィブロスにとっては厳しい条件になったなという思いを抱きつつ発走を待っていました。レースはスタート後、2番人気のリブチェスターが一旦はハナを切りましたが、外からベリースペシャルがこれを制して先頭へ。3番手にムタケイエフ、その内に1番人気ザラックが続き、前半4F通過は50秒3。馬場を考慮しても落ち着いたペースで推移しました。

 ヴィブロスは内に潜り込み、後方で脚をタメながら追走。映像で見ただけではありますが、内はかなりボコボコしていて走りづらそう。3角手前ではヴィブロスの鞍上モレイラ騎手が手を動かすシーン。対照的に先行勢は持ったままの手応えで直線へ。残り400m地点でリブチェスターが先頭。内からザラックが追い上げて、外に持ち出したエシェムもグングンと加速し、迫ってきます。内からジワジワと伸びてきたのがヴィブロス。ラスト1Fで馬群がバラけると抜け出したエシェムとリブチェスターが止まって見えるような脚を繰り出して鮮やかな差し切り勝ち。モレイラ騎手はレース後、「向正面では風がとても強く、他の馬の後ろにつけることを心がけました。直線は内側から上がろうとしたら、馬が内ラチを嫌がったので、外に出しました」とコメント。ジョッキーの戦略もズバリと嵌まったことが分かります。日本の牝馬がドバイのG1を制したのは14年のジェンティルドンナに続いて2頭目。佐々木主浩オーナーにとっては海外初挑戦でしたが、最高の結果となりました

 

 8R ドバイシーマC(G1)

メイダン競馬場 芝2410m 天候:雨 馬場状態:稍重 現地時間  20時05分発走

 

ドバイシーマC(G1)結果

着順 馬番   馬名 性齢 騎手 勝ち時計 単勝人気
1着 ジャックホブス(英国) 牡5 W.ビュイック 2.32.39 3番人気
2着 セブンスヘブン(愛国) 牝4 S.ヘファナン  2 1/4 5番人気
3着 ポストポンド(英国) 牡6 A.アッゼニ  1 3/4 1番人気
6着 サウンズオブアース(日本) 牡6 C.ルメール   4番人気

 

 【レース回顧】

 ゲートが開き、ハナを切ったのは予想通りムーア騎手が手綱を取るハイランドリールでした。その直後の内にジャックホブス、外にポストポンドと上位人気に推された3頭が前につける形。4番手がサウンズオブアース。プライズマネーとセブンスヘブンはジックリと後方に陣取りました。向正面に入ると、馬場の内目が悪いのかハイランドリールはコースの中央へ進路変更。後続各馬もこれに続きます。ペースはあまり上がらず、前半の1200m通過は1分18秒台とかなり遅い流れでした。

 3角を回ってポストポンドがハイランドリールに馬体を併せに動き、ジャックホブスも内から楽な手応えでポジションを上げていきます。直線に入ると、人気の一角ハイランドリールの手応えが怪しくなってまさかの後退。さらに1番人気ポストポンドも鞍上のアクションに応えられず、伸びあぐねてしまいます。これらを尻目に抜け出したのがジャックホブス。3歳時には愛ダービーで5馬身差をつけて圧勝したように高い能力を示していた馬。故障を乗り越えて、異国の地ドバイで完全復活を告げる勝利を挙げました。日本から参戦したサウンズオブアースは6着。いつもの伸びが見られなかったあたり、柔らかい馬場が応えたように思います。

 

9R ドバイワールドカップ(G1)

メイダン競馬場 ダート2000m 天候:雨 馬場状態:重 現地時間  20時45分発走

 

ドバイワールドカップ(G1)結果

着順 馬番   馬名 性齢 騎手 勝ち時計 単勝人気
1着 アロゲート(米国) 牡4 M.スミス 2.02.15 1番人気
2着 ガンランナー(米国) 牡4 F.ジェルー  2 1/4 3番人気
3着 ネオリシック(米国) 牡4 J.ヴェラスケス  5 12番人気
5着 アウォーディー(日本) 牡7 武豊   2番人気
8着 ラニ(日本) 牡4 R.ムーア   7番人気
9着 アポロケンタッキー(日本) 牡5 C.ルメール   5番人気
14着 ゴールドドリーム(日本) 牡4 J.モレイラ   4番人気

 

 【レース回顧】

 いよいよドバイミーティングもドバイワールドカップの1鞍を残すのみ。馬場状態は重でした。固唾を飲んで世界が注目する発走地点。待ちに待ったスタートの瞬間、ゲートが開くと同時に驚きの声がメイダン競馬場を包みます。何と断然の1番人気に推されているアロゲートが両側の馬に挟まれるような形となって大きく後退。ダート世界一決定戦は波乱の幕開けとなりました。

 先頭を奪ったのはUAEのロングリバー。その外にアメリカのガンランナーとネオリシックが続きます。4番手には昨年の2着馬ムブタヒージ。武豊騎手が手綱を取るアウォーディーは好位のインに収まって6番手を進んでいきます。中団にアポロケンタッキー。出遅れたゴールドドリームは後方待機。ラニは馬群から離れた最後方を追走。向正面から全体の隊列に大きな変化は見られませんでしたが、アロゲートは外に持ち出してジワッとポジションを上げていきます。

 逃げたロングリバーが一杯になってガンランナーが代わって先頭。注目のアロゲートは次々と他馬を交わし、2番手を進むネオリシックを視界に捉えて直線へ。残り2F地点でガンランナーが抜け出しかけますが、アロゲートは余裕を持ってこれに並びかけると、そこから力強く伸びて突き放してしまいました。出遅れてリズムを崩しながらも終わってみれば完勝。強力メンバー相手、厳しい状況下でも勝ってしまうんですからこれは力が違ったということでしょう。結果、3着までをアメリカ勢が独占。このカテゴリーでの強さと層の厚さを改めて世界に示しました。月並みな表現ではありますが、このアロゲートが勝った第22回ドバイワールドCは今後も語り継がれる歴史に残る一戦でしょう。

 日本勢ではアウォーディーが5着と健闘。確かに勝ち馬からは離されてしまいましたが、ペースが上がった4角で置かれることなく直線に向き、最後まで渋太く伸びました。その力が世界レベルに到達しているのは間違いありません。またラニは最後方を進みながらも正味、直線だけの競馬で8着。終いの伸びを見てもやはりポテンシャルは高いですね。アポロケンタッキーは9着、ゴールドドリームは14着と結果は出ませんでしたが、この経験は必ずや財産となるはずです。今年も日本馬のレースぶりに悔しさ、喜びを感じ、また世界最高レベルの走りに度肝を抜かれたドバイミーティング。まずは遠征した全馬が無事に帰国することを願い、国内でも、その走りが見られる日を楽しみに待ちたいと思います。

text by 海外競馬デスク

※競走成績、オッズ等は必ずJRA発表のものと照合し、確認してください。