競馬 研究ニュース

第55回 フローラS 回顧

 

 4月26日に東京競馬場で行われた第55回GⅡフローラS(芝2000m・3歳牝馬・馬齢重量)はウインマリリン(単勝4番人気)が優勝。コンビを組んだ横山武史騎手はデビュー4年目にしてこれがうれしいJRA重賞初勝利。またこの日はメインレースを含む、10、11、12Rを鮮やかに3連勝。まさに横山武史デーとなった。管理するのは美浦・手塚貴久調教師。この結果、ウインマリリン、②着のホウオウピースフルがGⅠ優駿牝馬(5/24・東京競馬場)の優先出走権を獲得した。ウインマリリンは北海道新冠町・コスモヴューファームの生産馬。馬主は㈱ウイン。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

▲前半1000m通過は58秒6。これはフローラSが東京芝2000mで行われるようになった2001年以降、最も速い。また勝ちタイムも2001年以降では最速となった。

 

【展開・ペース】 テレビ、グリーンチャンネル中継をご覧になられた方は最後の直線に向く際、ダートコースから舞い上がった砂塵が各馬を包んだシーンをご記憶でしょう。この日は午後に入ってから一段と風が強さを増し、ホームストレッチは強烈な向かい風が吹いていました(向正面は追い風)。前半1000m通過は58秒6とハイペースでしたが、道中のラップは、あまり参考にならないかもしれません。レースは馬群の中に入って前や周りの馬を上手に風除けに利用できた馬が上位にきました。

 

【レース分析】 まずは研究ニュース紙面に掲載されたウインマリリン陣営の談話を紹介します。「前走は2日スライド(降雪により3/29から3/31にレースが順延)の影響があって馬体に余裕があったが、いい勝ち方をしてくれた」手塚師。前走、ミモザ賞では馬体重がプラス8キロでした。さて、今回はどのような馬体で出走してくるのか気にしていましたが、意識的に絞ってマイナス10キロ。これは適正体重なのでしょう。馬体の張りや毛ヅヤなども良くなり、動きの方も柔らかみも十分。いい気配でした。

しっかりとスタートを決めるとポジションを取りに動いて好位のポケットに陣取ります。そこでジッと脚を溜めて運び、直線に向くと、力強く抜け出します。最後は後続の追い上げを振り切ってゴール。コース取りは勿論ですが、あまり早く抜け出すと向かい風を受けますから、仕掛けのタイミングもドンピシャ。鞍上の好騎乗が光りましたね。

 

▲レース直後、父である横山典弘騎手と言葉を交わす横山武史騎手。

 

「理想の位置は逃げると思っていた田中勝春騎手の馬(シャンドフルール)の後ろだったんですが、そこを横山典弘騎手に取られ、その後ろになりました。ただ、開幕週の馬場を考えれば、そこでも、いい位置だったと思います。道中は馬が手応え良く走っていたので、ペースは流れていると感じていましたが、そこは気にせず運びました。風が強く、ダートの方から砂が舞ってきていましたし、前、前で粘り込むタイプのこの馬にはいい展開になったと思います。今日で東京コースをこなしてくれましたし、乗り手の指示に柔軟に対応してくれるので、距離は延びても大丈夫でしょう。本番に向け、気を引き締めて頑張っていきたいです」横山武史騎手はレース後にコメント。人馬とも初めての重賞タイトル獲得に自信を深め、大一番へと歩みを進めます。

 

ウインマリリンの4代血統表 スクリーンヒーロー産駒の牝馬としては初めてのJRA重賞制覇となった。

 

 ホウオウピースフルは馬体重こそプラス2キロでしたが、体にボリューム感が出て、抜群の雰囲気。好位の馬込みに入れて折り合いに専念。直線はレッドルレーヴの直後から抜け出してウインマリリンに迫りましたが、クビ差届かずに惜敗。③着のフアナはまだ馬体が華奢に映り、もっと増えてほしい印象を抱きましたが、身のこなし自体はしなやか。素質は感じさせました。8枠16番と外枠でしたが、鞍上が上手に誘導し、内に潜り込んで枠順によるロスを抑えて運べました。1番人気のスカイグルーヴをマークしながらメンバー最速の上がり3ハロンをマークして③着。騎乗したL.ヒューイットソン騎手はレース後、直線で少し進路が塞がったことを悔やみつつ、「将来が楽しみな馬」ともコメント。GⅠ優駿牝馬の出走権は獲得できませんでしたが、先々までその動向から目が離せそうにありません。

 

 

 スカイグルーヴ(1番人気)は前走と比べて体重が減っており、腹回りが淋しく映りました。今回は先行策を取らず、競馬を教える感じで中団に控え、折り合いに専念。外を回って脚を伸ばしますが、ラスト1ハロンあたりで勢いが鈍りました。まだ実戦でも若さを見せるように気性的にも幼さが残っており、この強風下で存分に能力を発揮できなかったでしょうか。

 

 

 

                                 text by 京増 真臣

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・③着までの前走を見てみると、勝ち馬は1勝クラス①着、②着馬はGⅢ⑥着(0秒6差)、③着馬は未勝利戦で0秒2差をつけて勝利していた。来年は未勝利組=0秒2以上の差をつけて勝利。1勝クラス組=②着以内、重賞組=前走⑥着以内を狙いたい。

〇枠順・・・勝ち馬は有利とされる内目の2枠から出現した。更に前走1勝クラス優勝馬でもあった。来年以降も同じ条件を満たした馬は頭で買える。

 


 
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