10月24日に東京競馬場で行われた第23回GⅡ富士S(芝1600m・3歳以上・別定・晴・良馬場)はヴァンドギャルド(単勝5番人気)が優勝。騎乗した福永祐一騎手は富士S初勝利。また管理する栗東・藤原英昭調教師にとっては2014年ステファノス以来となる同レース2勝目となった。この結果、優勝したヴァンドギャルドがGⅠマイルチャンピオンシップの優先出走権を獲得した。ヴァンドギャルドは北海道千歳市・社台ファームの生産馬。馬主は(有)社台レースホース。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 本命に推したのはスマイルカナ。中5週と間隔を詰めての出走でしたが、テンションの高さは許容範囲内。ゲートをポンと出て、いい感じにハナを切れたところまでは良かったのですが、途中からーズンズギフトに競られる形に。2頭で後続を引き離し、前半の半マイル通過は45秒4。これは過去10年まで遡っても最も速く、失速したのは仕方ないところ。そんなスマイルカナですが、残り1ハロン付近まで内ラチ沿いで粘り腰を見せて首位争いを演じました。簡単に後退したわけではなかったことを、しっかりと覚えておきたいですね。

 

 

期待集める大器が待望の重賞初制覇

【レース分析】 今年からGⅡに格上げされた富士S。制したのはヴァンドギャルドでした。パドックではテンションの高い面を見せていましたが、GⅠ安田記念以来でも馬体は仕上がっていましたね。課題のスタートを決め、前を深追いせずに中団追走。まだ折り合いが付くかどうかが好・凡走に直結するだけに、スマイルカナシーズンズギフトが速いラップを刻んでレースを引っ張ってくれたのはこの馬にとっては願ったり叶ったりの展開。力むことなく、スムーズなレースができたことが勝因のひとつですね。直線は馬場のいい外へ持ち出し、追われるとエンジン全開。鮮やかに抜け出しての快勝劇。良馬場発表でしたが、稍重に近いコンディションでしたから、その点を考慮すれば1.33.4という勝ちタイムも悪くありません。

 

ヴァンドギャルドの4代血統表

 

「懸念していたスタートが決まったことで、いいポジションで流れに乗ることができましたね。思っていたより縦長の展開でしたが、あまり前は気にせず自分のリズムを守って運びました。最後は手応え通りに伸びてくれましたよ。1週前の追い切りで久々に跨りましたが、当時はあまり感触が良くなかったんです。今日のレースまでに上げてくれた厩舎サイドに感謝したいですね。強いメンバーのGⅡを勝てましたし、まだまだこれからが楽しみです」福永祐一騎手。2、3歳時はハイレベルな面々相手の重賞レースで強烈な末脚を武器に健闘を続け、将来を嘱望された逸材がついに重賞制覇。まだまだ心身とも伸びしろは十分。今後は更なる活躍を期待していいでしょう。

 

GⅠ勝ちは伊達ではないラウダシオン

 ②着は3歳マイル王のラウダシオン。プラス16キロと馬体が増えていましたが、これは成長分。もともと大柄ですが、体つきが一段と逞しくなっていましたね。好スタートを決め、逃げ馬を深追いせずに離れた3番手を追走。3コーナー手前で速いペースで運んだ前2頭からは10馬身ほど離れていましたからラウダシオンは速過ぎないラップを刻んで理想的なポジションを進むことができました。直線に向き、脚が鈍った前2頭を捉えると、その後はフラつきながらも渋太く踏ん張って好走。前走のGⅠ NHKマイルCは強風下で、先行勢が粘り込めるペース。勝利したものの恵まれた印象を持っていましたが、56キロを背負い、年長馬と初めての対戦でこの内容なら立派ですね。

「ラチを頼るのが好きなところがありますが、そのなかでも頑張ってくれたと思います。まだ3歳でこれから成長するでしょうし、使って良くなる次は更に楽しみですね」と騎乗したM.デムーロ騎手。敗れはしましたが、秋緒戦、いい形でのスタートに。

 

▲土日続けて重賞制覇を成し遂げることになる福永騎手

 

 ケイアイノーテックは仕上がり良好。3歳時にGⅠ勝ちした舞台で、この馬らしい脚をためての末脚勝負。直線は外から懸命に差を詰めてきましたが、前述したようにハイペースで飛ばした前2頭に対し、離れた3番手のラウダシオン以降は平均ペース。直線で他馬はそれなりに速い上がりをマークしていました。結局、③着に浮上したところでゴール。健闘はしましたが、位置取りの差も出た印象です。

 

 

 

 

                                 text by 京増 真臣

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

 

〇前走クラス・・・勝ち馬は前走GⅠ9番人気⑩着、②着馬は前走GⅠ①着。準OP、OP特別、GⅢ、GⅡ組に関しては取捨の条件は上記で問題ないが、GⅠ組に関しては来年以降、前走の人気、着順は不問としたい。

〇馬齢・・・勝ち馬は連対数トップの4歳。そして3歳馬で馬券に絡んだのは唯一、マイルGⅠ勝ちがあったラウダシオンだった。3歳馬に関しては今後も厳しいハードルを設定し、買えるかどうか判断したい。

 

 

《富士S 2015-19》

 

 


 
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