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第81回 菊花賞 回顧

2020年10月25日(日) 4回京都6日

 10月25日に京都競馬場で行われた第81回菊花賞(GI)はコントレイルが優勝。史上8頭目の三冠馬となり、無敗となるとシンボリルドルフ、父のディープインパクトに続く3頭目という偉業を達成。鞍上の福永祐一騎手は2013年のエピファネイア以来2勝目。矢作芳人調教師は菊花賞初勝利となりました。

 レースは予想通りキメラヴェリテが逃げてバビットが2番手に控える展開。前半の1000mは1.02.2。その後の1000mは1.02.6ですが、4番手以降はここでペースダウン。後半1000mは1.00.7に上げて3.05.5の決着。多少の緩急はありましたが、先週の秋華賞と同じくらいのやや時計のかかる馬場状態を考えると、近年のなかではスタミナも必要になったと思われます。

 勝ったコントレイルはスタンド前から向正面にかけて結構行きたがってしまい、福永騎手が懸命になだめていたのが印象的。2周目の3角あたりで落ち着きましたが、それでも行きっぷりが良過ぎるくらい。アリストテレスよりもあとから追い出した割に差をつけられなかったのは道中の力み、力のいる馬場での3000mが要因でしょう。福永騎手が「決してベストパフォーマンスとはいえないなか、勝ち切ってくれました」とコメントしたように、今回は楽ではない舞台設定でしかも三冠がかかったレース。内容よりも結果が重要で「勝てば良し」だと思います。

 アリストテレスは1周目の3角で自然とコントレイルの外へ。坂の下りからこちらも行きたがっていましたが、スタンド前あたりから折り合いました。あとは半馬身後ろからコントレイルを突つく形。4角で並びかけ、直線半ばでは交わすかという場面も作りましたが、ゴール板ではクビ差届かず。福永騎手を背に菊花賞を勝ったエピファネイアの産駒が、最後までコントレイルを苦しめました。まだ折り合いに課題はありそうですが、スタミナ自体は豊富で今から来年の天皇賞(春)が楽しみ。

 サトノフラッグは中団の後ろから。2周目の坂を下っても前との差を若干詰めた程度。ほぼ直線だけで10数頭交わして来ました。この乗り方を見ると、いい脚が長く続かないのかもという印象を持ちましたが、今回は3000mという特殊な距離なので判断しかねる部分もあります。今後の数走でこの馬の特性を見極めたいです。

 ディープボンドに関しては好位から粘り込みを狙う、ほぼ想像した通りのレース運び。3000mでもスタミナ切れを心配せず渋太さを生かしましたが、ダービーの時と同じく上位とは決め手の差が出ました。あまりレース間隔を開けずに長距離戦へ出走すれば大崩れはなさそうです。

 ⑤着は14番人気のブラックホール。終始サトノフラッグの前を走り、2周目の4角手前では目前のヴェルトライゼンデがモタついていたことで少し待たされる感じに。サトノフラッグには切れ負けしましたが、三冠すべてでひと桁着順と大崩れせず長距離適性も示しました。

 少し惜しい気がしたのは⑥着ロバートソンキー。出遅れてサトノフラッグの後ろから進み、2周目ではブラックホールの内。勝負どころは手応え十分でしたが、進路が見つからず仕方なく馬場の荒れた内を選択。通ったところを思うと最後はよく伸びていると思います。キャリアの浅い1勝馬。これからの飛躍が楽しみです。

 予想外に動けなかったのが2番人気ヴェルトライゼンデ。4角手前で有力馬のなかではいち早く手が動いてしまい、最後はバッタリ。一頓挫があった前走で好走した反動が出たとしか思えない失速でした。

 重賞連勝中だったバビットはキメラヴェリテが早めに後退したことで4角先頭。悪くない形でしたが、そこから抵抗できず⑩着。12㌔減でしたが細くなった感じはなく、今回のところは力負けかもしれません。小回りの中距離戦で見直したいです。

 

text by 石井大輔

 

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