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第10回 みやこステークス 回顧

2020年11月8日(日) 5回阪神2日

 阪神競馬場で行われたみやこステークスは1番人気のクリンチャーが優勝。一昨年の京都記念以来、2年9カ月ぶりの勝ち星で、芝・ダート両方での重賞ウィナーとなりました。川田将雅騎手、宮本博調教師ともに、みやこステークスは初勝利です。

 最内枠を引いたワイドファラオはハナにこだわらず、ベストタッチダウンがすんなりと先頭へ。エアアルマス、ワイドファラオがこれに続き、その直後にクリンチャー。前半は36.5―1.00.5の平均ペース。競り合いもなく、このクラスとしては先行馬にとって楽な展開に映りました。

 勝ったクリンチャーは出脚がひと息でしたが、川田騎手が仕掛けて4番手へ。「瞬発力というよりも、持久力に長けた馬というイメージを持っていました」とのことで、落ち着いた流れが予想されるなかで、前を取らないといけないという意図が伝わる動きでした。前に壁がなくブレーキを踏まなくていい位置を取れたのも大きかったです。勝負どころからエアアルマスに並びかけて4角を回り切るとこれを振り切り、②着馬に3馬身差をつける完勝でした。自ら有力馬を捕らえにいきながらも、脚いろは衰えず上がり3Fは最速。まさに持久力の高さを存分に発揮しました。

 ②着は4番人気のヒストリーメイカー。終始、クリンチャーの後ろでいい流れに乗れた印象はありますが、この馬もしっかりと最後まで脚を使っています。ただ、北村友騎手は「4角でもっとギアが上がれば更にやれると思います」とコメント。まだ秘めたる能力があるようです。坂路のみの調整に戻して攻め内容を強化しながらも体重は11㌔増。これもいい方に出ました。

 ③着には9番人気エイコーンが入り、3連系の馬券は高配当に。行く気を見せず最後方から進み、仕掛けたのは3F標を過ぎてから。当初はジリジリと差を詰める感じでしたが、直線の坂で他馬が苦しむなかを渋太く伸びて3番手浮上。シリウスSと同様に、展開面で恵まれた印象はありますが、素質馬が復調してきたのは確かです。

 ④着エアアルマスは14㌔増でも若干余裕がある程度でまずまずの仕上がり。同じく先行したベストタッチダウン、ワイドファラオが大差負けを喫したことと、骨折による9カ月半ぶりを思えば悪くない結果。順調に次走を使えるようなら、当然粘りが違ってくるでしょう。

 スワーヴアラミスワイドファラオは道中から行きっぷりがひと息で早々に脱落。状態面が本当ではなかった印象です。

 しんがり負けを喫したベストタッチダウンは4F目から12秒前後のラップが続いたのが影響したとしか現状では敗因が見当たりません。これが軽い馬場なら克服可能かもしれませんが、今回は1勝級勝ち以来の良馬場。パワー勝負では少し分が悪いような気がします。

 

text by 石井大輔

 

 

 

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