競馬 研究ニュース

第62回 アメリカJCC 回顧

 

 1月24日に中山競馬場で行われた第62回GⅡアメリカジョッキークラブカップ(芝・外回り2200m・4歳以上・別定・曇・不良馬場)はアリストテレス(単勝1番人気)が直線に向いて抜け出して優勝。騎乗したC.ルメール騎手はアメリカジョッキークラブカップは初勝利。管理する栗東・音無秀孝調教師は2018年のダンビュライトに続く当レース2勝目となった。アリストテレスは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は近藤英子さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

【展開・ペース】 戦前の予想通り、外からジェネラーレウーノが先手を奪い、ウインマリリンジャコマルが続いて1コーナーへ。前半の1000m通過タイムは63秒3。降り続いた雨の影響で馬場状態の発表は不良。時計だけでは判断しづらいところですが、序盤から中盤にかけて12秒台後半から13秒台のラップが並び、後半の1000mが62秒0。スローペースだったと考えていいでしょう。

 

 

完調手前でも4歳シーズンV発進

【レース分析】 アリストテレスの馬体重は前走のGⅠ菊花賞からプラス4キロ。数字以上に体つきは多少、立派でしたが、今回は年明け緒戦のGⅡレース。先に待つ大舞台を見据えての仕上げ。それでも、パドックではキビキビと活気あふれる周回。力は出せる状態に映りました。

 C.ルメール騎手はあまりペースが速くないと見て、向正面に入るあたりからジワッと前へ。先行勢を射程圏に入れつつ、後方勢の追い上げを封じ込められる絶妙なポジショニングでした。3コーナーを迎えるあたりでナイママが仕掛け、それに合わせてステイフーリッシュも動いたことで前方の視界はクリアに。外から迫ってきたヴェルトライゼンデを牽制しながら4コーナーを抜群の手応えで回って直線へ向きます。馬場のいい外の方へ進路を取り、残り1ハロン付近で先頭。抜け出すタイミングは早過ぎず、遅過ぎずバッチリ。C.ルメール騎手は3週続けて中山での重賞勝利となりました。

「全馬にとって難しい馬場コンディションでした。やはり重馬場が合う血統は大事でした。4コーナーでこの馬の手応えは良かったですし、段々、ペースアップしていって勝つ自信はありました。ただ、この馬場だったので直線は長かったですね。トップコンディションではなかったけど、勝つことができましたし、また良くなっていけば、GⅠでも勝つことができると思います」とレース後にC.ルメール騎手はコメント。決して本調子ではないコンディション、そして初体験となるタフな不良馬場で勝ち切った点は高く評価できますね。

 

▲アリストテレスの4代血統表

 

悪路を乗り切ったヴェルトライゼンデ

 ②着は勝ち馬と同じ明け4歳のヴェルトライゼンデ。パドックでは歩様に勢いがあり、気迫のこもった周回。3歳時より体の緩さがなくなって、ひとつひとつの動作がしっかり。成長が感じられました。道中はアリストテレスの直後でピッタリとマーク。能力をは出し切っていますが、相手が一枚上でしたね。それでも、GⅠ菊花賞で完敗だったアリストテレスと半馬身差。池添騎手は「馬場の適性がかなり出ました」とコメント。勝負どころで仕掛けて鋭く反応できるタイプではありませんが、今回は押して押して進出。良馬場で今一度その走りを見たいところ。

 ラストドラフトは前回(GⅡアルゼンチン共和国杯)より落ち着きがあって馬体、気力は充実。3歳時のGⅡ弥生賞で凡走しているように不良馬場は得意でありませんが、デキの良さを生かして頑張りました。アリストテレスヴェルトライゼンデ一列後ろを追走。結果的に位置取りの差もあったでしょうか。

 

 

 ステイフーリッシュは体に無駄肉がなく、柔らかみがあって好仕上がり。いいポジションに収まりましたが、ステイフーリッシュとってナイママが早めに動いてきたのが痛恨。外から被せられてしまったことで自身もワンテンポ早く仕掛けざるを得ず。またスッと反応できるタイプではない分、ペースが落ち着き過ぎたのも誤算。直線はアリストテレスと併せるように、しばらく抵抗していましたが、最後はゴール前で甘くなってしまいました。

 

                          

text by 京増 真臣

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・連対馬の前走を見ると、勝ち馬はGⅠ②着(クビ差)。そして②着馬はGⅠ⑦着(1秒4差)。来年からは前走がGⅠ組は着差を取り上げて分類しない方がいいだろう。

〇レース間隔・・・①②着馬は前走が前年10月のGⅠ菊花賞。同じく前走が10月でGⅡだったステイフーリッシュは➃着に終わった。

〇斤量・・・前走から斤量が増えていたジャコマルサンアップルトンは⑦⑩着と完敗を喫した。

〇ディープインパクト産駒・・・4歳のディープインパクト産駒サトノフラッグは⑪着。ただし、過去5年と違い、今年は非常にタフな不良馬場。上記した2頭の連対時は良馬場。来年が良馬場であれば、改めて狙ってみたい。

 

 

《アメリカJCC 2016-20》

 

 


 
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