10月3日に中山競馬場で行われた第55回GⅠスプリンターズS(芝1200m・3歳以上・定量・晴れ・良馬場)は単勝3番人気ピクシーナイトが直線で内から抜け出し、2馬身差をつけてGⅠ初勝利。騎乗した福永祐一騎手、管理する栗東・音無秀孝調教師ともスプリンターズSは初勝利。ピクシーナイトは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 テンの速さを生かして外からモズスーパーフレアがハナを叩いても、負けじとビアンフェが競りかけると戦前は考えていました。しかし、ビアンフェは競りを避けて2番手に収まったことで前半3ハロン通過は33秒3。馬場を考慮するとGⅠとしては平均的なペース。流れが落ち着いてしまったことで先行勢、そしてロスなく内を通れる馬にとって有利なレースとなりました。

 

▲パドックを歩くピクシーナイト(撮影:yu~kun)春より逞しく、迫力を増した馬体がひと際目立っていた。

 

若き短距離王が中山で誕生!

【レース分析】 ピクシーナイト(3番人気)は体が一段と逞しくなった印象。迫力満点の周回は目を引きました。内枠を生かして好位の3番手を追走。絶好のポジションを確保した福永祐一騎乗のエスコートに加え、スプリント路線に転向し、ここ2戦でパートナーに教えてきたことも存分に生きました。滑らかに加速し、馬込みから抜け出すと終わってみれば2馬身差をつけての完勝。展開や馬場、枠順が味方した面はありますが、それだけでは片付けられない強さでした。

 

 

「いろいろなシチュエーションを想定はしていましたが、ここまでいいポジション、逃げ馬の後ろでレースができるとは思っていなかったので正直ちょっと驚いています。凄い馬になると公言していましたし、最終的にはこういう形でGⅠを勝てる馬にしたいという思いはありましたが、こんなに早く横綱相撲でGⅠを勝てるとは思いませんでした。こちらの想像を超えた走りをしてくれました。返し馬に乗って久々を叩かれた効果は感じられましたが、まだまだ前と後ろのバランスがとれていない状態だったので、今日のこの感じでどれだけやれるかと思っていました。それが先頭に立って遊んでいたくらいの勝ちっぷりでしたからね。この先、短距離界を引っ張っていく馬になるでしょうし、国内のみならず、いろんな選択肢が考えられる馬です」福永祐一騎手は課題を挙げつつも、パートナーの能力を絶賛。海を渡り、香港で輝いた父モーリスのような活躍を期待したいですね。

 

ピクシーナイトの4代血統表・・・グラスワンダー~スクリーンヒーロー~モーリス~そしてピクシーナイト。これで4代続けてJRAのGⅠを制覇。これからもグラスワンダーの血の系譜は脈々と繋がっていくだろう。

 

完敗も力を示したレシステンシア

 レシステンシア(2番人気)はキビキビと歩様に勢いがあって好気配。好スタートからピクシーナイトの外を追走。内を通った方が有利な馬場でしたから勝ち馬とは枠順、コース取りの差も出た形。それでも、正攻法のレース運びでの②着は立派。控える形でも今は崩れなくなっています。シヴァージ(10番人気)は太く映るのは体型的なもの。気にする必要はなく、いい仕上がりでした。最内枠、インが有利な馬場の恩恵を最大限に生かして③着に好走。乗り替わりでしたが、これは吉田隼人騎手の好騎乗。パワータイプですから、もっと水分が残る馬場の方が良かったはずですが、いつもより前で運んで速いタイムの決着に対応した点は評価できます。

 

 

 1番人気のダノンスマッシュは馬体をスカッと見せて好仕上がり。内が有利な馬場を意識し、ロスを抑えて運ぶべく、1列ポジションを下げた感じ。この枠順は痛かったですね。鉄砲の利くタイプですが、勝負どころでの反応があまり速くはなく、動けなかったあたりは、休み明けの影響?なのでしょうか。早い時期から活躍を続け、6歳。厳しい状況下でも⑥着と健闘したようにまだまだ健在ですが、ピークと比較すると多少、力の減退を感じさせられました。

 本命に期待したジャンダルム(4番人気)は落ち着きがあり、パドックでは良く見えました。課題のスタートは出てくれたんですが、この日の馬場、そして、GⅠにしては決して速くないペースではノーチャンス。それでも、セントウルSで見せた脚を使えれば掲示板には載れたはず。思ったほど伸びなかったあたり、ゲート練習をしたり、ブリンカーを外したり、ここに向けて普段と異なる調整で臨んだ影響もあったのかもしれません。

 

 

 

                          

text by 京増 真臣

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・勝ち馬と②着馬は条件をクリアしていたが、③着シヴァージは前走がL競走で⑤着。ただし、前走は1番人気に支持されていた。そこで来年以降は前走、OP特別・L競走組は前走で①着か1番人気なら買い目に加えるようにしたい。

〇馬齢・・・今年は3→4→6歳で決着。6歳以上で前年連対実績がなかった馬でも③着候補としては狙って良く、軽視するのは避けた方が無難だろう。

 

 

 

《スプリンターズS 2016-20》

 

 

 

 

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