競馬 研究ニュース

第95回 中山記念 回顧

 

 2月28日に中山競馬場で行われた第95回GⅡ中山記念(芝1800m・4歳以上・別定・晴れ・良馬場)はヒシイグアス(単勝1番人気)が優勝。騎乗した松山弘平騎手は中山記念初勝利。管理する美浦・堀宣行調教師は2016年ドゥラメンテ、2017年ネオリアリズムで制しており、当レース3勝目。ヒシイグアスは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は阿部雅英さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

【展開・ペース】 バビットはテンションが上がることはなく、馬体もスッキリと見せて好仕上がり。迷わず、ハナを叩きましたが、外からウインイクシードにピッタリとマークされる形。プレッシャーをかけられてラップを落とすことはできず、前半1000m通過は57秒9。タイムの出やすい開幕週の馬場を考慮してもこれは速かったですね。結果的にウインイクシードが③着に踏ん張りましたから、もう少し頑張ってほしいところですが、少し気難しい面のあるタイプ。自分の形で気分良く運べず、脆さが出てしまいました。

 

 

重賞連勝!勢いに乗りGⅠへ

【レース分析】 ヒシイグアスは輪郭をクッキリと見えるほどに体の張りが良く、デキは文句なし。速めのペースで推移し、馬群は縦長に。ポジション取り、仕掛けどころは難しいところですが、開幕週の馬場を前3頭から少し離れたところを進んだヒシイグアスケイデンスコールまでが勝負圏内。松山騎手は序盤、スムーズに好位置を確保。道中はしっかりと我慢させ、自信を持って動いていきました。内から伸びてきたケイデンスコールとの叩き合いを制してGⅢ中山金杯に続く重賞連勝。速いタイムの決着に対応できた点は収穫。まだGⅠで勝ち負けとなると物足りないかもしれませんが、今日に関してはクビ差という着差以上に強い勝ち方でした。

「開幕週だったのでいいポジションを取ってレースを進めようと思いました。前が飛ばしている中で、しっかりとついていってくれました。直線では内から1頭(ケイデンスコール)抜け出してきて、危ないところはありましたが、最後まで脚いろが衰えず差し切って非常に強い競馬をしてくれました。厩舎の方でよく仕上げてくれて、乗る毎に馬は良くなっていますし、そのたびに強い馬だと感じます。まだまだこれからの馬だと思うので、もっと強いレースを見せられるように頑張りたいと思います」とレース後に松山騎手がコメント

 

ヒシイグアスの4代血統表

 

収穫が多かったケイデンスコール

 ケイデンスコール(単勝5番人気)はパドック、本馬場入場と全身を無駄なく使えていて滑らかな身のこなし。気配の良さが目につきました。岩田康誠騎手らしいインにこだわったレース運び。距離延長が鍵と見ていましたが、不安を吹き飛ばすような完璧なレース運びで9ハロンを克服。最後は勝ち馬に力でねじ伏せられた感じですが、コーナー4回の1800mをこなせたのは収穫。今後に向けて展望が開ける②着となりました。ウインイクシード(単勝7番人気)は気力旺盛で馬体の張りも良く、まだまだ馬は若々しいですね。2番手につけると終始バビットにプレッシャーをかけ続け、これを競り落として一旦は先頭に立つ場面。速めのペースだったことを考えれば最も中身の濃いレースをしています。7歳を迎えましたが、更に力をつけている印象を受けました。

 

ゴール後、馬上から馬場に向かって深々と礼をした蛯名正義騎手。

 

 ④着はゴーフォザサミット(単勝6番人気)。コンビを組むのはこれが現役ラスト騎乗となった蛯名正義騎手。中山内回りコースが舞台ですから近走と違い、蛯名騎手は中団で流れに乗せて運びました。前を走るヒシイグアスケイデンスコールを追うように鞍上のアクションに応えて進出。直線に向いたところで一旦、連対した2頭に離されてしまいましたが、坂を駆け上がってからグイッと伸びて④着に浮上。復調のきっかけを掴んだと見ていいでしょう。

 

 

 

                          

text by 京増 真臣

 

 

▲全レース終了後に行われた蛯名正義騎手の引退式の様子。「騎手・蛯名正義を応援していただいた以上に、調教師・蛯名正義を応援してもらえるよう頑張っていきます」と力強く挨拶した。

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・連対馬の前走を見ると、勝ち馬、②着馬はGⅢ①着。しっかりと連対候補の条件を満たしていた。

〇馬齢・・・今年は2頭参戦した4歳馬こそ⑦⑭着と完敗を喫したが、5歳馬がワンツー。7歳馬のウインイクシードは③着。傾向通り、7歳以上の高齢馬が連対するのは難しいようだ。

〇実績・・・ヒシイグアスケイデンスコールには重賞勝ちの実績があった。今年は例年に比べると小粒なメンバー構成だったが、取捨を決める重要なデータだ。また美浦・堀宣行厩舎の管理馬は2016年以降、3頭出走してドゥラメンテ、ネオリアリズム、そしてヒシイグアスと全馬優勝。来年以降も同厩舎の所属馬なら軸として狙っていける。

 

 

 

《中山記念 2016-20》

 

 


 
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