6月13日に札幌競馬場で行われた第28回GⅢ函館スプリントS(芝1200m・3歳以上・別定・晴れ・良馬場)は単勝5番人気だったビアンフェが鮮やかに逃げ切って優勝。サマースプリントシリーズ開幕戦を制した。騎乗した藤岡佑介騎手は2010年ワンカラット以来となる函館スプリントS2勝目。管理する栗東・中竹和也調教師は当レース初勝利。ビアンフェは北海道新冠町㈱ノースヒルズの生産馬。馬主は前田幸貴さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 スタート自体は大外枠のカレンモエの方が速くても、二の脚を利かせてビアンフェが一気に先制。ハナに立ってからは絡まれることもありませんでしたが、2~3ハロン目が10秒台と速めのラップを刻んでケレン味のない逃げ。後方追走の差しタイプにとっても、能力発揮には支障のない展開となりました。
開幕週の芝を華麗に疾走
【レース分析】 勝ったビアンフェは3月のオーシャンS以来の実戦で、体重も前走比12キロ増でしたが、過去に558キロで勝ち鞍があり、滞在競馬に替わっていた点からも太め感のない仕上がり。迷うことなく主導権を握り、自分の競馬に持ち込んで後続を振り切りました。
「今までで一番と言っていいほどスムーズにゲートに入ることができて、いい雰囲気でレースに臨めました。2歳時から素晴らしいスピードを見せていながら、気持ちと体が噛み合わないところもありましたが、牧場と厩舎の方々のおかけで、やっといい形になりました。スタートしてすぐはそれほど速くなくても、外枠だったのでジワッとスピードに乗せていく、理想的なレースができました。速いペースで逃げて、後ろが苦しくなってからも頑張るのがこの馬の良さですし、更に大きな舞台を目指したいと思います」とレース後に藤岡佑介騎手がコメント。確かに昨年のスプリンターズSで枠入り不良など、気性面の脆さを覗かせながら、非凡な速力を随所で示してきた馬ですから、去勢効果も手伝って完成の域に入れば今後のサマースプリントシリーズだけでなく、GⅠでも注目を集める存在となってきそうです。
重賞制覇が待たれるカレンモエ
②着のカレンモエ(単勝1番人気)は流れに乗ったレース運びで力を出し切った感じですが、またも初重賞制覇には一歩届かず。人気を背負っていたので、前を見ながら後ろも気にしつつと難しい立ち回りを強いられましたが、最後の詰めが課題になっていることも確か。レース巧者だけに今後も崩れるケースはなさそうですが、超良血だけに、ひと皮剥けてほしい印象も残りました。③着のミッキーブリランテ(単勝4番人気)は今年に入ってから崩れたのが、大外枠で出遅れたGⅠ高松宮記念だけで、今回も中団追走から直線で確かな伸び。昨夏はマイルシリーズで健闘していましたが、今年はスプリントの方で目の離せない存在となりそうです。
当日版の紙面で◎に指名し、単勝2番人気とファンの注目度も高かったシゲルピンクルビーは、スタートで少し挟まれる感じになって出脚がひと息。レースの流れに乗れず、直線も進路がなくて鞍上がほとんど追えていませんでした。消化不良の内容でしたし、続けて1200mを使ってくれば次走は慣れも見込めますから、巻き返しに注意が必要でしょう。今回の敗戦で多少でも人気を落とすようなら、むしろ狙い目になるかも知れません。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・連対馬の前走を見ると、勝ち馬はGⅢ③着、②着馬はGⅢ②着。どちらも重賞組だから条件はクリアしていた。 〇レース間隔・・・連対した2頭はどちらも前走が3月のオーシャンS。つまり休み明けだった。休養明けがマイナスとならないのは現代のトレンド。来年以降は気にせず狙う方がいいだろう。 〇牝馬・・・5歳牝馬カレンモエが②着。牝馬は年齢により取捨を判断するのは危険だ。 〇馬体重・・・②着カレンモエは前走時の馬体重が458キロ(レース当日は462キロ)。牝馬の馬齢同様、馬体重により買いか消しか決定するのも来年以降は避けたい。
《函館スプリントS 2016-20》 |