7月25日に新潟競馬場で行われた第21回GⅢアイビスサマーダッシュ(芝・直線1000m・3歳以上・晴れ・良馬場)は単勝1番人気に支持されたオールアットワンスが早めに先頭に立つとそのまま押し切って優勝。騎乗した石川裕紀人騎手、管理する美浦・中舘英二調教師ともアイビスサマーダッシュは初勝利。オールアットワンスは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は吉田勝己さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
▲レース動画はコチラをクリック
【展開・ペース】 最内枠からバカラクイーンが好スタートを切りましたが、外へ進路を取らなかったので1頭だけ離れて走る形に。外ではライオンボス、そしてロードエースが馬群を引っ張りました。ただ、前日の1勝クラスがスタートから11秒9→9秒9のラップだったことを考えると序盤の流れはGⅢとしては緩く、先行タイプに有利な展開となりました。
15年ぶりに3歳馬がアイビスSD制覇
【レース分析】 個人的に当日版で◎に指名して、期待に応えてくれたオールアットワンス(単勝1番人気)はスタートして100mあたりの地点で少しゴチャつくシーンがありましたが、その後は6枠両馬の後ろで、スムーズに好位置をキープ。残り2ハロンで前に並びかけると、そのまま鋭く脚を伸ばし、一気に抜け出しました。
「初めて乗りましたが、いいスピードがあることはレースを見て分かっていました。外枠だったので深くは考えず、この馬のスピードを信じてレースをしました。いろいろと条件が噛み合ったこともありますが、強い牡馬を相手に勝ち切ってくれて良かったです。状態も凄く良かったので、関係者に感謝したいです。まだ成長していくと思いますし、他のコースでも活躍できるでしょう」とレース後に石川裕紀人騎手はコメント。確かに枠順や51キロの斤量など、このレースで好走する条件が揃っていたのでファンも1番人気に支持したのでしょうが、細身の牝馬が8キロ増の体重で、成長が窺える姿だったことにも好感が持てましたし、短距離戦なら直線競馬に限らず、今後も活躍が期待できそうです。
一変した直線競馬のスペシャリスト
②着ライオンボス(2番人気)は春の韋駄天Sとは違い、時計の速い馬場状態+別定戦で巻き返しに成功。当舞台の第一人者が面目を保つ走りを見せました。勝ち馬より6キロ重い斤量を背負っていたことを考えれば、負けて強しと言えますが、今後も他馬との斤量差はポイントになりそうです。③着に健闘したバカラクイーン(14番人気)は開幕週の馬場で仮柵を外したところを通れるのならと、敢えて内ラチ沿いを選択した鞍上のファインプレーが光りました。ただ、開催が進むと同じ戦法は取れませんし、先行有利の展開も味方した印象なので、次走で自己条件の2勝クラスに戻っても、全幅の信頼を置くのは危険な気がしています。
3番人気に支持されながら⑫着に終わったモントライゼは、本質的に直線競馬に対応可能なスピードを備えていても近走で抑えるレースをしていたので、条件替わりに対処できなかった可能性がありますし、騎乗した川田騎手は「レース後に熱中症っぽい症状がありました」とコメント。いずれにしても能力を出し切った結果とは思えませんから、次走以降のレースぶりに改めて注目したいと考えています。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・勝ち馬は前走で重賞③着。②着馬はOP特別⑨着。③着馬は2勝クラス⑦着。条件をクリアしたのは勝ち馬だけであった。②着馬は2年前の勝ち馬であった点に注目。特殊な条件であるから来年以降、過去のアイビスサマーダッシュの勝ち馬に関しては前走の着順を不問で買い目に加えたい。前走、2勝クラス敗退馬が馬券に絡んだが、潮目が変わったのか、それとも一過性のものなのかは判然とせず、基本的には前走で優勝した馬を狙う方針は継続したい。 〇枠順・・・今年は7枠→6枠→1枠で決着。ただし、バカラクイーンの健闘によって馬場のいい開幕週限定ではあるものの、内枠でも好走できる可能性が広がった。こちらも今後の推移を見守りたい。 〇韋駄天S・・・今年の韋駄天S連対馬タマモメイトウは⑦着だったが、これを含めても2016年以降、同レースの連対馬は[2・4・1・2]。馬券に絡む可能性は非常に高く、来年以降も該当馬には注意が必要。
《アイビスサマーダッシュ 2016-20》 |