9月4日に札幌競馬場で行われた第56回GⅢ札幌2歳S(芝1800m・2歳・馬齢重量・晴れ・良馬場)は単勝1番人気に支持されたジオグリフが外から軽々と抜け出して優勝。騎乗したC.ルメール騎手は2017年ロックディスタウン以来となる札幌2歳S2勝目。管理する美浦・岩戸孝樹調教師は初勝利。ジオグリフは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

ダークエクリプスは競走除外に

 

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【展開・ペース】 放馬によるアクシデントでゲート入りがやり直しになりましたが、戦前の予想通りトップキャストがハナに立ち、あまりペースを落とさずに逃げる形も同馬の初戦と同じ。2~8ハロン目までは11秒9から12秒2のラップが並び、1000m通過が59秒2だった昨年ほどではなくても、緩みのない流れで地力を問われるレースになりました

 

楽に後続を引き離して独走

【レース分析】 勝ったジオグリフ(単勝1番人気)は6月の東京開催、以来の実戦でも、体重は2キロ増で好仕上がり。ゲート内で落ち着きがなく、出遅れて序盤は最後方を追走。折り合いに専念して、半マイル標識あたりから追い上げ始めて長く脚を使い、そのまま直線で抜け出すとノーステッキで、後続を突き放しました。

 

▲2000年以降では最大の着差をつけて勝利したジオグリフ

 

「ゲートでエキサイトしてチャカチャカしていたので、敢えてゆっくり出して、後ろからリラックスしていかせた。段々とポジションを上げていったけど反応が凄く良かったし、直線を向いた時には絶対に勝てると思ったほど。そこからも徐々に加速して、いい脚を使ったし、最後も楽だった。まだ子供っぽいけど能力はあるね」とレース後にC.ルメール騎手はコメント。本紙で◎に推して素質の高さに注目していましたが、スローの瞬発力比べで非凡な決め手を見せた初戦とはまるで違う流れ、レース運びでの圧勝劇は想像以上。この内容でしたら距離が延びても不安は感じませんし、今年も来春が楽しみになるクラシック候補が現れました。

 

ジオグリフの4代血統表 ドレフォン産駒はJRA重賞初勝利。母アロマティコは小回り向きの機動力を装備。現役時代は小倉や函館でも勝ち星を挙げた。

 

経験が生きたアスクワイルドモア

 ②着アスクワイルドモア(4番人気)は消耗戦になって、初勝利を挙げるのに3戦を要した分のキャリアが生きた形。勝ち馬が楽勝する展開に恵まれたことは確かですが、今後も頭数が増えてタフなレースになるようなら、浮上してきそうです。③着トーセンヴァンノ(5番人気)も経験値が高く、流れも味方しましたが、追って確実に伸びるタイプですから、今後も大きく崩れることはなさそうです

 

▲無敗で重賞を制したジオグリフ。12月のGⅠが楽しみになるレース内容だった。

 

 一方、2番人気で⑤着に終わったトップキャストは、現段階では気性が若く、消耗戦の1800mだとスタミナが保たなかった印象。精神面が成長すれば中距離にも対応できそうですが、いずれはマイラーとして頭角を現してくるかも知れません。⑥リューベック(3番人気)もスタートが今ひとつで、控える形は想定内でも馬群の内で少し窮屈なレースになり、直線で進路ができても反応できなかったのはキャリアの浅さが出たからでしょう。好馬体の持ち主で血統的な魅力も周知の通りですから、今回の経験を糧に、次走以降で変わり身が期待できそうです。

 

 

                          

text by 五十嵐 友二

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・勝ち馬は条件をクリア。ただし、②着馬は前走が未勝利戦で②着との着差は0秒1。来年以降は、未勝利組については着差による取捨は避けた方が賢明だろう。

〇前走コース・・・勝利はならなかったが、前走が函館芝1800mの未勝利戦だったアスクワイルドモアが②着を確保。札幌コースでのレースだが、同舞台を経験しているのは強み。今後も条件に当て嵌まる馬には注意が必要。

 

 

 

 

《札幌2歳S 2016-20》

 

 


 
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