9月11日に中山競馬場で行われた秋華賞トライアル第6回GⅢ紫苑S(芝2000m・3歳・牝馬・曇り・良馬場)は単勝2番人気のファインルージュが優勝。騎乗した福永祐一騎手、管理する美浦・岩戸孝樹調教師とも紫苑Sは初勝利。この結果、ファインルージュ、スルーセブンシーズ、ミスフィガロの3頭が秋華賞の優先出走権を獲得した。ファインルージュは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は穴井元一さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 好スタートを決めたアビッグチアが注文通りハナに立ち、3ハロン目に12秒0のラップがあるように、前半は落ち着いた流れ。ただ、5ハロン目以降は11秒台のラップが続いて先行勢は息が入れにくく、ペースの表記はスローでも緩い流れからの瞬発力勝負ではなく、決め手の鋭さ+長く脚を使える持久力、地力が求められる展開になりました。
GⅠで健闘した地力を誇示
【レース分析】 勝ったファインルージュ(2番人気)は好位~中団の外めで流れに乗り、3角あたりからスパート態勢に入ると徐々に前へ押し上げ、残り1ハロンで先頭に立つと、そのまま危なげなく抜け出しましたした。
「オークスの時は距離を保たせるフォームにしていたのですが、今回は元のフォームに鍛えるようにリクエストして、雰囲気も良かったです。桜花賞の時に似ていました。これで距離が保たないようで路線を変更してもらうことも考えていましたが、理想の競馬ができました。4角で早めに外へ出して追い上げていったんですが、最後まで脚いろは鈍らず、2000mでも問題ないことを証明してくれました。坂のあるコースの2000mをこなせたので、阪神の2000mでも大丈夫でしょう。休養を経て、牧場や厩舎関係者がいいコンディションにしてくれていましたし、競馬も完璧でした。力のある馬ですし、更に相手が強くなっても楽しみです」とレース後に福永騎手はコメント。本番は次とはいえ、この馬にとっては先の路線を決める重要な一戦でしたが、レコード決着の桜花賞③着の実績、地力を改めて示す結果となりました。勿論、秋華賞でも首位候補の1頭になることは間違いありません。
春より成長したスルーセブンシーズ
②着が当日版の紙面で◎に指名していたスルーセブンシーズ(4番人気)で、2キロ増の馬体はあまり春と変わっていませんでしたが、懸案だったスタートを決めたあたりに精神面の成長が窺え、直線も前が詰まるシーンがありながら、最後は鋭く伸びて連対を果たしました。小柄なタイプで秋華賞に向かうと初遠征が課題になりますが、今回もスムーズなら勝ち馬との差は詰まっていたと思えますから、当日の馬体、気配次第ではGⅠで上位争いも可能でしょう。
③着ミスフィガロ(12番人気)も開幕週の馬場で、馬群の外を回るロスがありましたから、少なくともハナ差の②着馬とは互角の評価。オープン初挑戦だったことを考えても中身のあるレースぶりでしたし、ダービーの全妹が軌道に乗ってきたとなれば、本番でもマークが必要になるでしょう。また、レースの流れを考えると、前めで運んで④着のシャーレイポピー(16番人気)も健闘といえる内容で、前走の2勝クラス④着も好メンバーでしたから、自己条件に戻れば重視は当然ですね。1番人気で⑰着に終わったエクランドールは、ひと言でいってキャリアの浅さが出た印象。今回の経験が次走以降の糧になるか、注目していきたいと思います。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・連対した2頭は前走でオークスに出走。今年はGⅠ組がワンツーを決めた。
《紫苑S 2016-20》 |