10月23日(土曜)に東京競馬場で行われた第24回GⅡ富士S(芝1600m・3歳以上・別定・晴れ・良馬場)は単勝1番人気に支持されたソングラインが馬込みから抜け出し、そのまま押し切って優勝。騎乗した池添謙一騎手、管理する美浦・林徹調教師とも富士Sは初勝利。この結果、勝ったソングラインはマイルCSの優先出走権を獲得した。ソングラインは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 ロータスランドが主導権を握り、ボンセルヴィーソが2番手を追走。前半600m通過は35秒3
僅差でも完勝だったソングライン
【レース分析】 ②着とは僅か“クビ差”でしたが、ソングライン(1番人気)の完勝と言っていい内容ではないでしょうか。まずは序盤。スタートはゆっくりで後方から。すかさず池添騎手は中団までポジションを押し上げます。比較的、落ち着いた流れでしたから折り合いはどうか!?と心配しましたが、これは杞憂。行きたがる面を見せず、リズム良く運べていましたね。敗れましたが、前走の関屋記念がいい経験になったのでしょう、道中は屈強な年長の牡馬に周りを囲まれていましたが、気圧されることなく追走できていました。直線に向くとスムーズに進路が開き、残り1ハロンを過ぎてから満を持して先頭に立ちます。一瞬、シュネルマイスターに交わされてしまったNHKマイルCが頭をよぎりましたが、今日は最後までしっかりと伸びて押し切りました。ラスト3ハロン地点のラップが最も速く、最後は追い込みタイプが台頭した展開を考えますと、早めに脚を使って押し切ったレースぶりは非常に価値が高いですね。
「ようやくソングラインと重賞タイトルを取れてホッとしています。返し馬でキビキビとしていい動きでしたし、体に張りもあって、関屋記念の時よりも状態はいいのかなと感じました。スタートは立ち遅れてしまってうまく乗れなかったんですが、二の脚でスッとポジションが取れたし、我慢が利いて走れていましたからね。直線で外に切り替えた時も手応えはあったので、いつスパートをかけるかと思っていました。もともと能力を感じていましたし、体も成長して良くなっていました。ただ、まだ遊んでいるところがあって、今日でも抜け出してフワッとしたのでヒヤッとしました。そういう意味でまだ良くなる余地があります。この舞台は得意としているので古馬相手でも負けられないと感じていました。結果を出せて良かったです。これからもっと良くなると思うので、成長を楽しみにしたいです」と池添騎手はコメント。前走後、グンと一段階、二段階成長した印象。勿論、GⅠレースでも目が離せない存在です。
末脚を磨いたサトノウィザード
メンバー中、最速の上がり3ハロンをマークしたサトノウィザード(9番人気)が②着。確かに差しタイプが台頭できる展開、そして外が伸びやすい馬場ではありましたが、追い込んで③着を2馬身離した走りはインパクト十分。他力本願な脚質ではありますが、噛み合えば重賞を勝てるところまで末脚の破壊力は強化されていますね。③着はタイムトゥヘヴン(10番人気)。直線一気を決めて桜花賞を制したキストゥヘヴンの息子。マイル起用、そして差しに徹する戦法が合うようですね。
④着はダノンザキッド(2番人気)。残り1ハロン地点を過ぎて伸びが鈍ったあたりは物足りなさが残りますが、終始、外を回りながら直線では一旦、ソングラインに迫るシーンがありました。皐月賞以来の実戦ながら距離適性の高さはしっかりと示したレース内容。使ったことで次走、落ち着いて実戦に臨めるようなら大幅にパフォーマンスを上げそうな予感がします。
text by 藤原 有貴
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・勝ち馬は前走がGⅢ③着で条件をクリア。ただし、②着には前走でOP特別を勝ったサトノウィザードが食い込んだ。今後はOP特別・リステッド競走組を軽視するのは避けた方がいいだろう。 〇馬齢・・・勝ったのは3歳ソングライン。GⅠ勝ちはないが、②着の実績はあった。来年以降、3歳はGⅠ連対実績があれば連対可能と狙える条件を緩和したい。
《富士S 2016-20》 |