2021年11月14日(日) 5回阪神4日

平均は京都開催も含む

 今開催は時計のかかるタフな馬場。含水率も朝5時の時点では前日と同じく10%を超えて、標準よりも水分を含んだ状態。それに加えて59秒0─12秒3─60秒8という締まった流れ。G1らしい地力を問われるレースになりました。

 勝ったのは10番人気の伏兵アカイイト。これまで重賞ではG2で2戦して⑦⑦着。これが重賞初勝利でした。またキズナ産駒はこれが初めてのG1勝ちとなります。レース序盤は外枠、スタートもひと息とあって後方からでしたが、これは予定通り。馬群の内には入れず外めで運んで、残り1000m付近から徐々に進出を開始。残り600m手前からエンジンを吹かしていって、直線に向くころには先行馬を射程圏に入れていました。直線は馬場の中ほどを通り、残り200mを過ぎてラチ沿いで粘るレイパパレを交わすと、そのまま後続に2馬身差をつけてのゴール。よほど手応えが良かったのでしょう。これまでにない強気な競馬で完勝でした。「早め早めに、長く脚を使うイメージで動いていったら思った以上に早く前に取りつけました」と幸騎手。馬場も展開も向きましたが、この乗り方が正解でした。管理する中竹和也調教師は2009年NHKマイルC、2018年ホープフルSに続くG1・3勝目。

 ②着に7番人気のステラリアが入り、馬連で51,870円の大穴決着。キズナ産駒のワンツーとなりました。うまく折り合いがついていましたし、荒れた内を嫌って馬群の外めを運んだのは鞍上の好判断。ただ、残り600mを過ぎたところでアカイイトとウインキートスに挟まれる感じで引かされたの痛かったです。ゴール前の脚勢は勝ち馬を上回っていました。上位2頭は中間にそれぞれ自己ベストをマークと、休み明けを叩いての上積みも顕著でした。クラヴェルは後方から枠なりの競馬。ただ、ずっと内に固執した競馬ではなく、3角手前では内と外と両睨みの位置取り。3角に入るとしきりに内を確認していたように、そこで腹を括ったようでした。そこからの捌きは円熟したベテランの味。パドックでも落ち着きがあり、仕上がりも良かったです。

 ソフトフルートは後方で終いを生かす競馬。勝負どころから大きく外を回すこともなく、スムーズに馬群を捌けたように展開も嵌まりました。先行馬が壊滅した競馬で、イズジョーノキセキの位置取りはギリギリでした。勝負どころでは下がってきたロザムール、手応えが悪くなったウインマリリンを捌くのに手間取り、ポジションが悪くなりましたし、最後の伸びを見ると内容的には強い競馬をしています。前述のウインマリリンは入線後下馬。結果を考えると、やはりデキが本当ではなかったのでしょう。

 人気のレイパパレアカイトリノムスメは揃って掲示板外へ。レイパパレは好位の内で運ぶ形でしたが、やはり馬込みはあまり良くないようで終始力んでいました。距離も心配されていましたし、ペースを考えるとラスト1ハロンまで頑張っていたのは地力の証。結果論ですが、思い切ってハナへ行くか、外枠を引ければ良かったかもしれません。ただ、だからといってテンから出して行くわけにもいかず……。アカイトリノムスメは好位の外。こちらも力みがありました。勝負どころで勝ち馬が外から来たのと一緒に動いていきましたが、勢いが違いましたね。直線で外に切り返すシーンもありましたが、あまり脚も残っていませんでした。前に厳しい展開、G1を使って中3週のローテーション、どちらも楽ではなかったと思います。

text by 小林  

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。