7月31日(日曜)に札幌競馬場で行われた第70回GⅢクイーンS(芝1800m・3歳以上・牝馬限定・別定・晴れ・良馬場)はテルツェット(単勝2番人気)が最内から抜け出して優勝。騎乗した池添謙一騎手は2001年ヤマカツスズラン、2011年アヴェンチュラ、2012年アイムユアーズで勝利しており、クイーンSは通算4勝目。管理する美浦・和田正一郎調教師は昨年に続き、当レース2勝目となった。テルツェットは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 例によってスタートはそれほど速くなかったローザノワールですが、外の馬が折り合いを優先したこともあり、ハナに立ってからはマイペース。前半5ハロンは12秒台のラップが続き、1000m通過61秒2は重賞としては、かなりゆったりとしたペース。展開的には先行型や内を通った馬に有利なパターンとなりました。
【レース分析】 勝ったテルツェット(単勝2番人気)は1コーナーで②着馬と接触するシーンがありましたが、その後は中団の最内をスムーズに追走。4コーナー手前でも手応え十分で鞍上も直線は迷わずインを選択。ペースを考えると前が詰まっても仕方ない進路取りでしたが、進路は塞がらずに残り1ハロンから鋭く伸びて、最後は接戦を制しました。
「返し馬で状態が良さそうだなと感じましたし、この馬は末脚がいいので、それを引き出せるように乗りました。1コーナーで頭を上げましたが、うまくクリアできましたし、ラストも狭いところから、よく伸びてくれましたね。ゴールした時は分かりませんでしたが、勝つことができて嬉しいです」とレース後に池添騎手はコメント。②着馬とはコース取りの差もありましたが、56キロの斤量を背負って連覇は立派の一語。内、中の違いはありますが昨年も馬群を見事に捌いての勝利でしたし、操縦性の高さと反応の良さ、決め手の鋭さが生きる舞台なら今後も活躍が期待できそうです。
②着サトノセシル(8番人気)は昨年の当レースで、自身が◎にして③着でしたから、この程度は駆けて納得ですが、決して乗りやすいタイプとは思えなかったので、テン乗りになった今回は△の評価に。その点では外めを回ったにしても鞍上のサポートは賞賛できますし、やはり少し時計を要す設定の牝馬GⅢなら能力はヒケを取りませんね。③着が今年は◎にしていたローザノワール(3番人気)で、枠順も良く、他馬との兼ね合いも、こちらが事前に予想していた通り。田中勝騎手は「ペースを落とし過ぎてしまった」とレース後にコメントしていますが、それはあくまでも結果論というのが正直な感想。自分の競馬をして力は出し切ったと見ています。
④着ルピーカサブランカ(6番人気)、上がり最速を計時して⑥着だったラヴユーライヴ(7番人気)もゴール前の末脚は目につき、展開やコース取りを考えれば評価できる内容。洋芝の1800m自体は合っていたと考えるべきでしょうし、流れ次第では巻き返しがあっても驚けません。一方、案外だったのが1番人気で⑩着に終わったウォーターナビレラで、好スタートから流れに乗った際には当然、勝ち負けと思われましたが、直線を向くと伸びを欠いて後退。桜花賞などの内容から平坦コースなら距離が長かったとは考えにくいですが、時計を要す洋芝だと勝手が違ったのでしょうか。レース選択を含めて、今後の動向に改めて注目したいところです。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。