3月21日に中山競馬場で行われた第70回GⅡスプリングS(芝1800m・3歳・馬齢重量・雨・重馬場)はヴィクティファルス(単勝3番人気)が外から差し切って優勝。騎乗した池添謙一騎手は2011年にオルフェーヴルで制しており2勝目。管理する栗東・池添学調教師は当レース初勝利。この結果、①着ヴィクティファルス、②着アサマノイタズラ、③着ボーデンがGⅠ皐月賞の優先出走権を獲得した。ヴィクティファルスは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈱G1レーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

【展開・ペース】 レース当日は雨が降り続き、馬場状態は重の発表。また風も強く、向正面が向かい風(ホームストレッチは追い風)となっていました。逃げたワールドリバイバルアールバロンが絡む形。判断しづらい面はありますが、ラップを踏まえると平均ペースだったと考えていいでしょう。2番手を進んだアールバロンの直後から中団までが勝負圏内。

 

 

一躍、クラシック戦線の有力候補に

【レース分析】 ヴィクティファルス(単勝3番人気)はGⅢ共同通信杯に続いて、関東圏に遠征してのレース。まだまだ心身ともに成長の余地は残していますが、馬体重の変動こそほとんどありませんでしたが、前走時よりも体が引き締まって上積みが感じられました。道中は脚をためて中団を追走。4コーナーではロードトゥフェイムの上昇するのをやり過ごしてから大外へ。この日、芝コースの直線は内が悪く、真ん中から外を通った馬がよく伸びていました。池添騎手は馬場傾向を把握した進路取り。冷静な騎乗が光りましたね。先に抜け出したアサマノイタズラ目標に鋭い伸び脚。上がり勝負となったGⅢ共同通信杯で②着に好走すると、今度は道悪をこなして重賞制覇。混戦ムードが漂うGⅠ皐月賞の有力候補に名乗りを上げた格好に。

「返し馬の感じから、折り合いを大事にしたいと思っていました。スタートが決まったことで他馬の後ろを取ることができていい形になったし、道中リズム良く運べたことが良かったですね。今日のような馬場でも追い出してから、しっかり反応してくれました。まだ成長してほしい部分はありますが、持っているポテンシャルは高いです。この後の本番でも頑張ってくれると思うので、楽しみですね」とレース後に池添騎手はコメント。初コンビでしたが、確かな手応えを感じた様子。続く本番でも軽くは扱えません。

 

ヴィクティファルスの4代血統表

 

不向きな馬場でも崩れぬボーデン

 アサマノイタズラ(単勝7番人気)はプラス10キロでの出走。馬体が戻って、動きも柔らかく、前走以上のデキに映りました。ゲートを出てからは自然体で流れに乗せて6番手を追走。比較的、馬場のいい外目を通れたことも好走の要因でしょう。4コーナーでは勢い良く先頭に並びかけ、ヴィクティファルスの追い上げに合わせて、もうひと伸び。アタマ差交わされての惜しい②着。ボーデン(単勝1番人気)はパドックでテンションが上がることがなく、動きには弾力があって迫力満点の周回。1コーナーでは内のランドオブリバティと接触しそうになる場面はありましたが、好位で折り合って我慢が利いていました。それでも、デビュー戦で4馬身離しているアサマノイタズラに逆転を許したわけですから、やはり馬場の巧拙の差が大きく影響した点は否めません。直線に向くと馬場の真ん中へ進路を取り、ランドオブリバティを振り切って③着。更に外から2頭に交わされてしまいましたが、不向きな馬場でこれだけ走れたのですから評価を下げる必要はないでしょう。

 イルーシヴパンサー(単勝8番人気)は序盤はボーデンをマークしながらレースを進めました。勝負どころでは前を走るランドオブリバティの動向に注意しつつ仕掛けのタイミングを探る形。少し動きづらかったかもしれませんね。直線は手前を替えてから脚を伸ばして④着まで浮上。2番人気ランドオブリバティは⑦着。1~2コーナーでは外へ行きたがるような仕草を見せてコントロールするのに苦労。終始、力み加減だった分、スタミナを消耗したのか直線で伸びが続きませんでした。素質は一級品ですが、まだ脆さも内包。ほろ苦い結果となりましたが、経験と鍛錬を積み、スムーズに力を出せるようになれば重賞獲りが叶う器です。

 

▲兄、池添謙一騎手と弟の池添学調教師のコンビによる重賞制覇はこれが初めて。

 

                          

text by 京増 真臣

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・連対馬の前走を見ると、勝ち馬はGⅢ②着、②着馬は1勝クラスで④着(0秒4差)。まず重賞組はレースの格を問わず、前走で④着以内に入っていることが連対条件。また1勝クラスに関しては勝つか、勝ち馬から0秒4差以内なら連対可能と基準を改めたい。

〇あすなろ賞組・・・期待したワールドリバイバルは⑥着。さて、この前走あすなろ賞優勝馬だが、連対した2頭は前走で0秒2以上の着差をつけて勝っていたのに対し、凡退した2頭は②着にハナ差と0秒1差。来年以降は0秒2以上、差をつけて勝っていれば狙うようにしたい。

〇芦毛馬・・・唯一の芦毛馬ヴィゴーレは⑮着と完敗。これで2016年以降、芦毛馬は7頭出走して[3・0・1・3]。これを東西所属別に見ると、美浦[3・0・1・1]、栗東[0・0・0・2]。ヴィゴーレは関西馬。芦毛の関東馬であれば積極的に買ってみたい。

 

 

 

《スプリングS 2016-20》

 

 


 
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