10月30日(日曜)に東京競馬場で行われた第166回GⅠ天皇賞(秋)(芝2000m・3歳以上・定量・晴れ・良馬場)はイクイノックスがゴール前で差し切って優勝。騎乗したC.ルメール騎手は天皇賞(秋)は4勝目。管理する美浦・木村哲也調教師は初勝利となった。イクイノックスは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 パンサラッサの大逃げは予想した通り。向正面に入るあたりでノースブリッジが絡んできたことは想定外だったかもしれませんが、パンサラッサにとってはそれほど影響はなかったように感じました。3ハロン目以降も11秒台のラップを刻み続けて前半1000m通過は57秒4。自分のスタイルを貫き通しましたね。離れた2番手以降はゆったりした流れ。2つのレースが同時に行われたような天皇賞(秋)でした。
【レース分析】 本命に推したイクイノックス(1番人気)は春当時の緩さがなくなり、胸前からトモにかけて筋肉が盛り上がっていました。テンションも上がらず、心身ともに著しく成長していましたね。スタート後は積極的にポジションを取りにいきましたが、パンサラッサが速いペースで飛ばす意思を確認すると切り替えて後方待機策。パンサラッサを除くと、2番手以降は瞬発力、速い上がりを要求されるスローペース。そんな中でも外をスムーズに立ち回って他馬と比べても反応が抜群でしたね。パンサラッサがかなり前にいましたから、届くのかどうか!?と馬券を片手にヒヤヒヤしましたが、ゴール寸前できっちり捉え切りました。春は皐月賞、日本ダービーで続けて②着。その雪辱を年長馬と戦う秋の大一番で果たしました。
▲パドックを歩くイクイノックス(撮影:yu~kun)緩さが抜けて成長した姿に。
「直線に向いてからパンサラッサとの差が15馬身近くあったので少し心配しましたが、追ってから反応が凄く良かったですからね。ラストに差し切ることができました。春はアンラッキーが続いたけど、天皇賞でやっと本当のイクイノックスの走りを見せることができました。やはり彼は素晴らしい馬ですね。これからも一緒にGⅠを取りたいと思います」とC.ルメール騎手はコメント。直線に向いて遥か前方でパンサラッサが粘り込む状況でも、できるだけ追い出しを我慢。パートナーの脚力を信じ、最大限に末脚を引き出した騎乗も称賛に値します。
パンサラッサ(7番人気)は脚捌きは硬めなのはいつものこと。気にする必要はありませんし、キビキビと活気溢れる周回を見せていました。体には無駄肉がなく、札幌記念以来でも上々の仕上がりでしたね。ここ2戦は出脚がひと息でしたが、今回はスタート後にスッと加速。厩舎で修正してきましたね。内枠から主導権を握り、徐々に2番手以下を引き離していきます。決して掛かり気味に逃げているわけではなく、パンサラッサのリズムを守ったコントロールの効いた走りに映りました。かなり速いペースでしたが、それまでのリードを生かし、粘りに粘って②着に好走。個性派の走りが、場内を沸かせたと同時に締まった好勝負を生み出しましたね。敗れたものの、影の主役はパンサラッサである点は異論がないところでしょう。
ダノンベルーガ(4番人気)は馬体重は日本ダービーから6キロほどのプラスではありましたが、数字以上のボリューム感。筋肉量がアップした証拠でしょう。道中はイクイノックスをマークするポジション。直線に向くと内に切れ込むように脚を伸ばしてパンサラッサに迫りましたが、今回はイクイノックスが末脚が一枚上でしたね。ジャックドール(3番人気)は➃着。2番手以降の集団はスローペース。早めにパンサラッサを捉えに動くことはなく、その流れに付き合いましたから勝利を得るには33秒台前半の上がり3ハロンが必要。自身も33秒5と限界に近い脚を使っていますが、こうなると切れる脚が使えて斤量も2キロ軽い3歳馬にはかないませんでした。2番人気シャフリヤールは積極的な立ち回りを封印し、好位の直後で折り合う形。直線に向くと仕掛けても反応が鈍く、エンジンがかかって最後まで脚を使いましたが、⑤着止まり。456キロと牡馬にしては小柄なだけに58キロが影響したのでしょうか。ただ、上積みが見込め、次に出走を予定しているジャパンカップでは彼らしい走りを見せてくれるはずです。
text by 京増 真臣
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