10月21日(土曜)に東京競馬場で行われた第26回GⅡ富士S(芝1600m・3歳以上・別定・晴れ・良馬場)はナミュール(単勝1番人気)が優勝。管理する栗東・高野友和調教師、騎乗したJ.モレイラ騎手ともに当レースは初勝利。この結果、①着のナミュールがマイルCSの優先出走権を獲得した。ナミュールは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 スタートを決めたダノンタッチダウンがユニコーンライオンを制してハナを奪いました。前半の4ハロン通過は45秒2と速いペース。鋭さだけでなく、脚の持続力、地力も問われるレースとなりました。。
【レース分析】 ナミュール(1番人気)は線の細さがある牝馬ですから馬体増はいい傾向。テンションも上がっておらず、肉体面、精神面ともいい状態に仕上がっていました。流れが速く、馬群が縦長となり、道中は脚をためて後方のインを進みました。確かに展開が噛み合った面はありましたが、直線は狭いスペースをこじ開けるように抜け出し、最後は外から迫るレッドモンレーヴを危なげなく振り切って快勝。牡馬を相手に3歳春以来の勝利を挙げ、弾みをつけてこのあとのGⅠへ向かいます。
「この馬のVTRを見て、正直それほど瞬発力があるタイプだとは思っていなかったんです。ただ、レースではイメージよりは後方からになりましたが、直線でスペースができると素晴らしい瞬発力を発揮して、強い馬の勝ち方をしてくれました。最後は他の差し馬も迫ってきましたが、こちらも余裕がありましたし、最後まで差されることはないと感じていました。今日のフィーリングなら、更にもっと大きなレースを勝っても不思議ではないと思います」とレース後にJ.モレイラ騎手はコメント。ヴィクトリアマイル、安田記念と不利に泣いたナミュールにとっては会心の勝利。牡馬の一線級マイラーを撃破したことは自信となったはず。次走も同様のパフォーマンスを発揮できればGⅠに手が届いても驚けません。
レッドモンレーヴ(4番人気)は安田記念以来の実戦でしたが、太め感なく仕上がり、態勢は整っていました。スッと控えて後方待機策。道中はじっくり脚をためて終い勝負に賭けました。直線に入ってから外へ持ち出し、ソーヴァリアントを交わすとナミュールに接近。最後まで差を詰め切れませんでしたが、他馬より重い58キロを背負って③着を2馬身半離した点は高く評価できます。ソーヴァリアント(6番人気)は左だけチークピースを着用。逞しい体の造りは目立っていました。初めてのマイル戦でもあり、リズムを重視して後方を追走。勝ち馬とほぼ同じポジションから4コーナーは外へ回り込みました。結果的に上位2頭の瞬発力に屈したが、最後まで渋太く脚を伸ばして③着。距離適性は示しましたね。
イルーシヴパンサー(3番人気)はいつもよりポジションを取りにいって好位の4番手。結果的に前目で運んだ分、直線は切れる脚を使えなかったかもしれませんが、脚質に幅が出たことは収穫。次につながるレースはできました。マテンロウオリオン(9番人気)はチークピーシズ着用。テンション高めでしたね。ゲートを出てからは自然体で中団の内目に陣取りました。直線は馬群に包まれて仕掛けを待たされましたが、バラけてからもジリジリとしか脚を使えず、最後は流れ込むように入着を果たしました。エターナルタイム(2番人気)はきっちりと仕上がっていましたね。好スタートを決めましたが、一歩引いて4番手を確保。重賞初挑戦でしたし、速い流れを追いかけ過ぎた面もあったかもしれません。直線は一旦抜け出して見せ場を作りましたが、ラスト1ハロンで脚いろが鈍り、上位争いから脱落してしまいました。
text by 京増 真臣
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