11月16日(土曜)に東京競馬場で行われた第29回GⅡ東京スポーツ杯2歳S(芝1800m・2歳・馬齢重量・曇り・良馬場)は1番人気に支持されたクロワデュノールが優勝。管理する栗東・斉藤崇史調教師、騎乗した北村友一騎手ともに当レースは初勝利。クロワデュノールは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 先手候補と思われたニシノイストワールが出遅れてしまい、好スタートを決めたレッドキングリーが一旦は前に出ましたが、外枠のサトノシャイニングが掛かることを嫌って、追いついてきたところでハナを譲ってペースダウン。3~6ハロン目までは12秒台のラップが続き、手頃な頭数の2歳重賞らしく、上がりの速い瞬発力比べとなりました。
【レース分析】 勝ったクロワデュノール(1番人気)は初戦から24キロの体重増でも太め感はなく、今回の方が落ち着いていた反面、覇気がもうひとつかな、という雰囲気。そのせいかスタートも反応がひと息でアオり気味でしたが、軽く促した程度で3番手の外に追い上げ、その後も折り合いはスムーズ。横並びの内で口を割り加減の⑥着馬とは対照的な形の追走になり、追い上げ態勢に入ったのは3コーナーあたりから。直線を向いて②着馬に並びかけると鞍上の手は相手より先に動きましたが、最後まで脚勢が乱れることはなく、ゴール手前で競り合いを制しました。
「レースでは折り合いがつきましたが、体重が増えていたこともあって、返し馬では少しハミを頼って、乗っかってくるような感じのところがありました。ここへ出走するにあたって100点満点という感じはありませんでしたが、その中でも強い競馬をしてくれましたね。次はもっと体が楽になって、操縦性が良くなる期待も持てると思います。改めてポテンシャルの高さを感じられましたし、これからも楽しみですね」とレース後に北村友一騎手はコメント。戦前に陣営からも今回は良化途上という談話が出ていましたし、そんな状態でもスムーズなレースができるセンスの良さ、完成度の高さは特筆できます。この内容なら今後、右回りや小回りコースに替わっても、苦にすることはないはずですし、しっかりと勝ちっ切って賞金を加算できてことも大きいので、現2歳世代のトップランナーであることは間違いないでしょう。
②着サトノシャイニング(3番人気)は返し馬でもテンションの高さが窺えましたし、外枠で前に壁を作れなかったこともありますが、鞍上が無理に抑えず、自然体で先行したことで、ある程度、能力は発揮できた印象を受けました。それでも、松山騎手は「3完歩目で落鉄しましたし、本当は馬の後ろでレースをしたかったんですが‥‥」とコメント。となれば、まだ奥があると考えた方が良さそうですし、この馬も資質はクラシック級でしょう。③着レッドキングリー(2番人気)は②着馬を前に行かせて、うまく我慢して上手に立ち回っていましたが、直線で上位馬に伸び負けした形。ただ、こちらは心身ともに若さを残す段階だと思っていましたから、今の時点での内容としては十分に合格点。今後の成長を待ちたいところです。
④着が自分が◎にしていたファイアンクランツ(4番人気)で、パドックでは初めての当日輸送でもイレ込みなどは見られませんでしたが、ゲート裏で輪乗りの時にはテンションが高く、暴れてしまって、すでに重賞を経験していたアドバンテージは感じられない雰囲気。それでも、レースでは中団からスムーズな競馬ができて、直線も外から脚を伸ばしていました。Cコース替わりの芝で③着馬とは内、外の差もあって馬券圏内には届きませんでしたが、速い上がりの瞬発力勝負に対応できたのはこちらの見立て通り。メンタル面にも成長の余地がありそうです。⑤着デルアヴァー(5番人気)はスタートが今ひとつで、ゲートを出てから馬が鳴いていたというコメントも。まだ若いようですが、それでいて上がりは勝ち馬と並ぶメンバー中最速タイですから、この馬も能力の片鱗は見せたと言えます。⑥着馬との着差は2馬身半ありましたから、掲示板に載っていれば来年の春が楽しみ、というのがこのレースに関しての全体的な印象です。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。