7月15日(土曜)に函館競馬場で行われた第55回GⅢ函館2歳S(芝1200m・2歳・曇り・重馬場)は単勝10番人気のゼルトザームが優勝した。騎乗した浜中俊騎手は当レースは2勝目。管理する栗東・加用正調教師は初めての勝利。加用師は函館記念(2010年マイネルスターリー)、函館スプリントS(2012年ドリームバレンチノ)を制しており、函館2歳Sを勝って函館で施行される重賞レースの全制覇を成し遂げた。ゼルトザームは北海道浦河町富田牧場の生産馬。馬主は宮川純造さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 稍重馬場で施行された2013年が前後半3ハロンが34秒1-36秒5、2022年が同34秒5-37秒3。2007年以来、重馬場まで芝が悪化した今年は34秒7-37秒0というバランス。逃げたスカイキャンパスが③着に粘ったものの、ペースは速め。馬場の巧拙だけでなく、地力も問われる流れだったと認識しています。

 

 

【レース分析】 朝から雨が降り続き、芝コースは終日、重馬場発表。大変、ソフトで走りづらいコンディション。各馬、初めて経験するレベルの道悪でしたから蹴り上げられた泥や芝を気にした馬も多かったはず。まるでダート戦でキックバックを嫌がる馬がいるように。ふっと気がつき、レース後、すぐにゼルトザーム(10番人気)の新馬戦(函館ダ1000m)を見直してみると、最内枠から道中はインの5番手を追走。ここでしっかり砂を被っても集中を切らすことなく運び、直線で外に持ち出すと力強く伸びていました。今回は大外枠から好位の外目に陣取れましたが、この新馬戦の厳しいレース経験が本番に繋がったのでないでしょうか。

 

 

 「返し馬で芝も問題ないと思いましたし、雨で馬場が重くなったことも良かったのでしょう。3コーナーで手応えがありましたし、4コーナーでも反応が良かったので、これならと思いました。ゴール前では耳を立てていたほどで、まだ余裕がありましたね。今日はこういう馬場でしたから、芝への適性に関してはこれからでしょう」とレース後に浜中騎手はコメント。精神面の強さ、ポテンシャルの高さは十二分に示した格好。良馬場の芝適性に関しての結論は次走以降に持ち越しとなりましたが、ローズバド、ローザネイに遡る母系。対応しても不思議ありません。

 

ゼルトザームの4代血統表

 

 先ほどの話の続きになりますが、今年、前走でハナを切った馬は6頭出走。その結果は③⑥⑩⑬⑭⑮着。馬券に絡んだのは主導権を握れたスカイキャンパス(4番人気)。馬場が悪く、芝も飛んでくるストレス過多な状況下だけに前走で気持ち良く逃げた馬が控える形だと力を発揮できなかったように映りました。②着のナナオ(6番人気)は好位のインに陣取り、泥しぶきをモロに浴びながら追走。それでも、気持ちは折れずに直線でひと伸び。勝ち馬の決め手に屈しましたが、ナナオもまた立派な走り。このメンタルの強さがあれば輸送競馬に替わってもイレ込んだり、体を大きく減らすことはないのではないでしょうか。

 

 

 レガテアドール(7番人気)が④着。中団馬群の中で揉まれ、直線は悪路を気にしたのかバランスひと息の走りでしたが、じわじわと伸びました。こちらは②着のナナオと同様に前走が函館の稍重馬場。その経験が健闘をアシストしたようにも感じました。⑤着カレンナオトメは直線で外へ持ち出すと上々の伸び。⑥着バスターコールは3コーナーあたりで他馬が前に入ってきて位置を下げるシーン。リズムが乱れてしまいました。⑧着ベルパッションは道悪の影響が大きく、まったくスピードに乗れないままゴール。見直しが必要ですね。

 

   

text by 藤原 有貴

 

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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