11月30日(土曜)に中山競馬場で行われた第58回GⅡステイヤーズS(芝3600m・3歳以上・別定・晴れ・良馬場)は2番人気に支持されたシュヴァリエローズが優勝。管理する栗東・清水久詞調教師、騎乗した北村友一騎手ともにステイヤーズSは初勝利。シュヴァリエローズは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 戦前の予想通りアイアンバローズが主導権を握って最初の1000mは64秒3。昨年よりも0秒4だけ遅く、次の5ハロンが昨年は62秒9だったのに対して今年は64秒7とペースは上がりませんでした。必然的に馬群もバラけず、終盤はラストから2~5ハロン目が11秒台。マラソンレースでも、どちらかといえばスタミナより、機動力や瞬発力が要求されるような展開、流れになりました。
【レース分析】 勝ったシュヴァリエローズ(2番人気)はスタート直後から好位で流れに乗り、折り合いも実にスムーズ。いつでも自分から動けるようなポジションを確保して、2周目の3コーナー手前で後続が外から動いてきたのに合わせるようにスパートを開始。直線入り口で先頭に並びかけると最後まで脚勢は乱れず、外から差し込んできた②着馬の追撃をハナ差だけ凌いだところがゴールでした。
「ゴール板が遠いと思いながら追っていましたし、ゴールした時はどちらが勝ったのか分かりませんでした。道中は理想的なポジションで折り合いがつき、凄くいいリズムで走っていたので、乗っていて楽でしたし、馬も楽だったと思います。3600mを勝ってくれたので、今後の長距離路線でも頑張ってくれると思いますし、ここがこの馬の底力をアップするレースになって繰れたらと思います」とレース後に北村友一騎手はコメント。初めての距離で典型的なスタミナ比べにならなかったこと、メンバーのレベルが高くなかったことが勝利に結びついたことは確かですが、この馬自身は別定GⅡを2連勝ですから、6歳の秋になって本格化した様子。立ち回りのうまさにも磨きがかかってきた印象がありますから、相手が強くなっても大きく崩れることはなさそうです。
②着シルブロン(12番人気)は12キロの体重増は回復分で、昨年は5番人気でしたから、まさに人気の盲点になっていた形。中団の外でじっくりと構えて、直線は鋭い末脚を使って勝ち馬に迫りました。ただ、ペースや馬場状態の違いはありますが、自身の走破時計は1秒3差⑦着だった昨年と同タイムですから、そのあたりが今年のメンバーレベルを示しているとも言えます。内から渋太く伸びて③着だったダンディズム(6番人気)も昨年の⑥着馬ですから、8歳になっても衰えがないことは確認できましたし、この馬は距離の許容範囲が広いので、中距離に戻ってもマークが必要でしょう。
1人気で④着のゴールデンスナップは道中で内から寄られたり、外から被せられたりして、少しスムーズさを欠いていましたし、格上挑戦だったことを考えれば悪くない内容。⑤着メイショウブレゲ(5番人気)も上がり3ハロンの数字はメンバー中最速でしたが、②着馬と比べて直線の急坂で少し勢いが鈍った感じでしたから、平坦か坂の緩いコースの方がパフォーマンスが上がると考えています。一方で連覇を目指したアイアンバローズ(3番人気)は本来の粘りが見られずに⑧着。やはり、休養期間の長さが影響したのでしょう。今回が力負けではありませんから、次走以降の巻き返しに期待したいところです。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。