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第57回 函館2歳S 回顧

 

7月20日(日曜)に函館競馬場で行われた第57回GⅢ函館2歳S(芝1200m・2歳・馬齢重量・晴れ・良馬場)は9番人気だったエイシンディードが優勝。管理する栗東・大久保龍志調教師、騎乗したR.キング騎手とも当レースは初勝利となった。エイシンディードは北海道浦河町山田昇史さんの生産馬。馬主は(株)栄進堂

 

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

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【展開・ペース】 スタート自体は外のスペシャルチャンスが最も速かったのですが、エイシンディードが行く構えを見せると競り合いを避けるように、すぐに下げたので前半3ハロンは34秒1と緩いラップ。後半は34秒3でしたし、しかも逃げたエイシンディードは終始、後続に1~2馬身のリードを保っていましたから、明らかに先行有利の展開で、差しタイプは成す術がない結果となりました。

 

 

【レース分析】 勝ったエイシンディード(9番人気)は初めての芝でも互角のスタートから迷わずハナを主張し、他馬に競られることもなくマイペースの逃げ。ラストの1ハロンは11秒9と少し脚勢が鈍りましたが、そこまでにセーフティリードを築いていました。結果的に上がり3ハロンは②着馬と並ぶ最速タイでしたから、後続に影を踏ませなかったのも当然と言えます。

 

 

「この馬はJRAで(レースを使うのが)初めてでしたが、いいスタートを切って、そのまま逃げました。特にレースプランはなかったですが、2歳馬でレース経験が浅く、何があるか分からないので、フレキシブルな考えを持って競馬をしました。道中は息が入りましたし、600mからギアも上がりました。強かったですね」とレース後にR.キング騎手はコメント。血統的に芝が向く可能性はあると考えていましたが、馬なりの2歳未勝利馬に遅れた調教VTRを見て、この動きでは……と考えて無印にした、こちらの見込み違いを嘲笑うかのような快勝劇。柔軟性を持って臨んだ鞍上とは違い、馬の個性までフォローせず、固定概念で予想をしてしまったと反省しています。今回は展開に恵まれた面は大きく、先に向けての課題も少なくありませんが、ウッドの攻め馬は動かないタイプ、という認識は持っていないと、再び評価を見誤ってしまう危険性があることを肝に銘じました。

 

エイシンディードの4代血統表

 

②着ブラックチャリス(1番人気)はスタート直後に少し行きたがったので、折り合いを優先したようで少し離れた2番手を追走。3ハロン過ぎから徐々に前との差を詰め始めましたが、勝ち馬がしっかり息を入れていたので直線を向いた時の手応えでも優位には立てませんでした。連対確保は安泰の内容でしたが、自身は鋭くは伸びずに流れ込みの印象。もう少しメリハリの利いた競馬ができていれば、というのが正直な感想です。③着カイショー(2番人気)は初戦から距離が1ハロン延びるので、追い切りから終いを伸ばすような調整。出遅れもありますが、全体の立ち回りは予想していた通りで、自身の上がりも悪くない数字。少なくとも1200mにはメドが立ったといえます。

 

 

④着タガノアラリア(3番人気)はスタートが今ひとつで、気合をつけて追い上げると道中は③着馬の直後に位置。勝負どころでの反応は少し鈍く、前との差が少し開きましたが、ラストは脚を伸ばしました。まだ、全体的に若さが残る感じでしたが、上がり3ハロンの数字は上位馬の方が速くても、ゴール前の末脚は上々。あくまで私見ですが、将来性、伸びしろは示したと見ています。以下では⑦着に終わったトウカイマシェリ(5番人気)も、現状は気性が若く、枠も大外でしたから、後方で抑え込んで馬群の大外を回る大味な競馬に。今回の展開では出番がないのは当然ですが、直線は脚を伸ばしていましたし、経験を積めば変わってきそうな魅力が窺えました。

 

 

 

text by 五十嵐 友二

 

 

  

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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