9月6日(土曜)に中山競馬場で行われた第70回GⅢ京成杯オータムハンデキャップ(芝1600m・3歳以上・ハンデ・晴れ・良馬場)は13番人気だったホウオウラスカーズが優勝。管理する美浦・高木登調教師、騎乗した木幡巧也騎手とも当レースは初勝利となった。ホウオウラスカーズは北海道新ひだか町岡田スタッドの生産馬。馬主は小笹芳央さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 アスコルティアーモが注文をつけてハナに立ち、2番手にドロップオブライトが続きました。前半3ハロン通過は34.6。一見すると速そうに映りますが、開幕週の良馬場であった点を考慮すればスローと言って良く、先行タイプと内をロスなく運べた組が上位争いを演じました。
【レース分析】 ホウオウラスカーズ(13番人気)は今年、7歳を迎えた牝馬。一般的には急上昇は見込みづらい馬齢ですが、4月に京都で3勝クラスを勝って待望のOP入り。陣営は“折り合い面の課題が改善され、スタートでも置かれなくなった”とコメントを出していたように衰えはなく、むしろ近走で進境を示していました。1番ゲートからスタートを決めると中団を追走。内ラチ沿いでロスを最小限に抑えて直線へ。外に進路がないと見るや、素早く内に切り替え、逃げ馬と②着馬の間に生まれた狭いスペースに突っ込み、鋭く抜け出してきました。
「あまり行くところがなかったのですが、うまいこと捌けたので良かったです。最近は脚を使う競馬をしていたのでそこは崩さず、開幕週の分、もう少し位置は取りたいと思っていました。勝負どころで勝手にハミを取っていってくれたので楽でした。自ら勝負に行けるタイプではないのかもしれないけれど、自分の武器はある馬です。年齢的に上積みがあるという感じではないのかもしれませんが、これを維持できれば、まだまだチャンスはあると思います」と木幡巧也騎手はレース後にコメント。開幕初日でしたから内をロスなく運べたことが最大の勝因ですが、52キロの軽ハンデとはいえ、直線で進路が開いてからの脚はなかなかの鋭さ。決して乗りこなしやすいタイプでもないだけに初騎乗ながら結果を出した木幡巧也騎手も立派です。
▲ホウオウラスカーズの4代血統表
②着はドロップオブライト(11番人気)。前走のCBC賞は追い込みタイプには厳しい展開の中、コンマ2秒差④着まで浮上。この健闘によってサマースプリントシリーズ優勝の可能性が生まれたわけですが、セントウルSではなく、敢えてマイルのこちらへ出走。戦前から怖さを感じていたわけですが、陣営の目論見通りに好走しました。距離が延びたことでスッと先行が叶ったのは当然ですが、しっかりと折り合いがついた点は収穫。確かにペースに恵まれた面はありますが、牝馬でハンデ56キロを背負っていたわけですし、フロック視するのは危険でしょう。③着はコントラポスト(2番人気)。急きょの乗り替わりとなったわけですが、手綱を取った丸山騎手はスタートを決めて好位のインを追走。スムーズにエスコートしましたが、最後はひと押しを欠く格好。コントラポストにとっては少し上がりが速過ぎたのかもしれません。
ダイシンヤマト(4番人気)は④着。好位のインに収まって脚をためて追走。直線に向いてからはなかなか進路が開きませんでしたが、しっかりと脚を使って②着争いに加わってきました。今後もマイル重賞では常に注意が必要です。ニシノスーベニア(4番人気)は今日は上位陣に迫るのがやっとでしたが、長欠明けを叩かれつつ、体が締まって着実に復調。順調なら重賞制覇のチャンスがありそうです。1番人気エリカエクスプレスは外の3番手に控える形。ただ、道中は掛かり気味でうまく我慢が利いていなかった印象。また気分良く走れる速いペースの方が合っている可能性もあり、距離を縮めるなど条件を替えてくれば見直しが必要になります。
text by 藤原 有貴
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