競馬 研究ニュース

東京スポーツ杯2歳S 回顧

ド肝抜いた東京初演

 2017年11月18日(土)5回東京5日目11R第22回東京スポーツ杯2歳S(GⅢ)は、単勝1.4倍という圧倒的な支持を集めた1番人気ワグネリアン(父ディープインパクト×母ミスアンコール)が優勝。管理するのは友道康夫調教師。騎乗した福永祐一騎手は97年キングヘイロー、01年アドマイヤマックス、05年フサイチリシャールに続き当レース4勝目。前記した3頭はその後GⅠを勝利していますからワグネリアンの活躍は約束されたようなもの?

 少し脱線しますが、ワグネリアンの未来がいかに明るいものかを示すデータをひとつ。

 

◆着差で振り返る東スポ杯2歳S優勝馬のその後(97年以降・3歳S時代含む)

3馬身半差 10年サダムパテック(マイルCS優勝)

3馬身差  11年ディープブリランテ(日本ダービー優勝)

2馬身半差 97年キングヘイロー(高松宮記念優勝)、01年アドマイヤマックス(高松宮記念優勝)、99年ジョウテンブレーヴ、05年フサイチリシャール(朝日杯FS優勝)

乱暴な表現ですが、GⅠ優勝確率は3馬身以上なら100%。2馬身半差なら75%。比較から3馬身差をつけたワグネリアンがGⅠ級の大器なのは間違いありませんね。

 

それではレースを振り返りましょう。

勝ち時計 1分46秒6(曇・良)

前・後半4F 46秒5 48秒1

12.4 – 10.9 – 11.4 – 11.8 – 12.0 – 12.3 – 12.0 – 11.8 – 12.0

 

【展開・ペース】

 コスモイグナーツが果敢に先手を主張。3F目まで速いラップを刻み、ケワロスシャルルマーニュが追いかける形。大きく離れた4番手にカフジバンガード。前半4F46秒5は過去10年を振り返ってもコディーノが勝った12年に次ぐ速さ。ハイペースとなった分、コスモイグナーツケワロスが直線半ばでバテてしまいました。

 

【レース分析】

 ワグネリアン速い流れを後方追走。直線入り口で馬なりのまま前との差を詰めにかかり、福永騎手がGOサインを出すとしっかり伸びて前を捉えます。残り1F付近で先頭に躍り出ると、そこから手前を替えて後続を突き放し、性能、エンジンの違いを存分に見せつけました。パドックではテンションが高く、新馬、野路菊Sとは異なる緩みのない流れでも多少、行きたがった点以外は満点の内容。精神面のコントロールが利くようになれば、現時点で来年のクラシック制覇に最も近い存在なのは間違いありません。

手綱を取った福永騎手は「縦長でしたが、前を捉えられる感触がありました。直線はターフビジョンで後ろとの差を確認し、大丈夫だと。少しテンションが高く、道中の行きっぷりが良くなっているのが課題。少しずつ頂点を目指していきたいです」とコメント。次走は来年の弥生賞を予定。休養させてひと回り成長した姿で戻ってくる来春が今から待ち遠しいですね。

【ワグネリアンの4代血統表】

 ルーカスカフジバンガードワグネリアンと比較して直線入り口では反応が鈍かったですね。それでも、残り2F標識を過ぎて外に持ち出すと一完歩毎に力強く伸びて②着を確保しました。「いいレースをしてくれました。まだ2戦目で体は出来上がっていませんが、いい馬。今日は勝ち馬が強かったですね」とムーア騎手。

今日は勝ち馬と現時点での完成度の差が出ましたが、8月の新馬戦以来だった点を考慮すれば高い点数を付けられる内容。パドックではドッシリと構えて周回。モーリスの弟らしく馬体の造りにも大物感が漂い、こちらもワグネリアンと同様に今後の走りから目が離せません。

 ③着はシャルルマーニュ。直線に入ると戸崎騎手は後ろから脚を伸ばすワグネリアンルーカスを意識しながら仕掛けのタイミングを計っていたように見えました。勝ち馬には完敗でしたが、渋太く伸びて②着とは僅かクビ差。コスモイグナーツが演出した緩みのないペースを3番手で追いかけて、最後まで脚を使えていたんですから大したもの。戸崎騎手も「長くいい脚を使えるタイプですね」とパートナーの健闘を称えていました。

 text by 藤原

 ※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

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