5馬身→クビ→2馬身半

 2017年12月2日(土)5回中山1日目11R第51回ステイヤーズステークス(GⅡ)は、単勝1番人気に支持されたアルバート(父アドマイヤドン×母フォルクローレ)が優勝。通算して重賞4勝目。15、16年に続いて日本一のマラソンレース3連覇を成し遂げました。スルーオダイナ、アイルトンシンボリ、デスペラードによる2連覇はありましたが、3連覇はステイヤーズSでは史上初の快挙。管理するのは堀宜行調教師。騎乗したのは前2年と同じくR・ムーア騎手。アルバートにムーア騎手が騎乗した際の成績は[4・0・1・1]。まさに名コンビですね。

 さて、同一重賞3連覇を成し遂げたアルバート。せっかくなので過去、JRAの平地重賞3連覇を達成した馬たちを振り返ってみることにしましょう・・・。

 セカイオー 鳴尾記念(1956年から58年)

 シゲルホームラン セイユウ記念(1993年から95年)

 タップダンスシチー 金鯱賞(2003年から05年)

 エリモハリアー 函館記念(2005年から07年)

 マツリダゴッホ オールカマー(2007年から09年)

 ゴールドシップ 阪神大賞典(2013年から15年)

 面白いのはセカイオー以降、約50年の長きに渡って達成する馬がいなかったのに対し、2000年以降は今回のアルバートを含めて既に5頭出現している点。それだけトップコンディションを維持して現役を続けられるようになったということなのかもしれません。これも調教や管理する側の技術が向上していることを物語っているのではないでしょうか。

それではレースを振り返りましょう。

 

勝ち時計 3分43秒0(晴れ・良)

前・中・後半6F 74秒8 76秒5 → 71秒7

13.3 – 11.3 – 13.0 – 12.4 – 12.2 – 12.6 – 12.7 – 12.9 – 12.6 – 12.5 – 13.1 – 12.7 – 12.3 – 12.0 – 11.9 – 12.0 – 11.7 – 11.8

☆16年 ステイヤーズS 勝ち時計 3分47秒4

前・中・後半6F 77秒2 78秒9 → 71秒3

☆15年 ステイヤーズS 勝ち時計 3分45秒9

前・中・後半6F 77秒1 76秒0 → 72秒8

【展開・ペース】

 主導権を握ったのはグランアルマダ。前2年は2F目以降に13秒台のラップが6回出現しましたが、今年は僅かに2回。最も遅いラップでも13秒1と極端に緩んだ区間がなく、地力を問われる厳しい流れに。3分43秒0という勝ち時計は過去10年では最も速く、84年のグレード制導入後でもエアダブリンが勝った94年に次ぐ速さでした。

直線で先に抜け出したライバルをキッチリ捉えて突き放したアルバート

【レース分析】

 勝ったアルバートは、折り合って中団を追走。2周目の3コーナー手前から進出を開始し、直線は先に抜け出していたフェイムゲームをキッチリ捉えました。

「堀調教師が3年間同じ状態に仕上げてくれたことに感謝しています。4歳時(15年)よりもペースが一定で流れてくれたので速いタイムが出てくれたと思います」とムーア騎手。さて、アルバートの強みとは一体何でしょうか。弊社小林記者がTwitterでこう呟いていました。

スタミナ、能力があるのは勿論ですが、アルバートは賢い馬でコースを2周することを理解し、メリハリをつけて走れているのが3連覇達成の原動力になったように感じます。事実、今年もレース中にまったく力むようなところが見られず、終始、リラックスしていましたね。15年は5馬身差の圧勝。57キロと前年より斤量が1キロ増えた16年はクビ差の辛勝でしたが、17年は2馬身半差と②着との着差が拡大。来年も現役を続行するとのことで、前人未到のJRA平地重賞4連覇達成を実現してもらいたいところです。

アルバートの4代血統表

 対して②着のフェイムゲームは1周目の向正面で気持ちが逸り行きたがるシーン。直線に入り、手応え良く抜け出したもののアルバートに並ばれて抵抗できなかったのは、道中でスタミナを消耗していた影響があったように思います。またアルバートより前で運んだ分、目標にされてしまった面も否めません。

騎乗したH・ボウマン騎手は「ところどころで掛かってしまいました。調教では大丈夫でしたが、これならブリンカーを着けた方が良かったかもしれません。ただ、今日は勝ち馬が強かったですね。フェイムゲームは強いし、スタミナもあります。折り合って運べれば長距離でもっと走れる馬です」とコメント。敗れましたが、後続には2馬身差。十分に力を示したと見ていいでしょう。

 プレストウィックアルバートをマークするようにレースを進め、勝負どころでアルバートが動いたのに合わせてスパート。直線半ばでは離されてしまいましたが、坂を上がってからジワジワと差を詰めて③着争いを制しました。スパッとは切れない反面、持久力があって追いバテないのがセールスポイント。昨年(④着)よりもひとつ着順を上げることにも成功。今後も3000m超の長丁場ではマークが必要ですね。

 text by 藤原

 

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