偉大な母に近付く第一歩
2017年3月12日(日)2回中山6日11R 第35回 中山牝馬S(GⅢ)は、トーセンビクトリーが好位から鮮やかに差し切って優勝しました。母はエリザベス女王杯を制し、01年ドバイワールドCでも2着と世界にその名を轟かせたトゥザヴィクトリー。兄であるトゥザグローリー、トゥザワールドも重賞勝ちがある中山コースで待ちに待った重賞初制覇を飾りました。勝ちタイムは1分49秒4。
それでは、レースラップです。
12.9 – 12.3 – 12.6 – 12.4 – 12.2 – 12.1 – 11.8 – 11.3 – 11.8
トーセンビクトリーは好スタートを切りましたが、押してポジションを上げてきたプリメラアスールとサンソヴールを前に行かせてインの3番手に収まりました。その外に2番人気のパールコード。こちらは16番枠からのスタートでしたが、川田騎手が積極的に前へ付けました。1コーナーへゆったりと馬群が進んでいき、最初の3ハロンは37秒8。向正面に到達するまでは折り合いに苦労する馬が目立ちました。主導権を握ったプリメラアスールは淡々としたラップを刻みながらの逃げ。ビッシュは中団を進み、その後ろに1番人気のマジックタイムが続きます。
残り3ハロン標識を過ぎたあたりでパールコードがジワッと前へと接近。これを合図にペースUPし、フロンテアクイーン、ビッシュ、マジックタイムは外から惰性をつけて3、4コーナーを回っていきます。トーセンビクトリーは内にいた分、少し動き出しが遅れましたが、しっかり脚が溜まっていましたね。武豊騎手は慌てずに外のパールコードをやり過ごすと満を持して勝利に導くために馬場の真ん中へ誘導。残り1ハロン付近から鋭く加速すると坂上で前を捉えて抜け出し、後続の追撃も完封しました。脚を余すまいと、騎手もとかく焦ってしまいがちな上がり勝負でしたが、名手の落ち着き払った手綱捌きが光りました。
2着のマジックタイムはこれが現役生活最後のレース。トップハンデを背負って勝ち馬より外を通る距離ロスがありながらクビ差まで肉薄したのですから大したもの。今回を含めて芝1800mでは連対率10割と堅実。中山内回りが舞台でも身上の末脚の切れが鈍ることはありませんでした。クインズミラーグロは最内枠を利してロスなくほぼノーミスの立ち回り。愛知杯に続いての3着は評価できますが、斤量差がなくなるGⅠなどの大舞台で勝ち負けするにはまだパンチ不足の印象も。パールコードは促して先行した分、少し行きたがる素振り。それが最後に響き、ゴール前の攻防で見劣ってしまったように思います。デニムアンドルビー、ウキヨノカゼは不向きな展開を考慮すれば正味直線だけで0秒2差まで詰め寄った点は評価できますね。ビッシュは強かった紫苑Sで見せたような仕掛けての機動力、推進力が見られず。ただ、今回はジャパンカップ以来の実戦。復調を待ちたいところです。
text by 藤原
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。