9月1日に新潟競馬場で行われた第55回GⅢ新潟記念(芝2000m・3歳以上・ハンデ)は単勝2番人気に支持されたキングカメハメハ産駒ユーキャンスマイルが優勝。馬場の真ん中から抜け出すと、ディープインパクト産駒ジナンボーの追い上げをクビ差凌ぎ切ってゴール。叩き合ったのは先日、急逝した名馬の仔。そしてオーナーはともに金子真人HD㈱。これは偶然か、必然なのか。ユーキャンスマイルにとっては鞍上の岩田康誠騎手とのコンビでGⅢダイヤモンドSに続くこれが重賞2勝目。管理するのは栗東・友道康夫調教師。ユーキャンスマイルは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は金子真人HD㈱。

 

それでは京増TMにレースを振り返ってもらいましょう。

 

 

【展開・ペース】 大方の予想通りにブラックスピネルがハナを叩いたが、これに最軽量53キロのクラウンディバイダが絡んだことで前半1000m通過は58秒6の速いペース。良馬場発表でも、例年よりもタフな馬場コンディションだった点を考慮すると逃げて④着に踏ん張ったブラックスピネルは立派と言える。

 

【レース分析】 ユーキャンスマイルは以前より馬体に厚みが出て逞しくなっており、充実期を迎えた印象が強い。優勝したGⅢダイヤモンドSと同様に、直線勝負に徹し、道中はジックリと脚を温存。内目の馬場状態の悪化した部分を避けつつ、ロスを抑えて馬群のインから抜け出した岩田康誠騎手の手腕も光った。勝ちっぷりを見ると、ここでは力が一枚上だったか。

 

ユーキャンスマイルの4代血統表

 

 「久しぶりの2000mでしたが、夏を越して力をつけていたようで追走が楽でした。終始リズム良く運べましたよ。4コーナーで馬群が内から外へ動いたので(内目にいた)自分にとっては(コース取りが)楽でしたね。最後は叩き合いになったので必死でしたが、いい根性を見せて凌いでくれました。馬が成長しているので、今後は大きいところを狙えると思います。自分にとっては久しぶりの重賞制覇なので感謝しています」岩田康誠騎手はその走りにしっかりとした手応えを感じた様子。昨年のGⅠ菊花賞ではブラストワンピースグローリーヴェイズに先着を果たしており、この馬もGⅠ獲りが狙えるだけの能力を持っている。

 

 

 ②着のジナンボーは馬体に無駄肉がなく、張りも良くていい仕上がり。54キロのハンデの恩恵はあったが、4、5番手につける正攻法のレース運びから勝ち馬とクビ差。まだキャリアが浅く、今後は更なる成長、活躍を期待していいだろう。

 サマー2000シリーズ王者の座を狙ったカデナは③着。当日は馬体をスッキリ見せてGⅢ小倉記念当時の好調をキープ。武藤雅騎手の思い切った騎乗で、脚をタメるだけタメて最後方を追走。直線に向くと、まとめて交わしそうな感じで伸びてきたが、残り100mあたりで脚いろが鈍った。1番人気に支持されたレイエンダは⑩着。騎乗したルメール騎手は「揉まれると良くない面があり、ブレーキをかける場面がありましたね。道中は前の馬が内へ外へとフラフラしていて冷静に走れていませんでした。最後はやめてしまいましたね」とコメント。前走のGⅢエプソムCは13頭立てと手頃な頭数に加え、2番手で揉まれずに運べた。それが今回は馬群の真っ只中で終始揉まれ込む形。周りに気を遣ってしまい、力を出し切れなかったか。前走時に着けていたチークピーシズを外したことが影響したのかどうか、その因果関係については何とも言えない。

 本命に推したアクートはパドックでは絶好の気配。しかし、追走に脚を使ってしまったのが影響したか、直線は無理をしていなかった。もともとコツコツと力をつけてきた感じの分、重賞初挑戦で壁にぶつかったか。

 

 

                                 text by 京増 真臣

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 
 

 
 
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